COMPILATION / MIX CD
1. V.A. / Stones Throw Ten Years : Mixed By Mitsu The Beats (Lexington)

西海岸の名門“ストーンズ・スロウ”の10周年記念レーベル・コンピ(ベスト)。アチラでは元々「Guitar Center」のみで販売されていたモノだそうだが、この日本盤はオーノー「Beware」のMitsu The Beatsリミックスやジョージア・アン・マルドロウ「West Coast Recycler」のGrooveman Spotリミックスが加わって、更に“華”のある内容に。いやいやそれだけではありません! Mitsu The BeatsによるMix CDまで付いているのだから…。このレーベルの“独自性”を存分に垣間見れる逸品です。

ALBUMS
2. Lloyd Banks / Rotten Apple (Universal)

Gユニットの冷血リリシストが還ってきた…。この約2年振りとなる2ndソロは、Gユニット本隊としても久々の一撃(モブ・ディープの移籍作こそはあったが…)となるだけに気合いも十分。50セント、プロディジーが助太刀したタイトル曲から不穏な空気が渦巻くNYシットの連打が続き、彼のアイドルでもあるラキムのラインをサンプリングした「You Know The Deal」辺りはそのトドメとなっている印象。やはり彼はGユニットいちのライム・テクニシャン。盟友トニー・イエイヨーの絡む「NY NY」等も好きなヒト多いでしょー。
3. Ludacris / Release Therapy (Universal)

DTPの親分にして、ハリウッド・スターの仲間入りも果たしたMr.アトランタ=リュダクリスの5thアルバム。リークされていた高度なサッカーMC+α物の「War With God」や、対照的な1stカット“金マン兵器”噺の「Money Maker」(ネプチューンズと久々の合体曲)以外にも、ヤング・ジー・ズィ、フィールド・モブ、R.ケリー、メアリー・J.ブライジや“投獄経験者”たち=ビーニー・シーゲル、ピンプ・C、C・マーダーとのセッションもアリ。ユーモア・センスとシリアス・トークの混ざり具合が絶妙な会心作と見た。
4. N.O.R.E. / Y La Familia...Ya Tu Sabe (Universal)

かねてから噂されていたN.O.R.E.のレゲトン・アルバムが“ロック・ラ・ファミリア”からリリース。「Oye Mi Conto」、「Mas Maiz」といったそちら方面で名をあげたヒット曲(チョーズン・フュー名義の「Reggaeton Latino」もボーナス収録)を中心に、ダディ・ヤンキーやドン・オマール、ヤガ&マッキー等のいわゆる“本職”も多数招き入れ、P.ディディやファレリートことファレルやジャ・ルール、T.O.K.なども参加しているだけに“お祭りアルバム”的なノリだが、それは良い方向に出た。本格的なスパニッシュ・ライムに挑戦した主役の心意気に注目。
5. Pitbull / El Mariel (Victor)

マイアミの闘犬=ピットブルのオリジナル2ndアルバム。日本ではどうしても(Mr.ヴェガス「Pull Up」の替え歌ヒットだった)「Culo」のヒトというイメージが強いのだが、勿論彼はそれだけで語れるようなタマではない。本作でもリル・ジョンが惚れ込んだアグレッシヴなライムは、更に強度を増し、より自分のルーツ(血筋)に自覚的になっているのだから。キューバ革命後の“エル・マリエル事件”をタイトルに掲げているのも、その意欲の表れなのだろう。マイアミ・ベースもクランクもレゲトンもダンスホールもスクリューも全て当然のごとくやってます!
6. P. Diddy / Press Play (Warner)

2003年発表のソロ曲「Let's It Ill」で「彼はイビザを目指しているのか?」と囁かれもした、“バッドボーイ”の総帥P.ディディの約5年振りとなるアルバムが完成。ここのところのレーベルの復調ぶりや、彼自身の冒険心を最良の形で収束したような本作は、小気味のいいフューチャー感覚で一杯だ。メアリー・J.ブライジからジェイミー・フォックスまで“シンガー勢”もゴージャスの一言だし、制作陣もカニエ、ティンバランド、ネプチューンズ、リッチ・ハリソンら外部プロデューサーを登用した結果もプラスに出ている。この男、やはりやる時はやってくれますね。
7. Slash Spit Squadron / Slash Spit Squadron (Slug Tune)

ご存知、水戸を代表するLunch Time SpeaxのGocci、Tad's A.C.と、新勢力Global Millionのt-Ace、Woodsmanという世代を超えたスペシャル・ユニット=S.S.S.が遂にアルバムをドロップ。リリシストという共通項を持ち、水戸という磁場を育んできた彼らだけに、このアルバムに込められた“想い”たるや凄まじい。Muroがプロデュースしたシングル曲「Merry-Go-Round」を始め、ストイックかつ夢の詰まったラップ・ワールドがこれでもか!とばかりに展開されている。DJ Denka、Chivilmanらによるビートもクロい。
8. Original Soul Crew / 独魂 (P-Vine)

『ホーム・ブリューワーズVol.2』にも参加していた茨城県はくんだエリアに根を張る2MC+1DJのオリジナル・ソウル・クルーの初アルバムが到着。内に篭る事なく、大道芸よろしく“外”で鍛えられた流浪な感じがアリアリと伺えるラップ力は相当なもの。その上「ふんどし」「ネイティヴ・スピリッツ」「ナメナメ」等、サブジェクトの面白さやカントリー・グラマーを、タイプの異なる2人のMC(歌心ありのシガシット+突出した声量を持つ祥)が、あったか味のあるトラックの上で伝える様はかなり魅力的だ。サッカーMC物も効いてます。

RE-ISSUE ALBUMS
9. Showbiz & A.G. / Runnaway Slave (Lexington)

D.I.T.C.の中核を成すユニット=ショウ&A.G.の長らく入手困難となっていた1st『Runnaway Slave』('92)及び2nd『Goodfellas』('95)がリイシューされた。ショウの捻し出す極上のサンプリング・ループを基調とするトラックと、小さな巨人A.G.ドクトクのライミング・センスが渾然一体となったその2枚は、D.I.T.C.関連の名作群の中でも最も“D.I.T.C.らしい”モノとして知られる通り。改めて聴く価値がある作品かどうかは言うまでもないだろう。これぞ“クラシック!”である。

SINGLES
10. K Dub Shine / 自己表現 (Atomic Bomb)

“日本語ラップの韻のスタイルを変えた”第一人者とくれば、この男。居ないと寂しいK Dub Shine。iTuneで限定配信されていた『自己表現』が新録1曲を加え、ジャケを新調しての登場。どの曲がどうだとかは敢えて書かないが、どの曲もビックコッタ節でありながら新しい(Uzi、Qを新たにfeat.した「オレはオレ」のリミックスも有)。つまりは“見ているところ”が違うのである。自己表現で何かを変える。その努力は並大抵なものではない。
11. Ryuzo / Street Dreams (R-Rated)

碁盤の目のストリート=京都から京都発のリアルなヒップホップを全国へ運ぶ"R-Rated"の代表=Ryuzoが約1年振りとなるソロ作をドロップ。D-Rockがフックを歌う表題曲からして完全に"トリプルR"印のストリート・シットで、その並じゃないキャリアで得てきたもの、自分の目で見てきたものが詠み込まれている。同じくLuchaがトラックを担当した「Count Down」に、Anarchy、La Bonoとマイクを回す「Bust This!」もかなり強力だ。「メディアじゃPop Rap Music、地下じゃHip Hop Fight Music」というラインもあるラストの1曲も彼ならではのリリシズムに溢れたモノだ。
12. Naughty / Slick Lyric (R-Rated)

"R-Rated Records"からもう一枚強力なボムが。Anarchy、Young Beryに続くRuff Neckからのソロ作となるこの4曲入りEPは、蓄積されていたモノを一気にブチまけた様な勢いのある内容に。“スリック・リリシスト”たる所以はセルフ・ボースティング物のタイトル曲から、“クチだけ野郎”に一発くらわした「Shut Up Pac Man」、Ruff Neckのポッセ・カット等にもよく表れている。ハードに押しまくるだけでなく、時に哀愁すら漂わせるその語り口はクセになる。アルバムも大いに期待したい。