本誌では初登場となるMunehiroだが、ジャケット写真を見れば誰もが分かる国民的とも言える程の有名人。しかし、本名でレゲエ作品をリリースしていることはあまり表には出しておらず、タレント活動としてではなく、いちレゲエ・アーティストとして捉えて欲しい、との思いからだと言う。なぜ彼女はレゲエを唄う事に必然性を見つけたのか、興味深く、面白い話を聞く事ができた。

まずレゲエにハマったきっかけから教えて下さい。
Munehiro(以下M):きっかけはNanjamanなんです。19歳位の時に貰ったテープがあって、丁度『Bumper Hit』の頃で、そこからジャパニーズ・レゲエを凄く聴いたんですよ。4〜5年前にライヴを観に現場に行って、どんどんのめり込む様になったんです。

じゃあ現場にはよく行かれるんですか?
M:しょっちゅう行ってます(笑)。今は本当忙しいので週に1回ですけど、酷い時は週に3日行ってる(笑)。

その後、2回渡ジャマされたそうですね。
M:一番くらったのはやっぱりダンスと、どこ歩いててもレゲエが流れてる環境。あと音楽が凄いパワーを持っている所、音楽の力で皆の価値観が変わっちゃったりとか。日本もそうなれば素敵だな、と思いますね。ジャマイカは現実にそうなっちゃってる国だから。

そんな中で、今作にも収録されている「ジャパニーズ」の様な“日本人讃歌”が生まれたんですね。
M:こういう曲は書きたかったんです、絶対。でも表現を間違っちゃうと、間違って伝わったりしてどうなんやろう、って。丁度今回WC杯のタイミングもあって、若い子達にも軽く聴いて貰えるかなって。日本人は凄くいい民族だと思うんですよ。外の事を受け入れながら自分の文化を大事にしてるって。只、その風習が変わってきているって凄く思うんですよ。憧れの対象が外国人になっちゃってるのが凄く良くないって気がして。文化を取り入れ過ぎて皆日本人だっていうのを忘れてると思って。

「Burn Babylon」も実にレゲエらしいテーマですね。
M:録ったその日に捕まったんですよ、警察に(笑)。他の曲録るつもりでスタジオに向かってて、気分良くIrieな曲やろうと思ってたら捕まっちゃって、スモーク貼ってただけで、貼ってないと色々大変だからって説明しても「決まってるからイカン」って。凄いムカついて「今日は出来ない!」ってなったんだけど「だったら、それを歌にしてみれば」って言われて2時間位でムカつく思いを(笑)。今回はこういう曲は入れないで、もっと楽しさを追求しようと思ってたのに。

作詞作曲から、ゲストの選出(Kenty-Gross、Ken-U、Loskalibres、Goki)、オケの選択も含めてセルフ・プロデュースですが、よく時間がとれましたね?
M:大変でした(笑)。だからアルバム作ってる期間はお仕事休んでました。やっぱり音楽って2時間で終わりです、ってもんじゃないじゃないですか。自分が良い状態じゃないと出てこないし、仕事してたらそっちに気とられるから。

前出の2曲以外は楽しいダンス・ホール・チューンばかりですが「Outro」での独白も印象深いですね。この音楽に関わる動機が現れていると言うか。
M:言った一言が間違って捉えられる事が凄く多くて。いつも誰に会っても、この人信頼出来るのかな? ちゃんと自分の事見ようとしてるのかな?って思ってて凄いストレスやったんですけど、それを音楽でちゃんと出せて、自分の好きな物はこれで、言いたい事はこれでってのがちゃんとあれば他で誤解されてもいいやって思えるようになって。で、本当にナチュラルな自分を出したいと思って本名をアーティスト名にしようって。

その時々で思った事を自分の言葉で10年後も書けたらいいし、20年後もレゲエを歌えたらいいなって思って始めたんで、それを少しずつアルバムに入れていって、何でレゲエを歌ってるのか分かって貰えればいいなって。でも私、そんなに分かって欲しいって思ってない、って言うと語弊があると思いますけど、始めて1年、2年じゃ分かって貰えるとも思ってなくて、5年、10年と歌った時に認めて貰えればいいなって。自分がこんなに頑張ってるんだからチェックして下さいとか言うのも違うなって思うし。『Riddim』読者が私のアルバムを聴いた時に「これオモロいやん」って一個でも思って貰えればいいなって思いますね。

“Up and Coming”
Munehiro
Nobrand / Shining Star
NBCDG-1023
www.munehiro.info