待望のニュー・アルバムに先駆けソロ・シングル3連続リリースで各自の個性をより印象づけたJumbo Maatch, Takafin & Boxer Kid From Mighty Jam Rock。常に進化し続ける彼らの現場直結のサウンドと硬派なメッセ−ジにじっくりと耳を傾けるべき!

 いわゆる“45”(7吋盤)でのソロ・リリースこそは当然ながらあったものの、CDシングルでの単独作は今回が初となるMJRの3本マイク=Jumbo Maatch、Takafin、Boxer Kid。大阪春の祭典「Dancehall Rock」の開催(注:昨年暮には東京にも上陸)前後にEP/ミニ・アルバムという形で彼らの作品が投下される様になったのは、2002年の「Triple Loaded」から、だった。スティリー&クリーヴィ作の "Gush Dem" リディムを三者三様に乗りこなした同作以降、『3 The Hardway III』で同名シリーズに一区切りつけた翌年6月発の『LV.5』ではソロ・チューン×3にコンビ曲を加えた形、昨年6月発の『Back Yaad Man』では3人コンビをメインにソロ×3と、考えてみたら彼らは常に新しいフォーマットで自分たちの“進化”を見せつけてきた訳で…(ミックス・テープ用のダブで披露済の新曲を、オリジナルのオケでどう聴かせられるのか!という楽しみも含めて)。

 4/5に出たBoxer Kidの「音速Big Wave」は、コーデル“スキャッタ”バレル&MJRの制作のタイトル曲と、ファイアー・ハウス・クルーの演奏もキマったミディアム「Perfect Family」のカップリング。ドクトクのガラ声が映えるハードコアなジョグリン・リディムのまさに“音速Big Wave”を完全にモノにしたBoxerは、「つまらない音なら聞き飽きた、ってハーコーにとっておきのBad Than Den」を届けてくれた。対象的な併録曲も“熱い思い”という点では同様、だろう。「競い合って一生走るランナー いつかはNo.1だ」というラインも強く胸に響く、快心の名曲である。
 
続いてはJumbo Maatch。5/3に投下された「Big & Tuff」はセラニとの共同制作のビッグ・バッド・リディムの表題曲と、Home Grownとのジョイントとなる「Treasure Island」の2本立。「ヴァースのラスト、まで爆走」するJumboならではのエナジェティックな「Big & Tuff」、今すぐにでも(あの島へと)羽ばたきたい!というレゲエ人が共有する気持ちをナイス・ミディアムに乗せて放った、その名も「Treasure Island」共に現場で大合唱されるべきビッグ・チューンであることは最早言わずもがな、か。

 トリを努めたのはTakafin。6/7に出た「Burn It Up」 は、先の2人とは違うパターンで、ヒューマン・リディム物が表題曲となり、ダンことドノヴァン“ヴァンデッタ”と共作した「Mr.Buster〜巧みなるマイクタクティカル」はカップリングに。しかしながらその表題曲はルーツ系のオケで、燃え盛る魂を得意のシングジェイでストレートに表現した相当にアツい曲。「道半ばで諦めは寒すぎるだけ」と自分自身に言い聞かせた前者では、彼の舞面の強さが浮き彫りとなり、後者ではタイトル通りのスキルフルなマイク捌きがフルに発揮され文句ナシにアゲられてしまう……そんなナイス・カップリングである。

 と、いずれも“レゲエ道”に対する変わらぬ想いと、日々是精進を地でゆく一人のうたうたいの強い決意が込められた“いい曲”ばかり。ジャケット〜特典コミック・ブック、そしてPVと繋がる未来感と土臭さの融合的なヴィジュアル・コンセプトのカッコ良さも特筆すべき。俄然期待の高まる6thアルバム、そして8月最後の土曜日に約束の地で行われる「Highest Mountain」と連動するMJRのノン・ストップな完全計画。次号ではアルバムの全貌が明らかになる…。


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Boxer Kid
[Victor / VICL-35976]
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Jumbo Maatch
[Victor / VICL-35994]

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Takafin
[Victor / VICL-36066]