MIX CD
1. V.A. / Masterpiece 02 DJ Mixed By Pete Rock (Handcuts)

マスターピース=傑作をタイトルに揚げたミックスCDシリーズの第一弾。“90年代物を中心に〜”というお題にピッタリの人選でピート・ロックがその初陣を飾ることに(続いてはDJハセベ、ロード・フィネス)。自らビートを提供した楽曲パブリック・エネミー「Shut Em Doun (Remix)」やゴーストフェイス・キラー「Be Easy」は勿論のこと、プレミアの曲やファンク・ネタ、更には最新曲「Revenge」にカニエ・ウエストの「Hard Em Say」のカヴァーまでもが彼ならではのセンスでミックスされた至極の一枚。
ALBUMS
2. Asheru / Insomnia - Sleepless in Japan (Miclife)

全B-Boy必見のアニメ『Boondocks』のテーマ曲でも知られるアシェルと、彼のコラボ曲(グラップ・ルーヴァ、J・サンズ、タリブ・クウェリ等々)を、マスパイプのDJ=ロッディ・ロッドがミックスしたスペシャル・ミックスと全編に漂う心地良さ。名曲「Truly Unique」のライヴ・ヴァージョンや、アシェール&ブルー・ブラックのエクスクルーシヴといった“オッ!”と言わせる挿入もあり、とにかく“聴かせる”ことに徹した作りが嬉しい。全ての“不眠症”の人々へ。
3. Main Source / Breaking Atoms (P-Vine)

90年代のヒップホップ名盤10選的な企画に必ず入る一枚ながら、長らく入手困難だったメイン・ソースの1st('91)が遂に再発。しかもオリジナル仕様では初の日本盤化! 「Just A Friendly Game Of Baseball」、「Vamos A Rapier」、「Live At The Barbeque」、「Fakin The Funk」…そして番外編の「Babafied Funk」(w/BNH)、更に「Atom」に完全未発表の「Time」と、聴かねば始まらない名曲がズラリと並んだ奇跡のアルバム。ヒップホップ界の名誉教授ラージ・プロフェッサーの凄さを体感すべし!
4. Mobb Deep / Blood Money (Universal / G Unit)

”Gユニット”(レーベル)入りしたモブ・ディープの通算7作目となる新作。地元=NYはクイーンズを代表するラップ・デュオであり、常にリスペクトの対象にあった存在だけに50セントも彼らの軍団入りはさぞ心強いのでは? 「今まで通りやって欲しい」という2人にとっての最高のオファーが、この充実した“どこを切ってもモブ・ディープ節”の本作に強く影響しているのは言うまでもない。Gユニット作品の常連プロデューサーでもあったハヴォック担当曲は6曲のみ、だがその他の曲もすべからくIllでDope“らしい出来”なので安心して頂きたい。
5. Busta Rhymes / Big Bang (Universal)

バスタ大爆発!! ドクター・ドレー率いる“アフターマス”への移籍が報じられて早3年…。コンスタントなアルバム・リリースで知られていたバスタがこれまでにないインターバルで臨んだキャリア上最も需要な作品であろうことは大方の予想通り。復調著しいスウィズ・ビーツが手掛けた「Touch It」にODB生前最後の共演曲「Where's Your Money」、ウィル・アイ・アム制作共演の「I Love My Bitch」等、既発曲はどれも話題満載だったが、アルバム本編には更なるサプライズが…。「あぁ間違いなく最高傑作だね。俺とドレーがスタジオに3年も入ってたんだからな!」
6. Rampage / Have You Seen? (Handcuts)

で、コチラはそのバスタ従兄弟であり、バスタのクルー=フリップモード・スクワッドの一員だったスキルフルなMC、ランペイジの久々のソロ(2nd)。本誌的にはショーン・ポール、シズラ、ケイプルトンをそれぞれfeat.した楽曲アリというフレーズがハマる? 正直10年という時の流れには驚くばかりだが、その間のセッションの中から厳選して…という気概はしっかり伝わってくる。ネプチューンズやDJスクラッチは勿論のこと、あの“煽り屋”DJクールとの顔合わせも冴えている。バスタも当然参戦してます。
7. Gnarls Barkley / St. Elsewhere (Warner)

UKで記録的なヒットを(「Crazy」がダウンロードのみでシングル・チャート1位)を呼んでいる“謎のプロジェクト”ナールズ・バークレイのアルバム。その正体はグッディー・モブに復帰したスーパー・ソウル・マシーン=シー・ローと、MFドゥームやジャミナイとのユニットで知られる鬼才デンジャー・ドゥーム。目指した世界はニュー・サイケデリック・ソウル、だとか。確かにここにあるのはヒップホップ世代による新しい時代のサイケデリックなソウルであり、UKで先にウケたのも解せる匿名性を打ち出したユーモアたっぷりの音世界。コレはクセになりますな。
8. Illmarich / Twelve Viper's + One (P-Vine)

故Tokona-Xの言霊再び…。再狂音術師として名を馳せる刃頭がそのTokonaと組んでいたユニットIllmarichのリミックス・アルバムで97年最も印象深かったマスターピース『Tha Masta Blusta』所収のマテリアルが一新された、という内容。刃頭『日本代表』の為にTokonaがマイクを握った「Pxxxy」のニュー・リミックスを含め、やはりこの2人ならばこその“あうん”の呼吸がそこにある様で。こんなセリフを引き出せるリミックス盤なんて中々ないのでは。 
9. Twigy / Twig (Toshiba EMI)

孤高の存在として語られる事の多い天才アーティストTwigyのキャリア20年、ソロ5作目といった節目のアルバム。実際このアルバムから享受出来るのは、多忙な丸坊主時代(ペイジャー〜聖戦からスペルバウンド〜七次元)から、ウィギー・クリフトン、余韻から雷家族、Hi-Dとのコンビ作までの流れ、そして更に先へと進もうとするTwigyの姿、である。ラップ・アルバムとして圧倒的なのは言うまでもないが、シーンの中での立ち位置を自覚した作りであることも特筆すべき、彼の中の“陽”を感じさせる快作だと思う。開拓者の誇りは磨かれ続ける技術と意義ある言葉に顕著だろう。
10. ヨシピィ・ダ・ガマ / エネルギー革命 (Monohon)

Lamp Eye〜Kaminari-Kazoku.のGamaのキャリア初となるソロ・アルバム。雷/物本から、Kemuri Productionから、Muro、そしてGamaを含む不定期ユニット=48.9まで本作を彼の活動集大成的なモノとすべく集まった連中の愛に満ちたサポートを受け、堂々の主役を張るGamaの男っぷりの良さったらない。“Revolution!”と腹の底から叫ぶGamaはやはり、詩人という名のアルティメイト・ヒップホッパー、である。しれにしても久々のヒップホップ仕事となるKensei制作のオーラス曲はあのベースラインから鳥肌立ちまくり…。

MINI ALBUMS
11. Juswanna / 湾岸Seaweed (Libra)

絶好調のライブラより大田区代表=Mess akaメシア The フライとMega-G The しぇふの2MCを基本とする(?)ユニット、Juswannaの6曲入りEPがリリース。MSCやI-DeAのアルバムでも異彩(?)を放っていた彼らのフリーキーでいてどこか洗練されたラップ・スタイルは、Hard Tackle33やI-DeA、16 Flip、Val、シャーマンらによるハーコーなビーツをクロ光りさせる程のもの。パーティ・ラップが信条というのも理解出来る注目株。

SINGLE
NOW PRINTING
12. UZI / 打つべし〜明日のために〜 (Future Shock)

格闘技(家)に己のヒップホップ道を重ね合わせる漢=Uzi。彼のその手の曲と言えば“ワールド・プロレスリング”で使われた「Knock Out」や、GK Maryanとの城南ウォーリアーズでの諸作等があるが、ここでは拳闘家のバイブル「あしたのジョー」の主題歌をサンプリングしつつも、リングに渦巻く激情を音像化したトラック(制作はLucha)の上で“打つべし(ブンシャカラカラカ)”と連呼し、また新たな切り口で魅せてくれる併録は盟友GKとの名曲「Wハットトリック」の第2弾ドイツW杯編。共に濃い出来!「力石くん…冷湯Yo!」