ジェレミー・マーが監督したドュメンタリー映画、『ルーツ・ロック・レゲエ』が日本で公開される。これまで知る人ぞ知る存在だったこの映像。レゲエに少しでも興味ある人なら驚天動地の映像満載の作品である。というわけで、監督にインタヴューしてみました。

●レゲエとどのように出会ったのでしょうか?
Jeremy Marre(以下J):1970年代初めには、もう世界中の音楽を私は聞いていたんだよ。そのことが私を14時間のドキュメンタリーである『ハートのビート』というシリーズを製作させることになった。異なった社会での音楽の役割についてのドキュメンタリーだ。マスメディアにアクセス出来ない人々の夢や希望を音楽がどのように反映しているか、理論はどのよう伝達されているか、ポリティクス、毎日の身のやつし方、伝えられてきた歴史などなどについてのドキュメンタリーだ。最初の1本目がこの『ルーツ・ロック・レゲエ』だったんだ。イギリスのTVのために1975年に『ブリティッシュ・レゲエ』という番組を作っていたから、本家であるジャマイカに行って撮影をしたかったが、誰も財政的な援助をしてくれるわけではなかった。そこでみんなで借りまくって金をかき集めたんだ。そこでジャマイカに渡って3週間で撮影を終えた。

●なぜレゲエのドキュメンタリーを作ろうと思ったのでしょうか?
J:レゲエという音楽が好きだったし、それが社会のソウルや人々の暮らし方のダイナミクスを表現しているのは分かっていた。それに文化的な、音楽的なルーツは言うまでもない。カリブ海へのアフリカの人々のダイアスポラにまで遡ることが出来る。私は熱狂的になると、全てを見て感じたくなるんだよ。それをみんなに見てほしいいと思ったんだ。だから映画を作っているんだろうね。TV局から財政的な援助が期待出来ないと分かっても、それはますます自分の行きたい気持ちを盛り上げただけだった。TV局は音楽は退屈だ、とか言っていた。財政的には大きなリスクだったが、私と私のクルーはこのプロジェクトを信じていたんだ。

●調査を含めて実際にはどのくらいの時間がかかったのでしょうか?
J:録音だけの度に2週間かかって、さっきも言った通り、撮影には3週間かけた。スタッフは4人。私、今では有名なフィルム・カメラマンのクリス・モフェット、アシスタント・カメラマン、それからサウンド技師だ。ジャマイカの人々も使った。アドヴァイスしてくれた友人もいた。『ブリティッシュ・レゲエ』で働いてくれたライターのカール・ゲールなんかがそうだ。多くのミュージシャンが名ばかりのお金で喜んで参加してくれた。実際に、彼らを助けたわけにもなった。100万人もの人々が世界中でこのフィルムを見ており、そうした人々はレコードを買ったからね。

 ジョー・ヒッグスの撮影をした時のことは忘れられない。私は彼の音楽が大好きだ。リー“スクラッチ”ペリーも私たちをスタジオに招いてくれた。クリス・ブラックウェルを通じてボブ・マーリィに連絡すると、彼はフィルムを見ながら、踊ってくれたよ。今でも多くの人々が見たいと言ってくれている。

"『Roots, Rock, Reggae〜ルーツ・ロック・レゲエ〜』
[出演]ボブ・マーリー、ジミー・クリフ、リー“スクラッチ”ペリー、Uロイ、ジョー・ヒッグス、トゥーツ&ザ・メイタルズ、ジェイコブ・ミラー&インナー・サークル、サード・ワールド、アビシニアンズ、ジャック・ルビー他
[監督]ジュレミー・マー
[劇場]シアターN渋谷(4/29よりレイトショー 連日 21:30より1回上映)
[問]シアターN渋谷/03-5489-2592 www.theater-n.com