2003年の本誌“Riddim Awards”でジャパニーズ・レゲエの「ベスト・アルバム」に選出された名作『The Specialist』から足掛け3年、Yoyo-Cがセカンド・アルバム『Love, Peace & Light』を完成させた。

 作り始めたのは1年半ぐらい前かな。「Rub A Dub School」のトラックを作った時から。それが結構良い感じで出来て、そのままトラックをどんどん作り始めて「セカンド・アルバムはコレでいこう」って感じになっていった。うん、トラックは全部自分で作っている。前作もほとんど自分一人で作ったんだけどね。

 実際に自分の手で打ち込んでトラック作り出したのは前作から。トラックを作りながら、曲全体のイメージが湧いて、それでリリックを書いていく感じ。あと、今回はロンドン時代からの友人経由でKing Tubbyを使わせてもらった。それが良いバランスになったね。

 前作は自分のワガママを通したアルバム。それは俺が作ったトラックで、俺なりに格好良くて消化したレゲエを全面的に出せたもの、って意味で。で、今作はその延長線上のもの。よく「アルバムのコンセプトは?」って聞かれるけど、それは無い。「明日のコンセプトは? 明後日のコンセプトは?」と聞かれても、「明日は明日、明後日は明後日」だし、それと同じように「一曲目は一曲目、二曲目は二曲目」って感じ。ただ、何曲か出来てきて、ある程度のアルバムの全体像が見えた時点で、ダンスホールの速いヤツが続いたら、どレゲエなもの、ヒップホップっぽいもの、とか足りないものを付け加えていって、最終的にコンセプトは無いけど、Yoyo-Cとして固まったもの、バランスの良いものにした。そう言う意味で今作は「100% Yoyo-C」。

 前作は全部日本で作ったんだけど、出した後に「もっと太いレゲエの音にしたい」って感じて、それもあって今回はJammy'sでミックス・ダウンすることにした。やっぱ現場で聴いても、7インチ聴いてもJammy'sの音が一番太いし、大好きだからね。

 「音決め」はJammy本人で、ミックスはJammyと息子のJam 2が二人同時に卓をいじってやってくれた。全部自分で作ったものをあのJammyがミックスしてくれているのを見た時は嬉しかったね。でも、俺には俺の作品の仕上がりとしての理想が在ったから結構意見を言わせてもらったんだ。だからアルバムの本編の頭13曲は俺の理想としていたものを自分と彼らで一緒に仕上げた感じ。

 でも、戻って来て彼らが自由にミックスした方のヴァージョンを聴いてたら、やっぱ単純にレゲエとしてめちゃくちゃ格好良いわけ。俺の作ろうとした世界観とは別の意味で格好良いわけ。で、「コレはコレで入れてもよくねーか?」と思って、無理矢理6曲をボーナス・トラックとして追加収録してもらうことにしたんだ。とにかくミックスが良過ぎたんだよ(笑)。そうそう、だから最初の13曲だけじゃなくて、あとの6曲によって、一枚で俺だけじゃなくてレゲエの魅力が分かっちゃう感じで、聴き終わったらすっかりそれに洗脳されちゃうって感じだよ(笑)。でも、前作出した時に、レゲエを聴いている人達からは高い評価をしてもらったんだけど、あの作品を純粋にレゲエの作品として受け取れなかった人達も居たみたいだったから、今回はもっとレゲエを全面に出そうと意識したというのはあったんだ。

 あと、前作は俺の「心の理想郷」を歌った作品で、自分の心の内を歌ったリリックが多かったから、分かりづらかった人も居たのかもしれない。そう簡単に自分の心の中は見せられないからね。だから今作はもっと日常とか、生々しい現実を歌おうとした。それに対してポシティヴに向き合う自分を表そうとした。さっき「歌詞が聴き取りやすくなった」って言ったけど、それはそういうことが影響しているかもしれないね。メッセージを強く伝えることにしたからね。テロとか戦争始まったりして、周りが砕けてきたのが見えたりすると、やはりそれに対して言いたいコトもあるから。「今言わないで、いつ言うんだ?」ってね。メッセージを伝える分の責任は感じている。でもリリックはみんなにだけでなく、半分以上は自分に向けて歌っている。「自分としてそうありたい」って。なかなかそうはなれないけど、自分としての理想像を書いて、それを目標に毎日生きている感じかな。

 あと、制作陣が全部男ばっかりだったんで、「女の子も欲しいな」と有坂美香ちゃんにも参加してもらった。彼女とはReggae Disco Rockersの作品で共演して以来、良いシンガーだと思ってたから。あと「Modern Girl」のカヴァーはどうしてもやりたくて、オリジナルのCourtney Melodyの丸い顔と、Moominの丸い顔がダブって(笑)、Moominにアウト・オブ・キーで歌ってもらったんだ。

 ジャケットは今回もBluster One。彼に「愛」「平和」「怒り」「喜び」「戦争」とかアルバムに込めた色々な単語を羅列して送って、ソレをイメージして作ってもらった。そしたら、届いたジャケットにダミーで『Love, Peace & Light』って入っていて、それ見て「あっ、コレじゃん!」と思ってそのままタイトルに使わせてもたったんだ。いい感じでしょ(笑)。


"Love, Peace & Light"
Yoyo-C
[Alpha Enterprise / YJB4025]