どんなスタイルのトラックでもその存在感ゆえに主役さえも食ってしまうボーイ・ケンが、完全ジャマイカ仕様のミニ・アルバム『Education A De Key』をリリース。どのチューンもいつでもヴァイブス満タンのボーイ・ケンにしか出せないの濃ゆい味ばかりだ。

  Boy-Ken Is Back!  ボーイ・ケンがダンス・ホールのド真ん中に帰って来た! もちろん、キャリア10数年、日本のレゲエ・シーンを黎明期から支えてきた彼が、シーンから離れていた訳では無い。只、その唯一無二な声、キャラクターを求める他ジャンルの声に応えていたここ数年で(特に若いファンには)その立ち位置が不鮮明になっていた面は否めないかもしれない。

 そんな外部の声を一気に払拭するべく、とことんダンス・ホール、そしてジャマイカにこだわって制作されたのが、今作『Education A De Key.』。というわけで、中身はそれこそムキだしのダンス・ホール、そして古くからのファンなら「これでこそ、ボーイ・ケン!」と喝采を上げる程“らしさ”溢れる痛快曲満載の仕上がりとなっている。

 まずはスティーリー&クリーヴィによるインストの「Intro」に続いては、ストレートな“現場”アンセム「Come Ina De Dance」から。V.I.Pサウンドの要、カン・ドンが、自ら渡ジャマイカして仕上げた、今風ジョグリン・オケは、和風イメージな音をちりばめた、これもV.I.P“らしさ”全開な仕上がりで、ミックスは日本人アーティストの作品でもお馴染みなアンサー・スタジオのファッタが担当。

 「Gimme De Music」ではカン・ドンが持参した三味線のサンプル音をうまくループして、スティーリー&クリーヴィと仕上げた、往年の名オケ "Street Sweeper" を思わせる強烈なオケにボーイ・ケンがハマらない訳が無い。スティーリー自身によるミックスもヤバイの一言。

 トニー・カーティスをフィーチャーした「Pretty Looks〜外身と中身〜」は、もうプロモ・ヴィデオを目にした人も多いだろう、ご存知スタジオ・ワンでのザ・ヘプトーンズの大名曲をダンス・ホールに大胆リメイク! 内部プロダクション制作にこだわりをもつV.I.Pクルーだからこそ、単にスティーリー&クリーヴィに丸投げすることなく、共作という形を選んだ、その一つの成果がこの曲と言えるだろう。
 続く「はじけてX」は、これもカン・ドン制作による "Reggaelipso" 調のイケイケ・オケにボーイ・ケン・ファンならタイトルだけでOK!ってくらいの“節”満開。全編パンチ・ラインだらけの盛り上がり必至曲。

 そしてもう一つのスティーリー&クリーヴィとの共作オケによる曲「そして Life Goes On」は、今のトレンドである80〜90年代オールド・スケール感覚を、正にその時代を作っていたスティーリー&クリーヴィと、同時代を生きていたボーイ・ケンによる返答とも言える出来映え。"Stamina Daddy" の2005年版なオケに、“こうやるんだよ!”と言わんばかりの堂々たるフロウで、筆者的にはモロにツボに入る曲。是非に7インチ・カットを! ヴァージョン付きで!
 ヴァイブス満タンマークもでた「Outro」で終了となるが、なにしろ全編、実にいいヴァイブス、のびのびとした姿が印象的な今作。久々となったジャマイカ・レコーディングを経て“King Of Dance Hall”が帰ってきたのを、心から歓迎したい。


"Education A De Key."
Boy-Ken
[V.I.P. / CTCR-14448]