Painted by Yasuo Yagi / Text by Noboru Yamana





 1976年の@ブラック・アークって、マジ議論するんですか。そもそも、それ以上の物がこの世に存在するんでしょうか。対抗馬を敢えて想定するならば、1950何年何月かの、シカゴのチェス・スタジオか、1960何年何月かのデトロイトはモータウンのスタジオでも想像する以外に、何も思いつかないもん。「スタジオ単位」になると、いきなりロック系が弱くないでしょうか?

 今から29年前ってすごい。76年のさらに29年前の音楽を思い浮かべると、1947年って、まぁブルースかジャズぐらいしかないじゃん! だけど今は、歴史を追わない聞き方が普通になっているから、例えば『スーパー・エイプ』を聞いてなきゃ話になんないですよ、ってことになっているだけで、四半世紀以上も前の音楽の需要が今もあり、再発売もされて、音響的にはさらにジャマイカ盤オリジナルで聞きたい人が増えているよね。

 CD3枚組の『Arkology』って、クレジット上のトラックは計52曲入りだけど、その内25が76年のコピーライトなんだな。マックスもマーヴィンもコンゴスも、「Dreadlocks In Moonlight」も「Curly Locks」も、全〜部この年。ペシミスティックになる必要なんかないじゃん、リー・ペリーの76年を知っている人間の方が、知らないそれより進化してるもん、確実に。

 Aura LewisのAuraは、「あの人、オーラ出てますね」と言う時の「オーラ」。『アーコロジ』のクレジット末尾に名前はあるけれど、それほどでもないかもね。