ALBUMS

1. Missy Elliott / The Cookbook (Warner)

ミッシーのアルバムといえば本人とティンバランドがプロデュース、というのが通例だったが今回は違う。スコット・ストーチ、ネプチューンズ、リッチ・ハンソン、ウォーリン・キャンベルといった外部、しかも売れっ子プロデューサー達が多数関わっているのだ。その“打ち出し”だけでも新鮮に見えるのだが、実際この方策が“吉”と出た様だ。オールドスクール風あり、フィーメイル・アンセムあり、バラッド有ヴァイブス・カーテル&ミアとの共演曲もあり、の大傑作。サイボトロンねたも“らしい”の一言。
2. Cassidy / I'm A Hustla (BMG)

ここのところ全盛期の勢いを取り戻しつつあるスウィズ・ビーツが、そのキッカケを作った(?)自己レーベル“フル・サーフェイス”の看板となるべくフックアップしたフィリーのラッパー=キャシディの2nd。今回もスウィズを始め、注目のネオ・ダ・マトリックス、L.E.S、ニードルズらがビートを提供し、実に今っぽい空気で一杯のアルバムに仕上がっている。「I'm A Hustla」「B-Boy Stance」といったここ最近のフロア・ヒットからも判る通り、キャシディの“華”は今盛りのよう。リリース直後に殺人容疑で逮捕されたが果たして…?
3. Bow Wow / Wanted (Sony)

ギネスブックにも載った“No.1ヒットを送り出した最年少ラッパー ”(にしてアクター)も今や18歳。この2年ぶりとなる3rdアルバムは前々作以来となるジャーメイン・デュプリとのタッグ作で、そのJDを始め、彼の片腕ブライアン・マイケル・コックスやノーI.Dらがサポート。オマリオンをfeat.したルーサー・ヴァンドロス(RIP)ねたの「Let Me Hold U」でも明らかな通り、大人なアプローチも完全に板に付いてきた模様。その他にもスヌープ・ドッグやJ・クォンらも絡んでいるが、中でもシアラがいい役割を果たす「Like You」辺りが今後の路線を占うモノ、なのかも。
4. V.A. / Jermaine Dupri Presents...Young, Fly & Flashy Vol.1 (EMI)


“アリスタ”から“ヴァージン”へと移ったジャーメイン・デュプリ率いる“ソー・ソー・デフ”。この何年ぶりかのレーベル・ショウケース盤は、今プロデューサーとして何度目かのピーク・ポイントを迎えているJDが次なる一手として打ったニュー・ホープであり、アトランタ・ベース物のコンピではない。ボスの新曲「Gotta Getcha」を始め、デミ・フランチャイズ、ヤング・カポーン、T・ウォーターズからKP &エンヴィJ・クォン、パスター・トロイ、ダズまで新旧の顔が入り乱れて新生ソー・ソー・デフをアピール。南部臭をほどほどに押さえたのも作戦なのか?
5. Tony Touch / The ReggaeTony Album
(EMI)

言わずと知れたプエルト・リカンDJ/スパニッシュ・ラッパー=トニー・タッチの『The Piece Maker 2』以来のリーダー作は、タイトルから察せる通りの“レゲトン・アルバム”。ラインナップされている面子は、ニーナ・スカイ、B・リアル、ビートナッツ、N.O.R.E、ピットブル、ボルティオ、ザイオン&レノックス、イヴィー・クイーン、ニッキー・ジャム等、彼の人脈が丸見えとなるバランスの良い感じで、ヒップホップ・トラックにデゴ・カルデロンのスパニッシュ・ラップが乗る曲も興味深い。
6. Bizarre / Hanni Cap Circus (BMG)

奇才揃いのD-12の中でも“マニアック・サイコぶり”では群を抜く存在(?)ビザール初のソロ・アルバムが“サンクチュアリー”から登場。“ハンディーキャップ・サーカス”を意味するタイトル/コンセプトからも伝わってくる通り、ここにはひらめきの天才にして宇宙感覚のストーリーテラーである彼の超凡スギる才能がギッチリと詰まっている。エミネムを始め同じく盟友のコン・アーティスやラファエル・ザディーク、エリック・サーモン、ハイテック、ビッグ・ボーイ(アウトキャスト)らプロデューサー/ゲスト陣もエビス腹の主役を盛り立て、文句ナシの内容に。 
7. Cesar Comanche / Squirrel & The Aces (P-Vine)

エドガー・アラン・フロー、カゼ、スプラッシュ、ジャスタス・リーグからの『Dream Merchant V.1』、そして“ダックダウン”からのソロ名義作等(リトル・ブラザーのアルバムもあった…)、ここのところ大量露出中の9thワンダーだが、そのジャスタス・リーグの斬込み隊長ことセイザー・コマンチの2ndソロ作でも“彼”はその中心的プロデューサーとしてフレッシュなビートを送り込んでいる。それがセイザーのファンキーな鼻歌とマニアックなラッピンにベスト・フィットしているのは言うまでもないだろう。ニコレイ(フォーリン・エクスチェンジ)やエドガーも好サポート。 
8. Lightheaded / Wrong Way (Handcuts)

先頃ソロ作をドロップしたムーンシャインは既にライトヘディッドもドロップ・アウトしていた様で…。そんな訳で、ブレイル、オセロ、オメガワッツのトリオ編成となった彼らだが、その方向性はアーリー90'sのいわゆる黄金期を今の手法で再現させよう、という部分により強くフォーカスされたよう。一昨年前にリリースされた1stもジャジー・ヒップホップの文脈でクラシックに値するものだったが、グループとしてのアイデンティティ、ヒップホップ・アーティストとしての強度が意識的に打ち出された本作は、“それ以上”と断言出来る。
9. Suiken x S-Word / Hyblid Link (Columbia)

ニトロの“頭文字S”2人=SuikenとS-Wordがタッグでアルバムをドロップ。このコンビネーションはムロの作品(KODPアルバム)でも披露されていたが、本作にもそのMuroや、D.O.I、Itacho、Yakko、DJ Viblam、Dev-Large、Sami-T、藤原ヒロシといった強力プロデューサー陣が招かれている。“ストリート・サイド”と“パーティ・サイド”の2枚に分けられ、それぞれNY、LAでマスタリングされた本作は、この常にバチバチと化学反応を起こす2人の個性派MCの心像風景を見事に交配し切っている。
10. Mars Manie / Block To Block
(Columbia)

レペゼンJBL(常磐線)、ドープなラインとやさぐれフロウで勝ち上ってきた実力派Mars Manie初のフル・アルバム。自身が立ち上げたレーベル“FC Muzik”からの第一弾にして、メジャー・リリースとなる本作は、エグゼクティヴ・プロデューサー=Yakkoの他、Aquarious、Buckfire、Tee$huにDJ Denkaがトラックを寄せ、Mikris、Deli、Suiken、Big-Z、かし、LTSらもフィーチュアしたとことんストリート臭い、混ぜ物ナシのハーコー・クラシックスとなっている。Team 44 Bloxの猛攻はここから始まることになりそうだ。
11. DJ Oasis / Walter World (Sony)

言わずと知れたキングギドラのDJ、にしてマイク握るDJ=DJオアシスのソロ・プロジェクト、そのエピソード2が公開された。ラッパーとしての才能をブラッシュアップさせた「世界一おとなしい納税者(カモ)」等のパンチの効いたトピックが満載の今作は、サウンド・プロダクションやゲスト・アーティストのキャスティングの面でも新しいアプローチが見られ、ソロとしての説得力も更に強まっている。DJ Jin、DJ Masterkeyらマイク持つDJを集結した楽曲もオアシスならではのオーガナイズに。Good Job。
12.V.A. / えん突つサンプラーVol.2 (えん突つ)

2003年リリースのVol.1に続く“オリジナル日本語ヒップホップ製造所”えん突レコーディングスのショウケース・アルバム。Kaminari-Kazoku「Soul Brother」の強力なニュー・ミックスから、ウルトラマグネティックMCズのクラシックをIllmatic Buddha MC's+Kuro-Ovi(超久々!!!)でリメイクした「Bait 2005」、DJ Yasによるオルガン・バー・アンセム(You The Rock★、D.O、Shiba-Yankee他が参加)、Lamp Eyeの新曲「For Da Next」等々、期待に違わぬブランニュー中心の全14曲入り。特濃デス。