「新しい日本語のレゲエ」…NGヘッドは間違い無くその先駆者の一人として挙げられるだろう。倍音成分たっぷりの声に独特の歌詞世界でレゲエ以外のジャンルからの注目度も高く、なおかつ常にコアな層にもアピールする作品を出し続けている。そんなNGヘッドが強力なニュー・チューン「ヘッドライン」を冠した初のフル・アルバムを遂にリリースした。これまでリリースしたシングルやオムニバス収録曲+新曲という形で発表されたこのアルバムは、NGヘッドの10年以上に渡るDJキャリアの現在までの集大成ともいえるだろう。因みにあの『Blue Flame Dub』にも参加していたバンド、V & 40のメンバーを迎えた、キラーなホーン・フレーズと攻撃的な近未来ミリタントビートに乗って、これまで以上にパワフルなフロウを繰り出すタイトル曲「ヘッドライン」のPVにはあの島木譲二が出演しているが、「大阪名物パチパチパンチ」もこの強烈な一撃にはかなわないだろう。

ベスト・アルバム的な内容にしたのはどういう経緯で?
NG Head(以下NG):特にベスト・アルバムにしようと考えていた訳では無くて、これまでのリリース曲の中から、自分の長いキャリアの軌跡となるような曲を厳選したら必然的にこういう形になった。

アルバムのリリースでより広い層にNGヘッドの音楽が聴かれることになると思いますが、どういったリスナーをターゲットとして視野に入れてる?
NG:色んなジャンルの人が聴いても、自分のマニアックな部分、濃い部分を感じてもらえる作品に仕上がったと思う。勿論このアルバムで初めて自分の音楽を聴く人も視野に入れているけど、オレのノリっていうかスタイル、音を分ってくれる人は間違いなく評価してくれると思う。シーンが肥大してきて、よりポップなものを求める人、よりコアなものを求める人、日本語レゲエは聴かないというような人もいてリスナーも多様化してきてるし、その中で「NGヘッドの音楽が好き」という人がいてもいいと思う。

レゲエのみならず、現在の日本の音楽シーンの中でNGヘッドというアーティストはどういう位置にいると思いますか?
NG:アングラ方面担当というか(笑)、今メジャーなシーンにいる友達の中にも、作品にマニアックさを出してる人には共感を持ってるし、そういう他ジャンルの人達とやってみて、まだ開かれていない自分をもっと引き出してみたい。どんな音楽の人とやろうと自分が作りあげたスタイルは変わらなく出していけるという事が分ってきた。

今作リリースまで、かなり長い制作期間がかかったように思いますが。
NG:同じ時期にDJを始めた人達はコンスタントにアルバムをリリースしているけれど、それに関しての焦りは全く無かった。これまでリリースしてきた作品はどれも時間とエネルギーをじっくり注入してきて作ったものだし、時間が経って「もうこれ聴かれへんな」というようなものでは決してないから。人の作品への参加が多かったり、順調に制作の進まない時期もあったことはあったけど、スタジオや現場でアイデアを形にしていくことは止めなかった。いいものが出来れば、どんなタイミングで出しても負けへん、という意気込みはある。

さっきも言ったようにシーンはすごく大きくなってきてるけど、自分は別にアイドル・アーティストを目指している訳じゃないから、こうこうこうすれば何万枚売れます、みたいなパターンに自分の全てを迎合するつもりもなくて、一歩下がった位置から今の日本のシーン、いい部分も悪い部分も状況をじっくり観察しつつ、策略を練っていた。今は何でもすぐに手に入る時代だから余計にそう感じるけど、CDが売れない売れないというけど、それはいいものを皆が求めている証拠だと思う。普通にいいものを頑張って作り続けていけば、それはある程度マーケットで成功するはず。

「南の島」「Style & MC」「一撃」といった古い曲も入っていて、懐かしい(笑)。こうして並べて聴いてみてDJとして成長したと自分で感じる点は?
NG:スキルは勿論だし、自分でいうのもアレやけど、歌は旨くなったと思う。音符でどうこうじゃなくて掴んできた。言葉もより厳選するようになったし、日本語スラングというかニュー・ワードも常にチェックしている。DJとしてそれは当たり前だけど。

今作を一言で説明するとしたら?
NG:DJ調でまくしたてるのが多いし、NGヘッドというDJはハードな印象のみを受けるかも知れんけど、このアルバムでは真剣なとこ、ふざけたとこ、そういう自分の色んな面、オレという人間を思い描けるような作品になったと思う。

より新しい世代のDJが出てきている中で、日本のレゲエ・シーンの代表的なDJとしてのプライドはありますか? それはどういったものですか?
NG:プライド? それはありますよ。スタイル、スキル全てにおいて「コイツには負けるな」と思うような奴は正直いないし、他のDJも絶対皆そう思ってやってるはず。例えばもしステージでマイクを奪ってくる根性とスキルのある奴が来たら、いつでも受けて立つ。当り前やけど「またの機会に」とは言わない。最近はそんな風潮でもないけど(笑)。

 すでにNGヘッド自身の中では次回作へ向けて動き始めているようだが、まずはこのアルバム『ヘッドライン』をじっくり楽しんで聴いて欲しい。私的なリコメンドで悪いが、パンクやダブ、そういう全てのヤンチャ音楽好きが聴いたら絶対に満足のいく作品だと思う。



"ヘッドライン"
NG Head
[Columbia / COCP-33292]