Sly & RobbieやDean Fraserを擁した自身の作品の他、Aisha、Earl 16のアルバムもリリースとMad Professorが主宰するレーベル、Ariwa Soundsが今年25周年を迎え、活動が活発化している。早速、来日中のMad Professorにインタビューを試みた。

 25周年の時を迎えた“アリワ”の歴史を簡単に振り返ってみて下さい。 「“アリワ・サウンズ”を立ち上げる前は電気技師として働いていた。そのうちにレコーディング・スタジオを始めたくて、奥さんと相談してレーベルもやり始めたんだ。居間にミキシング・デスクを自分で作って、スタジオを貸し出し始めて、徐々にレーベルも回る様になったんだけど、80年代の初期はアナログ録音だからコストもかかって正直厳しかった。アナログ・サウンドは独特の暖かさがあるから今でも好きなんだけどね。

デニス・ハリス、デニス・ボーヴェルが70年代後半からイギリス産のレゲエをプロデュースするようになって、そんな背景の下に私はアリワをスタートさせることが出来た。80年代後半はレーベルにとって凄く成功した時期だったね。サンドラ・クロス、ローナ・G、マッカ・B、コフィー、ジョン・マクレイン等のアーティストがヒット曲を連発していた頃。いい時代だったよ。90年代に入るとリミックスの仕事の方が増え始めたんだ。マッシヴ・アタックのダブ・アルバム『No Protection』とか、シャーデー、ジャミロクアイ、デペッシュ・モード、クレモンティーヌ、UAとか様々なジャンルのアーティストのリミックスを担当したし、あとリー・ペリーとも多く仕事したっけ。90年代後半はライヴ業が中心。マッド・プロフェッサーのダブ・ショーを始めて、世界中を回るようになった。2000年代の初期は…90年代とそれほど変らなかったかな」

今回日本でもリリースされる4作品についてコメントして下さい。まずはアイシャ『There's More To Life』から。 「アイシャとは10年ぶりに仕事したよ。その間、彼女は他のレーベルで制作していたんだけど満足いってなかったみたいで“アリワ”に戻ってきたんだ。彼女は凄く才能があるから楽しかったよ。このアルバムには哲学的なコンセプトがある。“毎日の生活の中、人生にはより多くのものが潜んでいる。そしてお金は幸せを運ぶものではない”、と」

アール16『Wake Up』。 「彼とも10年ぶりのアルバムになるね。彼自身も10年間アルバムを作ってなかった。常に連絡は取り合ってて、やっと実現出来たんだ。今回の4枚のアルバムは全て同じセッションなんだ」

●スライ&ロビー・ミーツ・マッド・プロフェッサー feat. ダーク・ファントムの『The Next Revolution With Dub Wise』についても。 「両作品共、スライ&ロビーのリディムを混ぜて昔の“アリワ”のサウンド・スタイルをリメイクする、というコンセプト。スライ・ダンバーとは一緒に仕事したことがあるがスライ&ロビーとは今回が初めて。昔からの念願が叶って嬉しいよ。今後とも一緒にやりたいね。ディーン・フレイザーはNo.1のホーン・プレイヤーだと思う。ここ数年“アリワ”の作品でもサックスを吹いてくれるんだ」

ダーク・ファントムは息子さんなんですよね? 「そうなんだ。子供の頃からスタジオに出入りしていたんだ。彼はキーボードやドラムもプレイ出来る。今回はダブ・アーティストとしてフィーチュアしたかったから。今後も“アリワ”のアーティストとして作品をリリースしていく予定だよ」

今後の展開はどう考えてますか? 「とりあえず、81セッションズのコンピレーションをリリースする予定。これは81年に制作した未発表音源集なんだ。どうしてその当時にリリースしなかったのかと言えば、レゲエ・シーンの流行と合わなかったから。ただそれだけの話。82セッションズもあるんだけど。あと『アーリー・ダブ』もののコンピも出すつもり。これからは“アリワ”のアーカイヴに秘められていたいんだけど、今年は25周年にあたる祝いの年だから一気に開放しようと思ってね。

設立の年から毎年最も良質な未発表音源を集めてアルバムとして出していこうか、と。シングルも何枚か出すんだけど、今のところ決まっているのは、Queen Omega「Work To Do」、Aisha「Glority His Name」、Earl 16「Black Man」、African Peal「Zion Bourd(From The '83 Sessions)c/w Masquerade Dance」(From The Album '81 Sessions)、Aqizm c/w Kunte Version Mad Professor「Kunte Kinte」(Taken From The '81 Sessions)…これくらいかな。

「Work To Do」は『The Dub Revolutionaties』の日本盤のボーナス・トラックとしても聴けるよ。あと“ファイヴマン・アーミー”についても言わせて欲しい。素晴らしいコンセプトがベースにありつつ、とてもフューチャリスティックな感じがするレーベル。働いている人たちもグレイト・ガイズでやる気を感じるし、最近での“アリワ”の日本での知名度を高めてくれているので感謝しているよ」






"The Dub Revolutionaries"
Sly & Robbie meets
Mad Professor feat. Dean Fraser
[Fiveman Army / fmar-025]




"The Next Revolution With Dub
Wise"
Sly & Robbie meets
Mad Professor feat. Dark Fantom
[Fiveman Army / fmar-014]


"There's More To Life..."
Aisha
[Fiveman Army / fmar-012]





"Wake Up"
Earl16
[Fiveman Army / fmar-011]