“土曜週末の顔揃う 第4土曜Harlemでどっぷり酔う 揺れな!濡れな!音に酔いな!踊りな!のりな!ノリノリのりな! シェレル、アレキサンダー・オニールみたいにHazime、Pushim、Muroで何か起きる No Doubt Taki、No Doubt Missie、No Doubt Safari、No Doubt Hazime”(「7 Dayz」より)

 Dabo、Nitro、K Dub Shine、XBS、Sphere Of Influence、Shakkazombie等のプロデュースやリミックスを務めてきた事でも知られる“東京土曜=Harlem No Doubtの顔”の一人であるDJ Hazime。“現場職人(=DJ)”を地でゆく彼は、あくまでも“DJ”を確固たるそのアイデンティティとして生きるヒップホッパー、だ。以前、彼と話した時に印象深かったのは「トラック制作をガンガンやっていこうとは別に考えていなくて。Daboとか身近にいるラッパーに頼まれたらやるけど、ハンパなものは絶対に渡せないからそれなりに時間も掛かると思うし…」という真面目な一言だった。だからこそ彼がソロ・アルバムを制作中だというニュースを耳にした時は、それはもう責任感の強さも並じゃない彼らしい内容になるだろうという想像は容易についたのだが……。上ってきた盤を聴いてまず感じたのは、そんなことよりも何よりも強い彼なりの“Hip Hop Love”に他ならなかったワケで。

つまり、ここに在るのは、彼が好きでタマらない種のラップとビートだけということ。そこには打算的なものは一切感じられない。サンプリングを主体とした記憶に残るタイプのトラック群は流石にアルバムの名に相応しい品揃えであるが、“ドラムの鳴りのカッコ良さ”というポイントでも通底するものがあるし(一曲毎に使用機材がクレジットされている)、そうした“スジの通し方”はオーラル・キャストの人選にもしっかりと表れている。本作に登場するゲスト・ラッパーは順に、Nitro Microphone Underground、そしてDabo+Suiken+K-Bombの元Channel 5(言わずもがなDJ Hazimeもそのメンバーだった)、Black Talonの核となるグループ=Brobus(アルバムもアツかった)とNo DoubtのホストMCでもお馴染みのC.T、餓鬼レンジャー、Rhymester、“R-Rated”を興したばかりのRyuzo(Maguma MC's)と同じく京都の注目株Anarchy(Ruff Neck)にM.O.S.A.DのEqual、K Dub Shine、Deli+Kashi Da Handsome+般若、Lunch Time Speax、Muro、Shakkazombie。

そこに“企画性よりも普段の付き合いや自分がそのアーティストのファンであることを前提”としたタイトさが見えるのは言うまでもないだろう。それぞれの“トピック”も、Nitroによる“ハヂメ賛歌”から、戦争の時代に命の価値を改めて問うRhymesterならではのシリアスな「いのちのねだん」、生まれも育ちも渋谷のK Dub+Hazimeだからこそ、の「渋谷が住所」の続編やHarlemコンピ(Ver3.0)のHazime名義曲「Another Sure Shot」の外伝となるアフター囃「マジッスカ!?」に、Muroがその多忙な一週間を綴った「7 Dayz」(MuroとPushimはDaboの「Diamond」での声ネタやPVキャメオ出演という形での共演こそあったものの、本格的なコンビ曲は今回が初! またHazimeは過去にPushimのライヴDJを務めた事もある)等々、一曲一曲が言葉/意味を追いたくなるものばかりだ。また曲間のインタールード/スキットのビートにも“らしいコダワリ”(Pete Rockが好きな人にはワカるでしょ)が…。

そんな“長く聴き続けられる”ハイ・クオリティなヒップホップ・アルバムを作り上げたDJ Hazimeという存在はやはり実直だな〜、と思う。オマケと呼ぶには豪華スギるオールドスクール・ミックス(ディスク2)の内容も含めて。ヒップホップ初心者の人もとにかく買って、聴いて、現場へ行こう。そこには平気な顔して毎週毎週数多くの客を躍らせている“彼”が待っているから。



"Untouchable"
Anthony B
[Togetherness Records]