圧倒的なパワーと内容量を誇る新作『Reign Of Fire』のリリースを間近に控えて、全米中に灯をともしまくっているケイプルトンを電話でキャッチ。ツアー・バスの中、というイマイチの条件にもめげず、我らがプロフェットは携帯で吠えまくること15分。水や電気同様、エネルギーは高いところから低いところへ流れるもの。終了後、元気をたくさん貰った気がしたインタヴューと相成った。この火男語録+新作で、みんなが元気になることを願いつつ。た。

全米ツアーはどんな感じで進んでいます? 「いい感じだよ。例のゲイ問題のおかげでいくつかキャンセルになったけれど、無事に出来たところでは前向きな反応をもらっている」

先月、NYで行われたBB・キング・クラブでのショウも、素晴らしかったと思います。 「ありがとう。モーガン・ヘリテッジも顔を出してくれたし、あのショウは特にヴァイブが良かったね」

先輩のココ・ティーと一緒というのも、ツアーが成功した原因ですよね。 「そうなんだよ。I&Iの考え方を先に広めた人だし、俺は彼の音楽を聴いて育った訳だから、一緒にツアーが出来るのは俺にとってもありがたい経験だ」

新作を2週間後にリリースしますが、今回はどんな風な作品に仕上げました? 「いつもより伝統的なルーツ&カルチャーを強調している。俺が合い言葉にしている“モ・ファイアー”の火は破壊するための火ではなくて、正義や救済についての言葉が音楽を通して広がる時に点く火を意味している。それが広がるようにという気持ちを込めた作品だね」

20曲と収録曲が多めになった理由は? 「それだけ伝えたいメッセージがあったからだよ」

ルーツ&カルチャーの曲も勿論ありますが、"Real Hot" や "In Her Heart" といった流行のリディムを使用したダンス向きのチューンも多めに入れていますね。やはり、ダンスホール出身としてはその点も大切? 「もちろん。そこが俺の出発点だからね。今はライチャスネスやコンシャスネスをダンスホールのリディムに載せて届けているようになって、競争のためではなく、メッセージを伝えるために音楽をやっているところが違うけれど」

"Stepz" リディムの「Or Wah」は最近の曲ですよね。あの曲での声色の変化が凄い、と思ったのですが。 「あれは、Thunder Clapで作った曲のリミックスだけどね。俺はリディムを聴いた時にその響き方に注意するんだ。オーセンティックに聞こえるように、リリックの内容を考えて、自分の声のトーンがちゃんとリディムに合って、一体化させるのは大事だ。あれは、ユニヴァーサルな事象を歌った曲だから、色々な声を使う必要があった」

「Sunshine Girl」でスティーブン・マーリーをフィーチャーしているのはどういう経緯で?  「デミアン・マーリーのアルバムに参加したのをきっかけに親しくなった。彼らとはラスタファリアン同士だから、同じエネルギーを所有しているよね」

クレジットが手元にないのですが、プロデューサーでは誰が参加しています? 「うーん、全員トップ・プロデューサーだよ」

ファイアー・リンクスやルネッサンスといった、サウンド・システム出身のプロデューサーも参加しているようですが、彼らとスタジオ出身のプロデューサーでは違いはあります? 「一番の違いはサウンド・システムに直結して、即プレイされることだね。毎週のようにかかかるから、プロモーションの力はすごくある」

最近、ナッティ・キングやリッチー・スパイス、チャック・フェンダなど、ラスタ系のアーティストが注目を浴びているのは、時代が要しているからだと思いますか? 「そうだろうね。色々な時代、場所で正義は必要とされてきたけれど、今は特にそういう時期だと思う。俺やアンソニー・B、ブジュ、ルシアーノ、デターミン、シズラはI&Iの考えを広めるために一つの力となってやってきた。それに加えて、ナッティ・キング、ウォリアー・キング、チャック・フェンダ達が力をつけて来たのはいいことだと思う。ずっと前からやっているリッチー・スパイスが、ここに来て注目を浴びているのも良かったしね。大切なのは、それぞれがいい音楽を作ることだ。それが出来るアーティストが増えて、さらに俺達全体の力が広がって盛り上がっている状態だね」

新作の中で、自身で特に思い入れのある曲は? 「気に入っている曲は多すぎて選べないけど、個人的に思い入れがあるのは“Undeniable”かな。マジェスティーに対する愛や自分の信条をそのまま歌った曲だからね」

私もあの曲が一番好きです。最後に次の計画を教えて下さい。 「このアルバムがVPとの契約の最後の作品だから、この先は自分でレーベルを立ち上げてやっていくつもりだ。ほかの若手を助けて、彼らの作品をそこから出してやりたいと思っている。才能はたくさん集まっているよ。プロダクション方面も手掛けたいし。ディストリビューションなどで、VPとはつき合って行くことになると思う。世話になったことは、忘れないタイプなんだ」



"Reign Of Fire"
Capleton
[VP/VP1717]