Mix CD
k.dope.eps 1. Bach Logic aka BL / Re-Make It Black (Pure Sand)
実は洋モノ・リミックスも幾つか手掛けているバック・ロジックがあの『Back Album』を丸々リミックした、という話題の一枚。既にポール・ナイスやピート・ロック、ジャスト・ブレイズ、9thワンダーらがトライしているこの難題(?)をBLは一ヶ月足らずで「トータルでアルバムとして聴けるバラエティ」を意識して仕上げてきた。ジェイ・Zのフロウの“ノリ”も問題ナシ。アレ、こんな曲だっけ?というくらい別の曲、となっている。この“リミックス”はシリーズ化の予定。


Albums
2. Ali Shaheed Muhammad / Shaheedullah And Stereotypes (MCJP)

束の間の再結成ライヴも上々だった(と聞く)ア・トライブ・コールド・クエストから最後のソロとなる(ジャロビを除く)アリの初アルバムが遂に登場。ルーシー・パールを経てきただけあって、そのサウンドはソウル/R&Bに幅が振れているものの、ほぼ全編でアリのラップが聴ける、という彼らしいヒップホップ・アルバムになっている。ストークリー(元ミント・コンディション)やアンプ・フィドラーも尽力した“生音”重視のサウンド・プロダクションも実に良い。Deep!
3.The Beatnuts / Milk Me (P-Vine)

スヌープがソロ・デビュー以前からウォーレンG、ネイト・ドッグと組んでいたユニット=213が“スーパー・グループ”として(?)復活。その記念すべき初アルバムは、DJプーからハイ・テック、ミッシー・エリオット、カニエ・ウエスト、ノッツ等、最近のスヌープの“開かれた作風”(?)に準じるものであり、“ラッパー”としての立居振舞いに拘るウォーレンGや、相変わらず我が道をゆくネイトとの絡みも期待通りのモノ。ウエッサイ物のリリースでは久々の大玉と断言出来るだろう。

4. 213 / The Hard Way (Victor)

オリジネイターズ名義作を挟んでの実に3年振り(!)となる通算6作目。サイコーなビートとサイテーなリリック(ホメ言葉)という彼ら“ならでは”の味わいは変りようもなく…それは「Intro」から「Hot」で確信へと変る。金太郎飴みたいなラップも「待ってました!」だしヒップホップ・ファンならまず聴いて損は無いハズ。新機軸(?)としてエリッククラズノーらミュージシャンのフューチュア、というトピックもあるがそれも邪魔にならないくらい独自の世界を貫いている。
5. The Alchemist / 1st Infantry (Lexington)
「オリジナル・ソウルアサシンズ・メンバー…」そう、あのフーリガンズの、というよりもダイレイテッド・ピープルズやモブ・ディープ、ジェイダキス、Nasらにビートを提供した、ドープかつドラマティックなトラックを得意とする人気プロデューサーと言った方が通じ易い(?)アルケミストのオフィシャル・リリースとしては初のリーダー・アルバム。プロディジーとザ・ゲームの「Dead Bodies」や、スタット・クォーとMOPの「Stop The Show」、モブ・ディープの「It's A Craze」等、既に馴染みのあるチューンも含められた職人ぶり(サンプリング含む)が嫌味なく伝わる充実作。
6. Mr. Complex / Twisted Mister (P-Vine)

その複雑なリリカル/ライム・スタイルゆえ“ミスター・コンプレックス”と呼ばれる(名乗る?)彼の通算3作目。“7ヘッズ”よりリリースされた前作もリー・ストーンら相性のいいプロデューサーらが協力した秀作だったが、今作はシングルの寄せ集め的要素の薄い、よりアルバム然とした構成で最後まで一気に引き込まれてしまう。ファロア・モンチ、デ・ラ・ソウル、DJスピナ、ダイレイデッド・ピープルズ、ビズ・マーキー、モーチーバ、ビヨンド・ゼア、エル・ファッジ、という“繋がり”もフルに活かし、そのヴァーサタイルなラップ表現で魅せる強力作! 
7. Oh No / The Disrupt(Lexington)


“ストーンズ・スロウ”マニアでなくともマッドリブやその弟オー・ノーのクレジットには反応してしまうのでは? しかしながら彼のソロ・アルバムが出てこようとは4〜5年前には想像もつかなかった(失礼)。アーティスト(MC)として中々に“味のある”部分はこれまでの諸作でも伺えたが、いい意味でその自然さはこのアルバムにも受け継がれている。“外部 プロデューサー”には勿論兄=マッドリブにJ・ディラが名を連ね、ドクトクのファンク感のあるラップ・アルバムに。期待通り!
8. The Procussions / Up All Night(Miclife)

ジャジーなヒップホップというカテゴリー(?)を抜きにしても、サウンド・プロヴァイダーズ(全部良い!)やこのプロカッションズの1stは素晴らしかった。その前者のJ・スキルズがサウンド・エンジニアを務め、約8時間にも渡りジャムったスタジオ・セッション10曲に未発表トラック、アナログでしか聴けなかったレア・トラック、リミックス・コンテスト優勝曲を加えたこの作品も聴き逃せない“生の気持ち良さ”が詰まった一枚となっている。フリースタイルなMCに、フェンダーローズ…。バッチリです。
9. Phocus / A Vision And A Plan(Handcuts)

カナダはトロントのムーンシャイン(プロデューサー)とNYのサイコラックス・ワン(MC)のデュオ=フォーカスの初アルバム。ムーンシャインは別ユニット=ライトヘイテッドでも活躍中(EPには9thワンダーも参加)だが、殆どの人が彼らの存在をこのアルバムで知ることになるのでは? ニュースクール的清さと心地良さが貫かれた本作で彼らブライトなユニットとして記憶されるようになるだろう。それ位、精度の高いビーツとラップの詰まった作品だ。イルマインド、ステフ・ポケッツそれぞれのリミックスもボーナス収録。
10. Gore-Tex / Reload(columbia)

ニトロの2ndに続いてゴア・テックスの噂の初ソロ作も到着。プロデューサー陣はムロ、DJデンカ、ワタライ、アクエリアス、ジョセフ・カッチョイーナ≒マッカチン、DJヴィブラムに海外からはラージ・プロフェッサーにダイアモンド・Dとそれぞれに男臭い、ヒップホップのシブさを弁えたクリエイターばかりで、ゴア・テックスというこの唯一無二のラッパーをもり立てている。ゲストではニトロ全員に、Mr.ピーク(=ムロ)で思わずグッとくるトピックもアリ、の大作。

11. 4WD / 4-Ring Kudo(columbia)

L-ヴォーカルとのスプリット盤に続くソロ・デビュー・ミニ・アルバム。タイトル曲「4×4(四輪駆動)」はDJセロリのプロデュースでこの規格外の大器が「何でマイクを握っていつのか」という初期衝動をストレートに言い表した自己紹介チューン。その他にもナオ・ザ・ライザ、ヴァキシム、M・ヒロイシ、バックロジック、そしてレゲエ界からはジュニア、ヴェイダーが参戦。一本筋の通った男汁満載の6曲入り、に仕上がったと思う。手前ミソで申し訳ないが、この男とキャラが被るMCって他にいる?
12. マボロシ / Slow Down!(Ki/oon)

ライムスターのマミー・D=坂間大介と、作品/ライヴで絡んできた超ファンキーなロック・ギタリスト、竹内朋康のユニットのデビューのデビューEP。“表”曲「Slow Down!」はクールにドライヴするギター・リフやアドリブが最高にR&R的なツボを突く会心曲で、Dのビートもラップもいつもとはまた一味違ったノリを生み出している。また併録の「Hard Core Hip Hop Star」ではタイトルからは想像もつかないような“哀愁”のグルーヴ…。フル・アルバムが今から楽しみで仕方がない。