Mix Tape
k.dope.eps 1. Azzurro / Vibes & Stuff (Miclife)
単独名義でのミックス・テープとしては(プロモを除けば)『Electric Relaxation』以来となる“静かなるミックスマスター”アズーロの新作! 今回はマイクライフからのリリースであり、当然ながら同レーベルからのクラシックも含まれているが、基本的にオリジナルを含め何にも縛られない自由奔放且つ筋の通ったセレクション&ミックス。これまでの“アズーロ仕事”にヤラレ続けてきた人には言わずもがなな、又これからの人にもマッサージやエステ替わりにオススメしたい逸品。


Albums
2. DJ Green Lantern / Countdown To Armageddon Pt. 2 - Back To The Lab (Green Lantern)

今やエミネムのDJ、と言った方が通り易い(?)グリーン・ランタンの新作ミックス物。ロッカフェラのボス=ディモン・ダッシュとのWネーム(?)のブツだけに、売れっ子アーティストのブランニューやエクスクルーシヴがソツなく収められていて“新しモノ好き”には堪らない内容に。シェイディの新人スタット・クォーや、プロディジーと50セントの共演曲、アンドレ3000とヤングバックの共演曲、アフターマス入りしたバスタ・ライムスの新曲の他、オリジナル・ブレンドにフリースタイル、と盛り沢山な一枚。
3. Lloyd Banks / The Hunger For More (Universal)

Gユニット第3の男、L・バンクスのソロ・デビュー作。昨年最もいい思いをしたクルーの一員の筈なのにタイトルを見る限り、そのハングリーぶりはグループの時よりもヒートアップしてるような? 事実、その中身の方も相当凄いことになっている。50セントを始め、先日無事出所した2ndマン=トニー・イエイヨーにヤング・バック、ザ・ゲーム、そしてエミネム、更にはスヌープ、ネイト・ドッグらをフィーチュアしつつ、豪快に立ち回る姿は正にウォリアー。キャラもラップもソロとして見事なくらい“立っている”。Gユニット恐るべし!
4. Masta Killa feat. Wu-Tang Clan / No Said Date (Handcuts)

ウータン・クランの“ラスト・サムライ”、マスター・キラー生涯初のソロ・アルバムが6年越しで完成。グループ/クランの一員としてのチーム・プレイに徹してきた(他のメンバーのソロ作への参加も同じ)彼だけに、どんなカラーの作品になるか想像つかない輩も多い事だろう。そして彼は“最もウータンらしいソロ”をここに届けてくれた。RZA、マセマティックスらの提供したビートも正にそれ、ならばフィーチュアされている他のメンバー全員のパフォーマンスも熱い、の一言。主役のフロウのスムースさにも改めてヤラレる事必至。
5. KRS One / Keep Right (P-Vine)
前作『Kristyles』を最後にコッチを離れた天下のブラストマスターが新天地として自ら選んだのはボストンの中堅インディー・レーベル、グリット・レコーズだった! タイトルにもある様に、ヒップホップの改正開始を叫び続けているティーチャーの凄まじいばかりの気合いが全編に漂っている。ドミンゴら相性のいいドープ・ビート・メイカー達と、ヒップホップ以外の何物でもないストロング・ミュージックを鳴らすKRSワンはやっぱり最高! アートワークにも原点回帰的姿勢が見える快作。ヒップホップ・ティーチャー健在ナリ。
6. Steph Pockets / My Crew Deep (Handcuts)


フィラデルフィア出身の才女=ステフ・ポケッツ。ボブ・マーリーの娘としても知られる彼女は、その事実を自らの売りにする事なく、これ迄にウィル・スミス、バハマディア、ジャジー・ジェフ、レディ・アルマ等とのセッションを重ねてきたマルチ・ミュージシャンだが、ようやくその才能をソロ作で全開にするチャンスが巡ってきた、という訳だ。ラップ、ポエトリーリーディングに歌を様々な表現方法を駆使し、オーガニックなサウンドと溶け合うソウルフルな音楽は幅広く聴かれるべきもの。ピート・ロックによるリミックスも美味。 
7. V.A. / R&B Hiphop Party 3rd Anniversary(Avex)

「聴けば分る」という合言葉で怒濤のリリースを続けてきた全世界でたった一つの“トラックス・ミックス・シリーズ”の3周年記念盤。今回はDJ V・スムーヴ&サージ・スナイパーによる、あの“ダンスホール・レゲエ・スペシャル”の第二弾(しかも今回はグリーンスリーヴス音源他オリジナル物も多数)と、DJ Shuzo & Daskによる最新AV8物のパーティ・トラックス・ミックスの2本立て(2CD)、と大盤振る舞い。盛り上げる/アガる為にあるシリーズなだけに今回もノッケからトバしてマス。このシリーズの初心者もまずはここから。

8. K Dub Shine / 理由 (Sony)

『理由』というタイトルにこのアルバムを制作したワケ、またK Dub自身が“リアルにやる理由”が込められているかの様な自伝的作品。3作目にしてこの様なアプローチを取ったのも、言われ無き誤解に対する正式な回答をする意志を彼自身が持ち続けてきた証なのだろう。既にリリース済みの3枚のシングルがアルバムの中でどう機能しているかは聴いてのお楽しみ。制作ではベン・ザ・エース、オアシス、イノヴェイダー、セロリ、D-オリジヌーらが参加。K-Dubにしか作り得なかった赤裸々な大作。
9. V.A. / Phat Waxx(Positive)

クラブ・ミュージックのクリエイター及びDJとヒップホップ・アーティスト(MC)とのクロスオーヴァー・セッション全9曲の録り下ろし曲を収めたコンピ盤。グッドフェローズとRecloose、スウォードとDub Squad、E.G.G.マンとJazztronik、ツイギーとSpeedometer、ガグルのハンガーとDraco、トコナXとLatin Ras Kaz、ランチとNumb、イルリメとMoodman、マイカデリックと電撃ネットワーク、と異色の顔合わせが続く。というだけで聴いてみたくなる好企画。ヒップホップしか聴かない、という人もこの面白さにハマってしまうハズ。
10. H★G★S★P / High-Grade-Special(Victor)

餓鬼レンジャーのDJ/プロデューサー、ハイ・スウィッチとグリーンピースの2人によるプロデュース・アルバムが登場。フィーチュアされている気になる面子は、ジブラ、ダボ、ハイ-D、Q、スフィア、イコール、山田マン、ミツ・ザ・ビーツ、Keyco等、組合せ的にもかなりフレッシュな感じで、プロデューサーの2人のネクスト・レヴェルが示されているのは言わずもがな、の好盤。カラフルなオリエンタル・ビートにノリノリのゲスト陣。いいVibes出てますねえ。餓鬼の待望の新作(3rd)ももうすぐ!
11. Doberman Inc / Fivestarliners(Victor)

O-Town Finest、約1年2ヶ月ぶりの3rdフル・アルバム。BL改めバック・ロジック率いるプロデューサー・チーム=マッチスティックメンの4人がガッチリとフル・サポートした作品としてはこれが初、となる。“全てにおいて5つ星のヒップホップを届ける”という使命を自らに命じた5人の若きMC達がここで見せるライム・デリヴァリーの巧みさは前作からは想像もつかなかったもの。ボーナス・トラック「Conversation Piece」まで曲間ナシで突っ走る、若さゆえの大活劇。
12.Wolf Pack / Gergon File(KSR)

上のD.I.と同じD-St.Ent.所属のアーティストながら、その方向性はD.I.がセ・リーグだとしたら文句ナシにパ.リーグとなるマニアックなMCコンビ。ライヴで鍛え上げられたパフォーマンス力が如何なく発揮されたこのデビュー・アルバムは、Uボートからプロレス、漫画にお笑い、風俗といった彼らのこよなく愛する特殊なエレメンツがそこかしこにちりばめられた日本語ラップ・マニアには堪らない、いや他には絶対に無いタイプの一枚となっている。D-St.の仲間達も友情出演。同日発売の『D-St. Infinity』もひとつヨロシク!