ホームページでの活動無期限停止宣言でファンを驚かせたロッキングタイムが予告通り、4月2日の東京公演を最期に活動を停止した。早速、彼らの最期の勇姿をレポート。

 ロッキングタイムが、4月2日の渋谷クラブクアトロにて行われたライヴをもって、約9年にわたる活動にひとまずのピリオドを打った。デビュー・アルバムのプロデューサーでもあるこだま和文や、彼らの作品やライヴにも幾度となく客演した西内徹(Reggae Disco Rockers)らのゲストを迎えた今回のライヴは、「雲の上まで」「いつまでも」「ひとつ」といった初期の楽曲から、「Rock With Me」「You're The Only One」「涙くんさよなら」など彼らのレパートリーを彩った名カヴァーの数々まで、アンコールも含め全27曲を披露。文字通り集大成と呼ぶにふさわしいラインナップ。演奏面も、僕がこれまで見た彼らのどのライヴにも勝ってたんじゃないか?と思うほど、素晴らしい内容だった。

 ロッキングタイムの魅力とは…なんて、いちいち書き出すことではないかもしれないが…やはり“ロック・ステディのやさしくもタフなグルーヴと、シンプルでストレートに胸に響くうたことばの出会い”というところに尽きる。その精度は作品を重ねるごと、ステージを踏むごとに高まるばかりだった。僕は前述したような初期の楽曲も大好きだが、結果的に最後のオリジナル・アルバムとなってしまった、3rd『Rocking Time』収録の「ありふれた言葉」や「プリテンド」「Sha-La-La」、また今回のライヴでは演奏されなかったが「鮮やかな光」などメジャー・デビュー後の楽曲群が、音楽的にも詞の表現としても一層の拡がりを見せていて、彼らの次なるステップには大きな期待をもっていた。

だからなおさら、ライヴ中盤で披露された「始まる前に」(2nd『Song Book』に収録)の歌詞にはグッときてしまった……「くだびれてしまったの? まだ若いのに/くだびれてしまったの? はじまるまえに」って、ステージ上に立ってるメンバーたちにそのまんま返すわ!と突っ込みも入れたくなったりもしたが、でも、まぁ今となってはしょうがない。それこそ、引用した歌詞に続く「君の幸せを 祈っているよ」というフレーズを心を込めて贈りたい!って、素直に思えるぐらい、この日のライヴは文句ナシに充実していたのだから。

 ロッキングタイムの6人は、それぞれの道を歩き出したが、歌えて踊れて笑えて泣けるパーティ・バンドが、90年代後半から2000年代前半にかけて僕らを楽しませてくれたという事実は、いつまでも色褪せないだろう。しかし、ロッキングタイムというバンドが居なくなってしまってから、レゲエやスカ/ロック・ステディのシーンに、彼らが与えてくれたような“歌えて踊れて笑えて泣ける”感覚を満足させてくれる存在を見つけられていないのが、今一番の悩みである。