沖縄! ジャパレゲ! とくれば、今や一足早い夏の到来を告げる代名詞として定着しつつあるが、なんと今年は同じ宜野湾にある野外ステージで同じ名前のイヴェントが別々な主催者によって開催されるというのだ。2つに分かれたことによって、余計にチケット代を払わなければいけないレゲエ・ファンにとってはアタマの痛いハナシだ。が、まぁ、そういった事情はさておき、筆者が観に行くことができた4月3日のほうの“ジャパレゲ”、イヴェント自体はなかなかに充実していた。

移動のトラブルもあって、当日出ずっぱりでMCを務めたRankinTaxi、
Megahorn & Ryurex、B-Ninjah、Machacoのステージは観ることができなかった
(Megahorn & Ryurexがまだウォーミング・アップ中の観客を随分と煽ったそうだ。残念)。

 イヴェント前半はKuubo、森俊也などラガマティックスのメンバーを中心とした面々がバンドを担当。Rudeboy Faceは、4月の沖縄とは思えないほどの寒さとシトシト降り続く雨という悪条件のなかで善戦。続いて登場したのがYoyo-C、これが素晴らしいアクト! アルバム『The Specialist』でみせた拡がりのある音楽性とバンドとの相性がバッチリ噛み合っていて、「Shadow」で展開されたジャズ的アプローチなど、ダンスホール・レゲエのステージングがまだまだ進化する可能性に満ちたものだと随所に感じさせる充実ぶりだった。名古屋のサウンド=GuidingStarが登場したあとは、若干趣向が変わり、SOFFet、クリップクライマーズとヒップホップ・アクトが続く。Miss Mondayは最後の歌でSpinna B-ill & the Cavemansを呼び込み、コラボ・シングル「Roots」を披露した。女性ダンス・チーム3組によるショウタイムを挟んで、だいぶあたりも暗くなってきたところで、ステージにHome Grownのメンバーが立ち後半戦へ。

勢い良く飛び出したNG Headが一気に“エクスタシーまで皆を誘導”したかと思えば、Junior Dee、Papa U-Geeの横浜勢も卓越したステージングで盛り上げていく。その熱がRed Spiderのアッパーなサウンドでさらに増幅された頃には、雨の冷たさなんてどうでもよくなっていた。ふたたびHome-Gがステージに戻り、いよいよイヴェントは佳境へ。Boogie Manを筆頭にVader、Kenty Gross、Silver Kingと大阪が誇る重圧声四人衆が束になって襲いかかれば、会場中にライターならぬアンブレラの華が舞う。そして、待ってました!のH-Man。こんな雨の中で我を忘れて楽しんでいる大勢の観客たちに、「どっちが(最後まで)レゲエ馬鹿でいられるか?」と煽れば、もちろん全身でそれに応えるしかない! 

続いてメジャーからのリリースも控える真打ちPapa-Bが登場すれば、会場の熱は頂点に。なかでも「Awa-Dance」は、ダンスホール・レゲエとソカと阿波踊りとエイサーが沖縄の地でチャンプルーされたような感覚で、大いに楽しめた。そして、今日のダンスはこれで終わらない。最大のヤマ場を魅せたのは、地元が誇るDJデュオ=U-Dou & Platyだった。基地問題など地域に密着した問題を、ウチナンチューで背伸びせずに綴っていく。とくに総勢30人近くのエイサー隊による太鼓のリズムと三線の音だけで歌い上げた「いちごちゃん」と「クユイヌハナシ」は震えを覚えるほどの素晴らしさだ! 観客を見れば、若い女の子や男の子たちがごく自然にエイサーの踊りを踊ってたりして……その地域ごとでそれぞれレゲエの楽しみ方があるって当り前のことが、なんだかとっても羨ましく感じられた夜だった。