昨年末、そのスウィートなヴォイスで「Turn Me On」をいきなりイギリス・チャートのNo.2に叩き込んだケヴィン・リトルが、その勢いをそのままに早くもファースト・アルバム『Kevin Lyttle』をリリース。“ソカ伝道大使”とも言われている彼に早速電話インタビュー。

まず自己紹介をお願いします。
Kevin Lyttle(以下K):俺はセントビンセント&グレナディーン出身のケヴィン・リトル。セントビンセントで生まれ育ったから、俺のルーツはセントビンセントだと言っても過言じゃないね。性格は率直で社交的かつフレンドリー!

あなたが生まれ育ったセントビンセント&グレナディーンの音楽シーンと、トリニダード&トバコのソカ・ミュージックとはまた違うのですか?
K:ソカ・ミュージックとカリプソが中心だね。基本的にはトリニダード&トバゴのソカ・ミュージックと同じだけど、それぞれの島に独自のフレイヴァーがあるよ。例えばセントビンセントだと俺の音楽のようにポップ寄りなソカが多い。例えばラガを取り入れたり、メロウなバラードがあったりね。

地元のカーニバルについて教えて下さい。カーニバルの時はどんな状況になるのですか?
K:毎年6月1日から7月末まで開催され、毎晩楽しいパーティが続くんだ。人々は華やかな衣装を身につけて踊り、音楽が街中に流れる。元旦から2月末まで開催されるトリニダードでのカーニバルに似てるよ。時期がぶつからないように、島ごとにカーニバルの日程が決まっているんだ(笑)。

そうした音楽環境で育ったあなたにとって、一番強烈な音楽体験は何ですか?
K:15歳の時、初めてステージで歌ったことかなぁ。観客全員が突然席から立ち上がって踊りだし、一緒になって歌ってくれたのが一番強烈な体験だね。歌手になることを本格的に意識し始めた、俺にとっての大きなターニング・ポイントだった。

あなたの作品を聴いて思うのですが、レゲエ、特にダンスホールのテイストも上手くブレンドされていますね。実際、ダンスホール・レゲエをどう捉えてますか? またレゲエ・シーンで好きなアーティストやプロデューサーがいたら教えて下さい。
K:勿論大好きだぜ! 子供の頃からイエローマンやチャカデマズ&プライアーズ等のダンスホール・レゲエを聴いて育ったんだ。プロデューサーだとジェレミー・ハーディング、スライ&ロビーかなぁ。

プロデューサーのエイドリアン・バリーについて教えて下さい。どんな作品に関わった人ですか?
K:エイドリアンは「Turn Me On」の他にアルバム収録ナンバー「If You Want Me (Call Me)」をプロデュースしている。セントビンセントのソカ界では最も有名なプロデューサーなんだ。いい曲を沢山手掛けているよ。

比較的若いプロデューサーですか?
K:確か、現在37、8歳位だと思う。

CDも出ていなかった無名同然のあなたに対してアメリカやイギリスでのオーディエンスの反応はどうでしたか?
K:アメリカでは大規模なコンサートを1回だけ体験したよ。イギリスはライヴよりテレビ出演でのパフォーマンスの方が多かったかな。イギリスのテレビだと“口パク”で歌うことが多いのが、気に入らないけどさ(笑)。オーディエンスの反応はいつも最高。今までのライヴで悪い反応を得たことなんて一度も無いね。

「Turn Me On」が全英で大ヒットを記録し、状況が一変したと思います。その事によってあなたが得たものは何ですか? また意識の変革などがあったら教えて下さい。
K:プロモーション活動やライヴが増えて、学ぶことが多いよ。この前ニューヨークで3万人の観客を前に「Turn Me On」を歌った時、まず沢山の白人の観客が集まったとに驚き、皆が歌詞を全て覚えていて一緒に歌ってくれたことに更に衝撃を受けた。俺が育ったカリブだと褐色肌の人ばかりだから、実に不思議な体験だったよ(笑)。うん、日々成長していると思うな。ここまで成功したのは神の恵みがあったからだと思うから、これからも更に頑張らなきゃと思う。

「Turn Me On」のラジオ・エディットだけでなく、「Last Drop」、そして「Mama Mia」にもスプラガ・ベンツが参加し、素晴らしい絡みをみせてくれます。これはあなたのアイデアなのでしょうか? また、スプラガ・ベンツの印象などを教えて下さい。
K:面倒見の良い兄貴のような存在だよ。彼は知的だし、ビジネス面にも長けているよね。俺のマネージャーの紹介で2年前から知り合いだから、今回参加してくれることになったんだ。本当は最初の曲ではビーニ・マンがゲスト参加の予定だったんだけど、交通事故で入院していたから残念ながら実現せず、「Mama Mia」へのゲスト参加が決定していたスプラガ・ベンツが代わりに参加することになった。

今後、共演したいアーティストは誰ですか?
K:やっぱりビーニ・マンだね。

今では日本のクラブでも「Turn Me On」が頻繁にプレイされています。日本のファンに向けてメッセージをお願いします。
K:ホント? そりゃ嬉しいね! でも「Turn Me On」1曲で驚くなよ! これは単なるスタート。今後更に凄い音楽を届けていくから、今後もケヴィン・リトルへの応援をよろしく! 今後日本へ行く機会があれば、日本料理を食べたり、日本の歴史や文化に触れたいね!




"Kevin Lyttle"
Kevin Lyttle
[Warner / WPCR-11835]