前作『Life』からリリース期間は開いたが、その間も止まる事なく濃密な時間を過ごしてきたラスタ・シンガー、Macka Ruffinが新作をリリース。早速、インタビュー。

●来日する前はどの様な活動をしてきたのですか?
Macka(以下M):ジャマイカではドラマーとしてCongosやAugustus PabloとかWailersとか、沢山の人達とレコーディングをしてたよ。来日直前の4年間はカナダでツアーをしてたんだ。

●86年に来日してからずっと日本で活動していますが、それは何故?
M:勿論、音楽の為だよ。カナダからジャマイカへ戻ってきた時、日本人プロデューサーに誘われて六本木のホットコロッケの為にプレイしてたんだ。お陰で色んな人達と知り合えたよ。

●ジャマイカ人として日本のレゲエ・シーンを長きに渡り見てきて、どのように感じますか?
M:俺の視点からは、日本のレゲエ・シーンは自然と成長してきてるよね。でも、レゲエっていうのは、自分自身を表現するものなんだ。俺が見る限り、日本人はもっと音楽で表現をするべきだと思うよ。そうすればもっと大きくなると思うよ。でもルーツに関してはそこまで発展していないかな。

●ダンスホール程ではないけれど、ルーツ・レゲエの素晴らしい教えも少しずつ若い世代にも受けとめられていると思うのですが。
M:良いポイントだね。この音楽って元々、苦難を強いられた人生から与えられた音楽なんだ。食べ物やお金がなかった時代に、たった一つあったものは音楽だった。何もなかった時の、たった一つの希望が神様だから、この音楽は神からのインスピレーションから来たものなんだ。ルーツ・ミュージックは、ジャーと個人のダイレクトな交流であって、それが本当のレゲエ・ミュージックなんだ。そこから自分自身で、何が本当のルーツなのかって事を実感して表現するんだ。レゲエは木の様に広がっていて、根があって、幹や枝や葉があるんだよ。ダンスホールは枝や葉って感じかな。

●日本のダンスホール・ファンでも、ルーツの考え方をちゃんと持っている人は増えてきましたよ。
M:そう。それが言いたいんだよ。ダンスホールの人達は、ダンスホールが元々どこから来ているのかって事を考え始めてるんだ。ダンスホールのイメージはクラッシュだったりするよね。それは間違いではないけど、あくまでも木の枝や葉の一部分であって、根はBob Marley達だったって事を彼らもちゃんと分ってるからハッピーなんだよ。だからこうして発展してきたんだよ。

●さて、久々の作品ですが、新作もあなたの人柄が滲み出てますね。例えばBob Marley後期作品の温もりやポジティヴな姿勢を継承しながら、あなたならではの色がきっちり出ていると思います。
M:全てインスピレーションなんだよ。ルーツ・ミュージックは伝承音楽みたいなもので、一生残るものなんだ。それは俺達の人生よりも長く続くんだ。Bob Marleyも神から与えられたものからメッセージを伝えてるんだ。Bobが受けたものと俺が受けたものは同じで、それは1人のジャーなんだ。だから俺の音楽がBobの音楽に通じているのはそのせいだと思うよ。

●メッセージ自体はとても真摯だけど、あなたの音楽は聴く人をハッピーにさせてくれますよね。
M:俺はプレイもするしアレンジもするんだ。ドラム、ギター、キーボード、ベース、そして歌もね。俺はプロフェッショナルなドラマーだから、ドラムによってギターやベースがどうなるか全て読めるんだよ。だから俺の音は本当のMackaサウンドなんだね。とにかく俺はルーツのオリジナル・サウンドを作りたくて、そればかりを考えてきたんだ。例えば既存のハイハットを捨てて自分で2種類の土を混ぜてペイントしたオリジナル・ハイハットを作ったりもしたよ。それがオリジナルだから自分自身の音が出せるんだよ。1980年にBBCでBob Marley等を追ったドキュメンタリー映画を撮ったんだ。その時、俺は自分で作った「マグ」というドラムで演ってね。Dennis Brownや色んな人が番組を観てくれたから反響が凄かったよ。

●この作品に参加しているアーティストについて訊かせて下さい。Earl Chinna Smithとは付き合いは長いのですか?
M:うん。Chinnaとは長いね。ファミリーみたいなもんさ。ジャマイカでレコーディングをする時は殆どChinnaを使うんだ。Congosともずっとファミリーみたいな付き合いで、Cedric Maytonはジャマイカのオレの家に住んでるし。Danny Dreadは仲間みたいなものかな。同じ歴史を辿ってるんだ。同じ学校に通ったし、地元も一緒だよ。 同じナカマレイシングのC.Jは息子って感じかな。同じジャーをいつも想っているから、思考もよく似てるんだ。

● 最後に、レゲエを愛する読者にメッセージを。
M:Love & Live。人生の中で色々な疑問はあるけど、音楽には全ての答えがあるんだ。だから音楽は神様で、ソウルなんだ。俺の音楽はリディムやビートに強いフィーリングが入ってるから、そこから俺を感じ取って欲しいね。



"The Future"
[Jet Star / CRLP3095]