MIX TAPE
2. DJ Baku / True 4th, True Vandalism(Dis-Defense Disc)
ミックス・テープ方面でもその独創的なスクラッチ、ミックスで毎回驚かせてくれるDJバクの4作目がコレ。MSCのタブーをFeat.した自身の名義による初のプロデュースE.Pもリリースする彼だが、その曲「Vandalism」は冒頭から登場。そこから想像もつかなにダブ、UK物、ハードコア、ヒップホップ、そしてNINと凄まじいばかりのミックス・ワール


ALBUMS
2.Jay-Z / The Black Album (Def Jam)

話題の“引退記念作”にして通算8作目。当の本人曰く「レコーディング・アーティストとしては“やり尽くした”」だけあって(?)あちこちにそれをニオわせる作り、となっている。制作陣はカニエ・ウエスト、ジャスト・ブレイズ、ネプチューンズ、ティンバランド、エミネムにリック・ルーゼン(!)、9thワンダー(!!)他。余裕のワード・プレイに、らしいフロウ、そしてソウルフルなビート。完璧なジガ・ワールド。
3. G Unit / Beg For Mercy (Universal)

ミックス・テープ・アルバムでお馴染みのGユニット?だが、それだけにこのオフィシャル・アルバムはブランニュー・シットでしっかりとまとめ上げられている。エミネム、ドレーは勿論のこと16組のプロデューサーによる“50向きのビート”で、ロイド・バンクス(客演仕事も増えてきた)、ヤングバックも大暴れ。獄中のトニー・イエイヨーのソロ曲も一曲アリ、で正にアンストッパブルな“勢い”がモロに出た快作!
4. Tupac / Resurrection (Universal)


死後7年の刻を迎えた今年も“デスロウ”よりニュー・ミックス・アルバムがリリースされたり、と何かと話題を提供してきた天上人(?)の変則的な新作(?)は自伝的ドキュメンタリー映画のサウンド・トラック盤。デジタル・アンダーグラウンド時代の曲やソロ代表曲の合間には、ビギーとの「Runnin'」や50セントとの共演(?)4曲の新録(?)もあり、またまた“気になる”仕上がりに。
5. Missy Elliott / This Is Not A Test! (Warner)
「これはテストではありません!」という警告通り、ある種原点に戻った感のあるミッシー姐さんの最新作。ティンバランドの怒りのビート(?)は勿論のこと、ポップに流されない校正はお見事としか言い様がない。ゲストにはジェイ・Z、エレファント・マン、R・ケリー、ファボラス等、“旬な人たち”を集めていて、その点でも“抜かりナシ”という印象を与えるが、決してウワついた所は無い。このマニフェスト、どう受け止める!?
6. Biz Markie / Weekend Warriors(Lexington)

実に10年ぶりの5作目! 10年ぶり、ですよ、10年!! しかし、ビズは何にも変っていない。エレファント・マンとのタッグで魅せるバウンス物のシングル曲から、P・ディディと『Wild Style』、というかダブル・トラブルをキメてみたり、ジャジー・ジェフのコスリと掛け合ってみたり、エリック・サーモンとのマイクを廻してみたり、と新味や珍味もアリ、なんだけどそのココロはコールド・チリン、なナイス・アルバム。何とも愛くるしい。
7. Apani / Story 2 Tell(Miclife)

“7ヘッズ”物やドイツの“ショウダウン”物、等いつも強力なタイトルを紹介してくれる“マイクライフ”が次に仕掛けるのは……出ましたアパニ! 女性MCの中でも常に安定した人気を誇っている彼女のウワサの初ソロ作がいよいよ日の目を見ることに。盟友であるDJスピナやDJバザロを始めプレフューズ73ことスコット・ヘレンやビートマイナーズらアパニ人脈フル・サポートによる彼女にしか作れない実直でアーティスティックな傑作。リミックスがまた…。
8. 山田マン / Message(Positive)

“10周年”記念祭も無事終了したラッパ我リヤ。正に「走馬党スタンピード'03」だった今年を締めくくるにあたって(インデモラルの新作も必聴!)、予想外?でいてファンから長らく待たれていた山田マンの初ソロ作が届けられることに。これが笑いあり涙あり、の人間模様を映し出した我リヤの新作とはまた違った意味でのクラシック感漂わせた力作。ギャングスタDXから走馬党まで、ゲスト陣の人選にも男気を感じる、“泣ける”アルバム。
9. GI Code / E・D・O・C・I・G(New Deal)

2ndソロ作を出したばかりのスフィアとRizeのSora 3000によるソウルメイト・ユニット=GIコードの初アルバム。彼ら独自の“城南コネクション”が活きた痛烈な次世代感が伝わるミクスチャー云々を越えた路線を打ち出していることは、このフル・アルバムを聴けばよく判る筈。ストレートにその“衝動”や“情熱”を作品に落とし込む姿勢も良い。この二人のタッグは決して企画物では終わらない“強い絆”を見せつけてくれる。

10. Magma MC's / Massive(Monohon)

“地下で力を溜めてる真っ赤なマグマ”が遂に大噴火。レペゼン関西エリア京都の強豪MC二人が完成させたこの初のフル・アルバムには、その実力を認めあった他エリアの猛者たちも参加(リノ・ラティーナ・ザ・セカンド、ダボ、M.O.S.A.D.、マッチョ他)し、マグマ作品以外では聴けないDGの絶品ビートに、ヌマタ(右ページにビゴップ!!)、サブゼロ、イコール、BLもマグマ向きのトラックを提供。タフでコア、だけど間口も広いリアル・ヒップホップ。熱い!!


SINGLE

11. ケーダブシャイン / オレはオレ(Atomic Bomb)
Kダブ率いる“アトミック・ボム”がソニー傘下にレーベルとしてジョイントすることが決定。その第一弾として投下されるのが、コッタ・ソロのこのEP。タイトル曲は、ストラグルし続ける表現者の本音で勝負な彼らしい一曲。キングギドラの2ndで知った若いファンもその流れで聴ける。と言えば、細かい描写も凄い「目撃者」もそうだし「天下の回りモン」もそう。コマーシャルなモノを狙わず、終始一貫メッセンジャーの渾身の3トラック。
12. Rhymester / ザ・グレート・アマチュアリズム(Ki/oon)
「現金に…」に続くニューEP。ヒップホップとは何か?という普遍的な問い掛け(誰からの?)に対して、常に持たざる者たちの逆転の思考法を武器にオリジナルなアンサーを出し続けてきた彼らの最新の“答え”がコレ。2ヴァース目を務めるDJジンのラップを含め、原点と新境地のバランス感もグッとくる楽曲になっていることは既にご承知か?(竹内朋康のギターもヒップホップ!)。カップリングの「911エブリデイ」も考えさせてくれるライムスならではの好曲。