Red Spiderを牽引するJuniorによる第一のレーベル、Rock Cityのコンピレーション・シリーズ第二弾『Rock City 2』がリリース。今回も現場で鍛え抜かれてきた彼だからこそ生まれたアイデア満載。早速、本作の魅力を探ってみよう。

 「リズムへの拘り、という部分はダンスホールの基本やし、リズムあってのアーティストで、またアーティストあってのリズムでもあるから、そこは一番重視してる。このリズムにどう乗せてくるか、というか、このアーティストならこのリズムもこんなに違って聴こえるんや、というダンスホールならではのミックス感を気にして聴いて欲しいですね」(Junior)

 そのレーベル、Rock Cityの掲げるコンセプトは極めて“明解”だ。
 “凄まじい速度で進化するかの地、ジャマイカの最先端リズムに、日本人のトップ・アーティストをフィーチュアする”

 しかし。しかし、である。それは言うに易し、行うに難し、の最たる例ではないか。前作(第一集)がリリースされた時のインタビューで、このRock Cityを擁するカエルスタジオ・ミュージックのオーナー・プロデューサー=アサヲは筆者にこのように話してくれた。

 「一昔前やったら一曲オケ借りるだけでも大変やったみたいですけど、やっぱり時間かけて理解して貰えた部分もあったと思うんですよ。Juniorは向こうで色々なレーベルやトラックメイカーと交流を深めて信用を得てきたんで、そこで初めて可能になったんかな、と。Sky Is The Limit(第二レーベル)では向こうのトラックメイカーと共同でオリジナルのオケを作ってきたんですけど、アーティストって大抵みんな曲を書いてる時に既にありもんのリズムを想定してたりするじゃないですか。そこから発展させるのもアリなんやけど、それをそのままレコードに出けへんかな、って。Rock Cityはそういう単純な発想で。勿論、オリジナルオケでSky、カエルレーベルもガッチリやりながら」

 “確信犯”である。正に。言ってみれば、Rock Cityはそれだけセンセーショナルな存在、なのだ。そこで使われていた "Diwali" でショーン・ポールがジャマイカのダンスホール・アーティストでは史上初の全米No.1ヒット(「Get Busy」)をカッ飛ばしたことはご存知の通り。しかし、この突然のブレイクを誰が予測出来ただろう。少なくとも、ハッキリと言えるのは、Rock Cityは既に分っていたのではないか、と。正に、確信犯である。

 更にダンスホール・レゲエという言わばコア・マーケットにおける、邦楽/洋楽の境目の無さを物の見事に突いたその“日本人物3ウェイ・コンピ”と“JA物メガミックス”(Juniorの場合は“メガ・ギャングスタ・ミックス”となる)からなる2枚組CDは各方面で高い評価を得ることになり、実際セールス面でもダンスホール・コンピではあり得ないくらいの高セールスをあげた。“日本ゴールドディスク大賞新人賞”を獲得したMinmiのEP「The Perfect Vision」にもこのRock City仕事("Diwali" オケ)が仕込まれていた訳で…。そうしたアプローチにより、マーケットがタテヨコに広がったのも事実。そうしたクロスオーバー効果に“意識的”なのは“全国を揺らす(=Rock City)”存在ならでは。

 さて、今回リリースされたばかりの第2弾も前作以上に“凄い”ことになっているので、是非驚かされて頂きたい。使用されているリズムは、昨年後半から根強い人気を誇るレンキー作の "Masterpiece" に、今一番旬の銘柄、ドン・コーレオンからの "Good To Go"、そしてお馴染み、キング・オブ・キングスからの "Bad Company" の3つ。いずれ劣らぬモンスター・ヒット・リズムであることは、本誌読者にクドクド説明するまでもないだろう。

そのセレクトも間違いないが、更に白眉なのがJunior本人によるアーティストのキャスティング、だったりする。例えば、Minmi(最新情報:例の「Another World」のダンスホール、ヒップホップ・リミックスを新たに加えた12"シングルも11/11にリリースされることに。乞うご期待!)とPushim、VaderとKenty-Gross、Boogie ManとSilver King、NG-Headと4WD(D-St.Ent.)といった“ありそうでなかったコンビネーション”は勿論のこと、“このリズムにこのアーティスト”という確信に満ちたプロデュース手腕が光っているのだから。

その他、Soul Eye、本気男、湘南乃風(若旦那のソロも)、Papa-Bといった非関西勢に、Ryo the Skywalker、Takafinと「(このリズムで)歌いたいんや!」という勢いを感じさせてくれるラインナップはもう言うことナシ(シングル既発曲も全て“ミックス違い”)。ダンスホールの本来の魅力である“コンペティションのスキル”がガッチリ味わえるパッケージとなっている。

 勿論、レッドスパイダーのセレクターとして現場を沸かせるJuniorによる「Head No Good Non Stop Mix」と題されたディスク2の方も“最高”だ。先の3つのリズムを各々のセグメントとして聴かせる怒濤の全42曲、約50分のリズム・ワンダーランドがそこにある(細かい技も楽しめる!)。
 
「このリズムでこのアーティストも歌ってる、というのをワン・ウェイの感覚で分かり易く繋いでます。“分かり易さ”という点は全体に言えることで。次は "Bad Company" と同じスキャッタの作った "Coolee Dance"(!!)を仕込んでます。12月位に出せそう」

 Rock Cityから益々目が離せない!





"Rock City 2/V.A.
[Victor / VICL-61194-95]


Featuring....
Pushim, Minmi
Papa-B, Boogie Man
Ryo the Skywalker
Takafin, NG-Head
Vader, Silver King
Kenty-Gross, Wakadanna
Shonan No Kaze
Majiman, Soul Eye
4WD
Elephant Man, Sean Paul
Bounty Killer, Buju Banton
Beenie Man, Spragga Benz
Wayne Wonder
Baby Cham
Sizzla, T.O.K.
Degree, Vybz Kartel
Assassin, Danny English
Crissy D, Alozade
Zum Jay, Frisco Kid
Hollow Point, Aisha
Ce'Cile, General B
Bling Dawg, Egg Nog
Lukie D