MIX CD
2. V.A. / Lesson One!(Positive)

ありそうでなかった“日本語ラップ・オンリーのレーベル越境オフィシャル・ミックスCD”が遂に実現。手掛けるが餓鬼レンジャーのGP。ジブラ、ムロ、我リヤ、ニップス、オジロ、ソウスク等々のトップ・アーティストたちの代表曲から最新ヒットまで、あくまでも“クラブ・プレイ”そのままのヴァイブスと鳴りの良さで聴かせてくれるバッチリの内容(全38曲!)。現場で日本語物の混ぜ方が…と言ってる人への良い見本となる筈。シリーズ化希望!


ALBUMS
2.V.A. / The Neptunes Present...Clones (BMG)
間違いなく今一番旬なプロデューサー=ネプチューンズのレーベル・ショウケース。ファレルのソロ「Frontin'」からN.E.R.D.、クリプス、ケリスに新加入のロシコー・P・コールドチェイン、スーパーキャット(!)、スパイモブといった所属アーティストから、バスタ、N.O.R.E.、リュダクリス、ネリー、ジェイ・Z、スヌープ、といった過去に縁のあるスーパースターたちまでが大集結。これで悪いワケがない、というもの。独特のシンセ・サウンドからバンド・アンサンブルまで全てがST印、でクラブ・ヒット狙いにのみ拘った訳じゃない作りなのも美しい。アルバムが控えている超猫氏も「テナー・ソウを殺ったみたいに俺は殺れんぞ!」と吠えている。
3. DMX / Grand Champ (Def Jam)

引退宣言を撤回しての再起作(!)となる通算5作目。前作のセールス面での不振を越えたのか、「Where The Hood At」に顕著な様に今作は開き直りのブチカマシ節をガンガン聞かせてくれる。制作陣もスウィズ、カニエ・ウエスト、チューンヘッズ、サラーム・レック、トニー・ピザーロ、ロックワイルダー、ノーID、ディム・グリース、DJスクラッチ、と今までにない位多様ならば、ゲスト陣も50セントからパティ・ラベル、モニカまでかつてないほどに豪華。バラッドこそはあるが、アメリカン・ピットブルのジャケ写に表れてる通り(?)、“攻め”の手を緩めない強烈なアルバム。
4. Obie Trice / Cheers(Universal)

“ジェイディ・レコーズ”のブライテスト・ホープ=オービーの初アルバム。先の来日公演にも帯同されオーディエンスをしっかりロックした彼は、エミネム、D-12と同じくデトロイドの出身で、アングラ・ファンには既に知られた存在。そのどこまでも強気なアティチュードと、エミネムや50にも通じるユーモア・センスは早くもこのアルバムで大爆発。ジェイディVSマダーインクの抗争に油を注いだ「Shit Hits The Fun」に、ドレー久々のヒット「Got Some Teeth」を始め、一筋縄ではいかない濃いその中身に仰天。ティンバランド、エミネム、バスタ、50らの後押しも効いている。
5. Outkast / Speakerboxxx / The Love Below (BMG)

元々は別々のリリースとなる予定だったアウトキャストの2人=ビッグ・ボーイとアンドレ3000のソロ・アルバムがダブルCDでのリリースに。通算5作目としてもカウント可能だが、こうして完全な“別作業”形態をとるとなると、彼らがどんな結び付きなのかも自ずと解ってくるワケで…。ビッグ・ボーイの盤はジェイ・Zやリュダ・クリスらも参加してのファンキーでワイルドでソウルフルなダンジョン・ワールドだが、世界へとトンでいる(ノラ・ジョーンズも参加)。問題作? いや大傑作ですよ。
6. Mark Ronson / Here Comes The Fuzz(Wea)

オール・ジャンルをヒップホップとしてプレイ出来る真のパーティー・DJ=マーク・ロンソンの初のリーダー・アルバム。ミックス・テープ/DVDでも見せてきた才気換発なミックス・プレイと、ニッカ・コスタ等の制作業で証明したポップ・センスが丁度良いバランスで表出したような本作では、ナッピールーツにリヴァース・クウォモ(ウィザー!)、Qティップ、M.O.P、モス・デフ、ゴーストフェイス等の独自の人選が独自コラボ効果を生んでいる。ショーン・ポールとトゥイートが参加した曲は、“Updown Top Ranking ”オケに“I know You Got Soul”ネタが絡む絶妙さ!
7. V.A. / 7 Heads R Better Than 1(Bad News)

アングラ・マニア以外からの支持も厚い“7 ヘッズ”の初のレーベル・コンピ。アンシェルー&ブルー・ブラック、リッチー・ピッチ、ジンジ・ブラウン、エル・ダ・センセイといずれ劣らぬ良質アルバムを生み落としたレーベルだけあって、只のシングルの寄せ集めに終始せず、マス・インフルエンスのオデッセイやJ-ライヴ等の新曲、未発表曲を交え、アルバムとして聴かせる構成。J-ライヴ「Braggin Writes(Domecrackers Remix)」の如きクラシックも今だ新鮮! 更に日本盤には2曲のボートラ付き。
8. Five Deez / Kinkynasti(!K7)

レペゼン・シンシナティのファイヴ・ディーズがドイツのレーベル“!K7”(因みにファット・ジョンは現在ベルリン在住)に移籍しての第一弾。これが名盤の誉れ高き前作『Kool Motor』とは打って変っての、エレクトロニック・ボディ・サウンド(?)とでも言うべきダンス・ミュージック・アルバムで驚かせてくれる。タイトルは、シンシナティを文字ったモノだが、ファンキーでナスティーなエレメンツは、彼らがオールドスクールのフィジカル・グラフィティの良き継承者であることも無関係ではなかろう。あの“楽しい”ライヴやDJイングを体験した人ならば、彼らがこういう作品も“作っておきたかった”理由が判るのでは。
9. Zeebra / Tokyo's Finest(Future Shock)
ソロとして勝負年=03年に予告通り3枚目をドロップしたジブラ。シーンのトップランカーは常に時代を読む目をその作品の中でギラつかせる。ファーストクラス(今回よりDJ Ken-Boを含む3人体制)を中心に、イノヴェイダー、サブゼロ、GP、山田マン、TCムーヴメンツ(サミーT&グワンチャイ)、DJマスターキー、D・オリジヌーといった制作陣と共に“フロアライクな日本語ラップ”の何たるか、をここに示した彼は、ゲスト・アーティストのキャスティングを含めトータル・プロデュース力の高さをも露にした。流し聴き可能なのは耳触りの良さを追及したから? つまり、それこそが本当の“カッコ良さ”だったりするのだ。
10. Ry-Double / The Cypha File 01〜自己進化論(KSR)

活動休止中の“ナニワ裏庭の遊言導師”ワード・スウィンガーズのアールワイ・ダブルが自身初のソロ・アルバムを早々と完成させた。サウンド・プロデューサーに盟友DJセロリ、D・オリジヌー、BL、DJケンソウ、ユウジャ、スギVを迎え、様々なテーマ設定で“自分にとってのヒップホップ”を自家中毒に陥ることなく、“サイファー”という拡がり/繋がりを主軸にして伝えるその姿はとても清々しく、そして逞しい。自らのレーベル“オーセンティック・ユナイテッド”からの第一弾であり、シゲチヨ、バカデゲス、ヒロ・ダ・ジョーカー、ヘッドバンガーズ、4WD、ケニー・プリースト、オリトといった客演陣の動きも映えた秀作。


SINGLE

11. Aquarius / 連動(Cutting Edge)

“ベイビー・マリオ・プロダクション”の一国一城の主として放つMr.フダツキー久々のEPは何と4トラック入りのスペシャル仕様。PVも話題のタイトル曲は注目の327制作のストレートなフロア・バンガーで、また新たなフロウを響かせている。併録曲は「Harlem」のコンピに提供したプシンとのコンビ曲「ここにTouch!」のリミックスに、同じくD.O.I.が手掛けたベイビーマリオ・アンセムにしてハードなスキル物「P.R.O.」、そしてプレステ2の『DefJam Vendetta』の為にRecした「It's My Tune」。3rdアルバムへの期待もパンパンに膨らむ近況報告。ヤバっ。
12. Uzi / ひとり酒(Future Shock)

“平成の荒技師”“直下型韻名人”ウヂの大作1st『言霊』に続く録り下ろし新曲は“ヒップホップ・ミーツ・演歌”?と言っても引かないで欲しい。要は“独りで酒を嗜みたい気持ち”を歌ったウヂらしい日本語表現が哀愁ビート(サブゼロ制作)に冴え渡った楽曲、というワケ。ハマるほど味わい深いフレーズ続出の新名曲であることに疑いはない。またDJセロリ作の「チェンジ」と確変プロダクションによる「開放軍 II」の存在感もかなりのもので、どこかミニ・アルバム的なコンセプトすら漂う、正にジャイアント・シングルに!