約2年ぶりにリリースされたアルバム『Pieces』を引っ提げて全国のファンをマッシュ・アップさせたツアー最終日、つまり4月23日、渋谷AXでのライヴの模様が『Pushim Live Tour 2003 "Pieces"』と題しDVD化された。各誌で絶賛された熱演は一体どんなものだったのだろう?

  ミラーボールが回り、シャボン玉が舞い踊る夢のような時間のなかで朗々と歌い上げられた「FOREVER」──今でも感動的なラストが心に焼き付いている、4月23日のSHIBUYA AX。PUSHIMのサード・アルバム『Pieces』のレコ発ツアーの最終日であるこの日は、彼女にとっても最高の夜だったに違いない。そのライヴの模様がDVD化されることとなった。『LIVE TOUR 2003“PIECES”-THE FINAL at SHIBUYA AX』と題されたこの作品は、PUSHIM初のライヴDVD。『Pieces』からの楽曲を中心に、彼女の代表曲の数々も惜しみなく織りまぜられた、メジャー・デビューからこれまでの集大成的な選曲。そこに今回のツアーをリハから追いかけたバックステージ映像や、ライヴの模様を捉えたスチール・ショットなど、DVDならではの映像特典も収録されている。

 それにしても、今回ライヴ映像としてこのライヴを見直してみたが、ホント、アンコールに登場したRyo the Sky-walkerも叫んでいたように「PUSHIMスゴイ!」わ、やっぱり。あとから聞いたハナシだが、今回のツアーで彼女はだいぶノドを痛めていて、東京のライヴの直前まで歌えるかどうかわからないような状態だったそうなのだが、そんなことは微塵も感じさせない堂々ったる歌いっぷりで、会場全体をグイグイ引っばって行く。

ライヴどアタマにぶちまけた「DANCEHALLIC」はもちろん、「Burn Fire」「P.U.S.H.I'm a T.O.P」で聞けるドスの効いた歌声から、「Lyrical Feelng」「my王子」の情感ゆたかな表現、そして彼女の真骨頂といえる「Greetings!」「And Ever」「FOREVER」といったポジティヴ・チューンでの太陽のような眩しさをもったヴォーカルまで、歌い手PUSHIMの多彩な味わいがふんだんに盛り込まれている。それに加え、MOOMIN、PAPA-B、DABO、Jumbo Maatch、Takafin、Boxer Kid、そしてRyo the Skywalkerと展開するコンビネーションでも、それぞれに異なる色をみせてくれるのはもちろん、HOME GRWONのメンバーを中心としたスペシャル・バンドとの息のあった、しかし緊張感に満ちたやりとりの充実ぶりを改めて確認できるのも、映像ならではの醍醐味だろう。

 3時間近くに渡るライヴの模様が、ほぼまるごと収められた本作(息を飲むような絶唱が聞けた「Strong Woman」が収録されていないのは残念だが……それはまぁ、ライヴを目撃した人だけが味わえた素晴らしい思い出ってことで)、その長時間のステージをまったく飽きることなく楽しませてくれる、PUSHIM。レゲエ・フィールドに限らず、ここまでの実力をもったソロの女性シンガーは今の日本にそうはいない。だからこそ、やっぱりこのDVDを見てもアンコールのあの一言につい膝を打ってしまうのだ。「PUSHIMスゴイ!」と。




"Pushim Live Tour 2003 "Pieces"
-The Final at Shibuya AX-"

[Ki/oon / KSBL-5751]