Who Control Di World? これぞレゲエ、Rebel Musicだ! 聞いてみぃ、バリバリ硬派なこのリリックを! 更に一回りスケールアップした“ハマの兄貴”の新作『World Leader』は、超がつく程の問題作。「誰も歌わへんなら、俺が歌ったる」(本人談)。

 マイ・ペースで、やりたいことをやり続ける。言葉で言うほど簡単じゃないし、浮き沈みの激しいレゲエ界で、10数年そのスタンスを保ち続け、さらには結果を出せるなんて、誰にでも出来る事じゃない。いつの頃からか“ハマの兄貴”と呼ばれているこの男、Nanjaman。昨年発売された、全国の“不良のニーチャン、ネーチャン”待望のファースト・アルバム『Straight Up』は、インディー配給ながら2万5千枚(!)を売り切る程の大ヒットを記録。

「特攻服着た奴がライヴに来るようになった(笑)」って言う位、所謂レゲエ・ファン以外の層の心もガッチリ掴んだ“兄貴”待望のニュー・リリースは、直球も直球、それも豪速球のアンチ・アメリカ・ソングの「World Leader」を含む新曲2曲に、リミックス、オマケにライヴ音源を加えた11曲入りのマンモス・シングル。既に放送禁止の恐れ、のウワサも出る程のストレートでハードなリリックのタイトル・ソングは、さまざまな層のファンを持つNanjamanだからこそ意味が有るし、衝撃を与える事、必至だろう。

 「なんで "World Leader" 作ったかってゆうたら、日本やったらアメリカが正しい!みたいになってるやん。アメリカに守ってもらってるっていうのもあるし。マスコミもアメリカが悪い、なんて言わへんようになってるけど、イラクの回りの国なんて絶対良いなんて言ってないし、結局、生物兵器なんて出てきたんかい!ちゅう話やん。全部うやむややし。強いやつらが威張ってるとムカつくやん。ええかげんにしとき。ちゅうのが言いたかったんや」

 実際、日本を離れてみると、アメリカに対する感情が好意的でないところが意外と多いのに気付くことがある。キューバの様にハッキリと対立している国はもちろん、ジャマイカを始めとするカリブ海諸島の国々でも、基本的に憧れはあっても「セルフィッシュだ(自分勝手)」との声が一般的だろう。
 「だから、もうアメリカは国連がいくら反対したって、じゃあ、オレらは、もう一人でやる!って言って、どこにでも攻撃するようになるで」
 って、たしかに日本の隣の国にもアメリカは国際的な警察力を発揮しようとしてるしなぁ。この後、話題は日米安保条約の裏話や、国際問題中心になっていったのだが、もうちょっと今回の作品の内容について紹介しなければならないだろう。

 もう一方の新曲、「Wi A Go Dancehall」はシリアスな「World Leader」とは打って変わって、楽しいダンスホール・アンセム。本人いわく「内容は、なんもないで」とは言ってるが、こういう言葉遊びを中心とした曲でも、独特のユーモアと世界観は、まさにNanjaワールド。トラックも今風なジョグリンな作りで、このトラックを中心に自らのレーベル、爆音シンジケートでも何人か7インチ・シングルのリリースがあるそうだ。

 この2曲を中心に、同曲のリミックス、人気曲「Terrorist」や「Born To Be Wild」等のライヴ・ヴァージョンを加えた今回のリリース。今年後半の流れ、シーンの方向にさえ影響を与えるであろう大問題傑作なのは間違い無し。
 「一番強い武器を持っている大きな国が、一番好きなように世界中のことかきまわす」
 聞いとかなあかんで。真剣。




"World Leader"
[爆音Syndicate / No Brand / BSCD-004]