“オリジナル・ルードボーイ”、“キング・オブ・スカ”の異名を持つプリンス・バスターがデタミネーションと共にステージに立つために4度目の来日を果たした。早速、バスターとは長きに渡って交友関係のあるミスター・クラブ・スカこと、キング・ナベがインタビュー。

先日のデタミネーションズと共演したステージを観せてもらったのですが、一層パワー・アップしましたね。今回のステージが今までの中で一番良かったです。
Prince Buster(以下P):そうだな。以前と比べれば日本のお客の反応も理解してきたから、長時間のステージもできたのだと思うよ。

相変わらず演奏活動は活発にやっているのですか?
P:今年はイギリス、ドイツ、あとカリフォルニアの「ネバダ・フェスティバル」でライヴをやる予定なんだ。

『Riddim』はオールディーズ・ファンも沢山読んでいるので、少し昔の質問をさせて下さい。サウンド・システムに初めて関ったのは、コクソン・ドッドのサー・コクソン・ダウン・ビートですか?
P:いいや、スタンリー・セバスチャンのサウンドが最初だ。キングストンには、デューク・リードやコクソンのサウンドの前にも沢山のサウンドがあったんだ。例えば、ニック、ダックス、コスミック、イングリシュとかな。デュークはその頃、警察官だったし、コクソンはまだ田舎にいたよ。

それはスカ以前、つまりリズム&ブルースの時代ですよね。
P:そうだ。その頃、サウンドの評価を決めたのは、アメリカのリズム&ブルースのレコードの枚数と、如何に最新のヒット曲を揃えているかにかかってたよ。

スカのサウンド・システムは誰が始めたのでしょうか?
P:私のサウンドが初めてだと思うよ。当時、サウンドだけではビジネスにはならないので、コクソン達はアメリカのリズム&ブルースの海賊盤を作っては運営費に充てていたな。

あなたが最初に手掛けたスカ・アーティストは?
P:エリック・モンティ・モーリスとヒッグス&ウィルソンだ。

あなた自身が歌うようになったのはいつ頃ですか?
P:1961年にリコ・ロドリゲスと共に「Little Honey」をJBCスタジオでやったのが初めかな。「Oh! Carolina」が最初だと思っている人が多いが、これはイギリスで初めてリリースされたシングルなんだ。何故そう勘違いされているかって言うと、エイブラハムというイギリス人が、彼の曲だと偽ってブルービート・レコーズに持って行ったからなんだ。どうしてこれを俺が知ってるかと言うと、当時、イギリスのサクソンというサウンドに、この「Oh! Carolina」でダブ・プレイトを作る約束をしていたのだが、そのサウンドから「もうその曲がリリースされている」と俺に電話が入ったからだよ。

共演したデタミネーションズはどうでしたか?
P:メンバーはみんな若いのに、素晴らしいフィーリングを持ったバンドだよ。これなら世界に通用すると思うね。

彼らと一緒に新譜を出す可能性は?
P:アルバムをいっしょにやってみたいとは思っているよ。

それは楽しみですね。今回のコンサートのチケットは入手困難だったので、観たくても観れなかった人が沢山いましたから、その人達のためにも是非、レコードをリリースして下さい。
P:そうなるように頑張るよ。そしてまた日本で歌いたいと思っている。

 ここで朗報。今年2月に大阪、東京で行われた「Prince Buster With Determinations」のライヴの模様は、"Rock A Shacka" シリーズの第一弾として『Prince Of Peace』と題し5/14、アイランドよりリリースされることが決定(DVD・VHSの発売は6/21)。会場に行けた人も行けなかった人も、これであの熱きライヴを(再)体験できる。

なお、この "Rock A Shacka" シリーズは今後、スカやロック・ステディを中心としたカリブ音楽を続々と紹介していくそうだ。まず『Prince Of Peace』と同じ5/14に、
足達晋一(Determinations)の選曲による『Voice Of The People』と、森雅樹(Ego-Wrappin')の選曲による『Move! Baby Move!』をリリース。その後もGaz Mayallや高津直由、Druweed等の選曲によるコンピレーションが続々とリリースされるそうなので、お楽しみに。