リキッドルームのエレベーターから、黒い革のロングコートに黒の革パンツ、黒のハットを被り、黒のサングラスをかけた、マフィアの様な連中が降りてきた。この男こそ、元祖ルード・ボーイ、プリンス・バスターだ。バスターは今回、4度目の来日になるが、毎回必ず全身革づくめ、他のジャマイカンとは違い、相当ファッションに気をつかっている。今回は、奥さんも同行しているせいか、今までで一番かっこいいのではないだろうか。つまりルード・ボーイの憧れの的そのものの姿なのだ。

 今までのバスターの来日は、89年の初来日時にスカタライツをバックに4曲、次はスカ・フレイムスをバックに6曲、その次はスカタライツで5曲、そして今回は何曲だったか忘れたが、10曲以上は演っていた。言わば日本に於ては、今回のデタミネーションズとのコラボが初のソロ・ライヴと言えるだろう。

しかも、それまでは単身で来日していたのが、今回はデスモンド・デッカーのコーラスをやっていたグループ、エイシズのメンバー、デルロイ・ウィリアムス(映画『ロッカーズ』の人ではない)を引き連れての来日とあって貫録も充分。  歌った曲も、過去の来日公演の様なバスターの定番曲だけではなく、マニアが泣いて喜びそうな「ダンス・クレオパトラ」「バークス・ロー」「プリンス・オブ・ピース」等のキラー・チューンを連発していた。バスター自身も、どの辺りの曲がウケるか分ってきたらしいのだ。デタミネーションズも殆どいっしょにはリハーサルをやっていないはずなのに、バスターの身勝手かつ突然なアレンジ変更に軽くついていったのは凄かった。

 バスターの4度の来日公演を見てきて思うのが、彼は毎回パワー・アップしているという事。多分もう70歳近い年齢を全く感じさせないのだ。これからも、まだまだ行けるだろう。次回もまた更にパワー・アップしたルード・ボーイ=プリンス・バスターのパフォーマンスを是非見てみたいものだ。