昨年夏リリースされたシングル「Forever」。メロディと歌詞、そしてPushimの歌が三位一体となり、聴くものの胸を熱く焦してくれたこの傑作を、事ある毎に、今でもちょくちょく聴いている…なんていう人は筆者だけじゃないだろう。

これまでリリースされた2つのアルバム『Say Greetings!』、『Colors』や、ちょっとレゲエから離れてR&B色を反映させたミニ・アルバム『Pak's Groove』などで、新しいことに果敢にチャレンジし自分を磨き、作品をリリースする毎に着実に、歌唱力だけでなくそのアーティスティックな側面を深化させてきたPushim。その成長ぶりをまざまざと見せつけてくれたのが「Forever」であったワケだが、それから約半年を経て、待望のサード・アルバム『Pieces』がまもなくリリースされる。まだ一部の曲を聴いただけだけれども、どれも素晴らしく、大傑作になるのは間違いないだろう。

で、そのアルバムより一足先にリリースされたのが、先行シングル「I Wanna Know You」だ。もう既に聴いて、オッ!!!と思っている人も多いだろうが、これがまた絶品の出来だ。昨年の最大ヒット・リディム "Diwali" を手掛けたスティーブン・レンキー・マースデンとお馴染みRocking Timeの森俊也によってプロデュースされたサウンドは、低く響くストリングスの "Diwali" テイストを残しつつも、尖ったビートを丸くし、ふわりとした感触が実に心地良いミッド・テンポのダンスホールだ。

そこに、友達以上の関係になれないもどかしい気持ちを切なく、淡く語るPushimの歌が生き生きと舞う。揺れ動く心と微妙に同期したようなリディムがクセになるけれども、それ以上に、Pushimの歌唱力と表現力に思いっきり引き込まれた。キャッチーなフックでは、相手に届くように伸びやかに歌い、それに続く回想的なコーラスではファルセットを重ねシルキーな優しさを醸し出したりと、力強いだけでなく細やかな感情表現が本当に素晴らしいのだ。

それゆえ、ダンサブルなトラックに身体が、そして歌に心が動く「I Wanna Know You」なのだが、このシングルには、さらにオマケが付く。なんとライヴなどで披露していた「Forever」のスローを、ピアノ・ヴァージョンとして収録しているのだ。ライヴでのスピリチュアルな雰囲気をそのままに、歌もコーラスも新たにスタジオで録り直した力作で、必聴である。ニュー・アルバム『Pieces』のリリースまで、皆さん、こりゃまた新曲「I Wanna Know You」と一緒に「Forever」をよく聴くことになりそうですな。


"I Wanna Know You"
"I Wanna Know You" / Pushim
[Ki/oon / KSCL-489]KSCL-489
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