1999年12月号

Mix Tape

1. Blue Berry / Overdoze
(Black Smoker)

異能集団=シンク・タンクの影のメンバー又はスピリチュアル・アドバイザーと噂されるナゾがナゾを呼ぶ人物=ブリー・ベリーの手による70分間脳内麻薬旅行的ミックス・テープ。タイトル通り“キメ過ぎ”な感じがこのユル〜いセレクションに表れている。しかし、そのれはシラフで聴いても全然凄いモノ、なのだ。笑い茸だけ喰って変になってる人には絶対に不可能な世界観がここに構築されておりますデスHigh! シンク・タンク・マニアは当然のこと、ヒップホップ嫌いのヒトも試してみて!

Album

2. Jay Z / The Blueprint 2- The Gift & The Curse (Def Jam)

あの一大傑作『The Blueprint』に続く通算8作目は堂々の2枚組。“The Gift”と“The Curse”の2枚に分けられたその内容は、基本的に“ジェイZを育てた音楽”へのオマージュだった前作の路線を踏みつつも、新しい要素で一杯である。まず故ビギーの声を使ったフェイス・エヴァンス入りの「A Dream」が泣ける。そして2ndカットの「Hovi Baby」から話題のビヨンセとの「03 Bonnie & Clyde」、大ブレイク中のレゲエDJ=ショーン・ポール(バスタの新作にも入ってます!)等など、かき切れないほど聴きドコロ満載! カニエ・ウェスト、ジャスト・ブレイズ、ネプチューンズ、ティンバランド、ドクター・ドレーら制作陣も盤石な超大作。

3. Ja Rule / The Last Temptation
(Def Jam)

ジャ・ルールとアシャンティという二大看板と、全てをシキるボス=アーヴ・ゴッティを中心とする“マーダー・インク”軍団は2002年も大暴れ。そして、ジャの通算4作目となる本作がそのシメに。ボビー・ブラウン(ホイットニーの新曲もプロデュースしてましたね)が絡む「Thug Lovin'」のような哀愁路線から、ナズ、そして故2パックの声を交えた正に“マーダーインク・サウンド”の「The Pledge (Remix)」、アシャンティの歌が良い「Mesmerize」のR&B路線(?)、“ザ・ロウ”よりイーストウッドとクルックド・アイを呼び寄せた“ウェッサイ路線”に、オールド・スクール・サンプル等など、流石にトレンド・セッターらしいオイシイとこ取りの一枚に。ジャのラップもかなりエモーショナル。

Now Printing

NOE
4. Tasha / Gemini(Avex/K-project)

韓国シーンを代表するフィメール・ラッパーの2ndソロ・アルバム。そのルックスからは想像つかないくらい肝っ玉の座ったまるでラティファやYo-Yoのようなぶっといフロウをぶちかます英・韓バイリンガル・スタイル・ラップの彼女は日本でのライヴでもその“本物ぶり”を見せつけてくれたが、このアルバムは更にストレートなヒップホップ/R&Bアルバムとなっている(因み前作は全て“歌物”だった)。タイガーJKやCBマスのカーヴィン、ボビーキムといったKヒップホップ・シーンの俊英達によるトラックも手堅く、そして日本制作曲ではDJハセベ、アキラが各々プロデュースし、またDubleやSakura、スフィアもfeat.という“話題盤”。マジでラップウマイです!

5. Fat Joe / Loyalty (Warner)

「What'sLove?」等のビッグ・ヒットを生んだ『J.O.S.E』の熱が冷めやらないタイミング(丁度一年)で5作目もソロ作が登場。ラップの巧さについては今更言うまでもなく、レミーやトニー・サンシャインら現在のテラー・スクワッドの面々を率いる“首領”としてのカンロクも益々付いてきたカンジ。盟友バックワイルド、アルケミスト、プレシジョン、アルマゲドン、タイファイフそしてアーヴ・ゴッティーと"ハデ"な音を作る技に長けた制作陣をバックにひたすらフロウする親方のカッコ良さったらない。ベイビー、スカーフェイス。ジェニュワインといったゲスト陣も面白い。

6. Bone Thug-n-Harmony / Thug World Oder(Epic)

中西部クリーヴランド・レペゼンのオリジナル・スタイル・フロウ・グループ=ボンサグの4作目にあたるフル・アルバム。ダークサイドを見せつけつつも全米No.1アルバムを連発した彼らにしても今作は“勝負作”なのか、3LWをfeat.した1stカットの「Get Up & Get It」からかなり取っ付き易い内容となっている。あのドクトクの歌っぽいフロウは、フィル・コリンズねたの「Home」やサグ物の「Pump Pump」等全曲で大きなうねりを作りだし、レイジー、クレイジー、ウイッシュ、ビジーからなる4人のボーンは絶好調。DJユニークやリコ・ウェイドらによるサウンド・アプローチもド真ン中の必聴作に。

7. Headnodic / Tuesday(Miclife)

フオークランドのヒップホップ・バンド=ミッション(案の定、解散した筈のミッションUKからクレームが入り改名の方向に)のヘッドノティックのソロ作。一昨年にE.P.『Headnodic Beats Vol.1』をリリースした彼(バンドでの担当はベース)の進化したサウンドは新曲群である前半でしっかりと確認出来る。グルーヴの肝を握るベースのドライヴ感とドラム/リズム・パターンのアプローチ。そこにVU(アルバム良いです!)でもキーを握るミッション改めクラウン・シティ・ロッカーズのカット・オウアノのローズが加わるともう...。奇をてらった音は一切無いのにも関わらずこの新しさは一体何だろう!?という良質なクロス・オーバー・アルバム。後半は例のE.P.収録曲+日本盤のみのボーナス曲で構成。

8. The Roots / Phrenology(Universal)

言ライヴ盤を除くと通算5作目となる最新作が遂に完成。吹き荒れるフィリー・ブームの中、その多くの作品群に関わりつつも、ルーツ本隊としては独自の道を歩まんとする姿勢は、このアルバムにも表れており、特にクエストラヴはハードコアな2ビートから2ステップのアプローチまでを消化している、という凄さ。ミュージックをfeat.した先行カット「Break Off You」もヒット中だが、個人的にはトリロジー形式の「Water」やオールド・スクールを流行りじゃなくプレイする「Thought@Work」やジル・スコットとの「Complexity」辺りもツボ、だった。ネリー・ファータド、コーディ・チェスナットの参加も不思議じゃない壮大なスケールの問題作。

9. Soul Scream / Tour2002 Future Is Now(Future Shock)

今年7月に東名阪クワトロで行われたソウスクのワンマン・ツアーの“ライヴ・アルバム”。春にリリースされたクラシック・アルバム『Future Is Now』を全編オーサカ=モノレールとのセッションで行ったこの画期的なライヴは、正にヒップホップ・ミーツ・ファンクそのもの。DJセロリの多彩なビーツの芯となる“ファンク”の部分をクッキリと浮き立たせたモノレールのダイナミックな生グルーヴに乗せて、実にいい表情でラップする“蜂と蝶からなるMCの2人”。ウヂ、ムロ、Boo、ダボ、ヨーヨーCらアルバムのゲスト・アーティストも全て参加した『Future Is Now』の世界が更に味わい深くなる“特別な”ライヴ盤。

10. Uzi / 言霊(Future Shock)

U.B.G.の剛腕ラッパー=ウヂの待ちに待った初アルバム。ジブラをセコンドに迎えた先行カットの「Knock Out」や、昨年リリースの「9mm」といったシングル曲やライヴでもお馴染曲も含む全16曲(イントロ、アウトロ抜き、で)は“言霊”という重い旗を揚げただけある、激選され磨き上げられた言葉の数々が濃ゆい語り口で解き放たれる。U.B.G.のイノヴェイダーを中心にDJオアシス、D-オリジヌー(DJダイ)、A.P.P.そしてジブラの手によるトラック群も、ウヂという唯一無二の存在を光り輝かせている。盟友=リノ、GK.マーヤン、UBGのfeat.参加もある“和”の神秘さえ感じさせる大豊作。

Singles


11. E.G.G. Man / Project : 141
(Mary Joy)

ソウル・スクリームのMr.Bee=イジジマンの初のソロ・アルバム。これまでにも「化けの皮」「Text 日陰の歩き方」「探心音」等のソロ・チューンを世に出してきたこの独自の道を突き進む“MCの中のMC”が、このアルバムで提示してきたものはやはり、イジジマンの探求する“言いたいこと”だけの特濃の世界。自身のサウンド・プロダクション・クルー=ハイ・カレント・ヴァイブスのアシュラを中心に、DJヒカリ、そしてイジジマン自身がプロデュースするサウンドの振り幅は想像以上に大きく、その言葉数/情報量の多さで圧倒しつつも、フロウする抜きも効かせたワードプレイとガッチリ噛み合っている。リリック的なバラエティも流石のモノ。

12. 餓鬼レンジャー / Da-Pong(Victor)

『Upper Jam』に続く2ndフル・アルバム。サウンド面を鉄壁にするハイ。スウィッチとグリーンピースが正式メンバーとなってからは初となるアルバムだが、その和なアッパーさに益々磨きがかかっているのは言うまでもないだろう。「ラップ・グラップラー餓鬼」に「Monkey-4」といったクリティカル・ヒットの他にも、ワード・スウィンガーズや三善善三、ウヂ、海、ケン1ロウ、ボンボ400,エージェント・オレンジといった濃いゲスト達と共に繰り広げる“ニオラ”世界の濃ゆいこと。フロントの2人の揺るぎないスタイルにキョーレツな“それ”を感じない人はまさか居るまい。前作を上回る傑作。