2002年6月にカエルスタジオとJuniorが旗揚げしたニュー・レーベル、Rock Cityが12/18、早くもレーベル・ショウケースとなるアルバム『Rock City』をリリース。ジャパニーズ・ダンスホール・レゲエの新しい姿がギュっと詰った本作の魅力を解読。

街がレゲエのサウンドでビリビリと揺れている。そんなデザインのイラストがこのレーベルを象徴する。街を揺るがす程の振動、ありえなさそうでありえるこのジャケの世界を見ながら考えれば考えるほど、自分の想像をどれほどまでに超えた音が襲ってくるのかと楽しみになる。きっとこれは、とてつもないヴァイブスが詰め込まれた作品に違いないと…。

 カエルスタジオが96年に始めたカエルスタジオ・レコード、99年にRed SpiderのJuniorとのプロデュースでのSky Is The Limitに続き、またもやカエルスタジオがJuniorとのプロデュースで放つニュー・レーベルがRock Cityだ。

 じゃあ、Sky Is The Limitとは何が違うのか? その答えは「ジャマイカ最先端のリディムそのものを、日本で使用する!」と言うこと。この今まで世界でもありそうでなかったことをレーベルとして現実にしたレーベルなのだ。ジャマイカ産のサウンドの現在進行形の姿=“Dancehall Reggae”の説得力、さらにその鮮度が武器になることは間違いない。

 そのRock Cityレーベルは今年6月からアナログ盤のリリースを始め、第1弾には今年頭にジャマイカでブレイクしたSuku &Teethimus制作の“X5”を、8月には今年最大のヒットとなったLenky制作の“Diwali”を、10月にはWayne Marshallのヒット曲のリディム“Party Time”をリリースと信じられない程の超豪華リディムで次々と日本人アーティストのビッグ・チューンをリリース(中には限定物もあり)していったわけだが、なんとそんな余韻も冷めやらぬうちにレーベルのコンピ盤のリリースを敢行。このもの凄いスピードは正にジャマイカ並み。

 “Diwali”リディムの1曲目、Vader & Minmiによるブッ飛び!のタイトル曲「The Rock City」はその名の通りこのレーベルの意志表示ソングであり、この二人が全国各地を完全にロックしロックさせる。同じくPapa-Bの「くもり空」はPapa-Bが繰り出した見え隠れする光にシンクロするハンド・クラッピンが想像力をかきたて引き込まれる一曲。また、サビのメロが耳に残るMinmiのオリコン・ランク・イン・ソング「The Perfect Vision」はJumbo Maatchをフューチャーし“Diwali”リディム・ヴァージョンで収録。その他、同リディムではNG Head、Rude Boy Faceを収録。

 今年リリースされたBoogie Manのミニ・アルバム『Musical Dealer』にも収録され、レーベルの第1弾シングルを飾った“X5”リディムではBoogie ManにSilver King、Vaderが絡む攻撃的なチューン「Boss Wi Buss」、アルバム『Still On Journey』にも収録済み、周りがどうのこうのじゃなく自分自身を高めて勝ち取るRyo the Skywalkerの「連勝マイク」。その他、このリディムではSilver King、本気男の作品も収録。

 “Party Time”リディムではMinmiの声術、フローがこのリディムに違和感なく浸透した「24/7」、また同リディムで現場を楽しむスケベな男のラヴ・ソングはH-MAN節炸裂の「Odori Odoru」。その他同リディムでのSilver King、Boxer Kid、Boogie Manが参加。このリディム名から連想できるようにそれぞれ個性豊かなダンス賛歌を聴かしてくれる。

 3リディムによる収録曲をザッと紹介したさせてもらったが、このアルバムはそれだけでは終わらない。なんとジャマイカでリリースされた“X5”“Diwali”“Party Time”リディムでのブレイク曲を始めとする30曲がJuniorによるノン・ストップ・ミックスで楽しめる美味しいボーナス盤が付き、2枚組となっているのだ。もうこうなるとジャマイカも日本もない。単に良い曲が聞けるという事以上に、これまでにないリンク・アップを見せてもらった気がする。

 国、レーベル、アーティスト等々…このレゲエという音楽で繋がるリンクが広がれば広がる程、このレーベルのタイトル曲で聞ける意志の大きさを感じられるはずだ。