真昼の暑さも一段落した夕暮れ時、FMからはこの夏のヘヴィ・ローテーションだった「夏の終わりのハーモニー」。気分よく後押しされながら公園通りの坂を上りきると、今夜のお楽しみ、Moominのソロ・ライヴ会場、AXのでかい看板が目に入ってくる。思えば渋谷クアトロから始まったライヴ会場も年々大きくなり、4年目の今年はスタンディング形式の会場では都内最大規模のAXかあ、と自他共に認める“昔からのファン”の筆者も感慨深く会場入り。

 会場のスケールが大きくなった分、普段コアなレゲエ・イベントに来ている層とはまた違った、所謂普通のお客さんの姿が目立つ会場内には静かな波の音が。Moominの地元、湘南に招かれたようなリラックスした雰囲気の中、お待ちかねHome Grownの面々と共に今夜の主役が登場。さすがに本人はリラックスとはいかないようで、ちょっと硬い表情ながらライヴ・タイトルともなった4枚目のアルバム『Natural High』からの曲3連発でまずは挨拶代り。「歌詞間違えちゃったよーっ」なんてMCも“らしい”とこ。「今日は前半と後半に分けて20曲以上唄うよ」の一言にお客さんも大喜び、すっかりMoominの世界に引き込まれている様子。前出のアルバムからの曲を中心に進め、前作からの「夏の終わり」を挟んで、ここでお楽しみ、最初のゲスト玲葉奈ちゃんを招いてのAlton Ellisのカヴァー「Let Him Try」が。この曲楽しみだったんだよね。そして地元の朋友、山嵐の2人を迎えての「Cause I Love You」で前半終了。Moominはここでいったん退場。

 とはいえHome Grownは休めない。彼等自身のアルバムからの「Vibes Camp」でVibesをキープ。と思ったら、そのまま同オケでの「Oasis」で、この曲にも参加しているPushim姐さんが突如登場! 同曲にやはり参加しているMoominも戻ってきて、後半のスタート。新曲中心だった前半に「後半は、盛り上げていくよ」とMCしていた通り、ここからはお馴染の曲中心のMoominワールドヘ。「Goodness」「Time Is On My Side」「Happy And Free」「Music Is A Part Of Me」「安らげる場所」「歩いていこう」と続く中、ふと思ったのは、Moominの声って“癒し系”と表現しちゃうと誤解されそうだけど、その決して力んでないように聞かせる声、唱法(これって、結構レゲエ的だよね)自体がリラックスできる“安らげる場所”みたいな力があるのかも。「普通のお客さんの姿が目立つ」なんて書いたけど、殆どの曲を一緒に歌っている皆を見ていると、Moominの歌が好きでここに集まったんだ、と素直に実感。

 そしてここからはMoominのもう一つの顔、Dancehallタイム! まずは『Natural High』にも参加しているYoyo-Cを呼び込んでの「S・P・A・C・E」から。続いて、お馴染みCorn HeadとRude Boy Faceが出てきて「@ the Dancehall」「禁断の森」へと続くと、待ってましたのLove Milkの飛び入りで盛り上りもピークに!

 そして、DJ達を帰した後は、そう、やはり「今夜のお別れに」は、この曲でしめてくれなくっちゃの「夏の終わりのハーモニー」で決まりでしょう! アンコールではプライベートでの嬉しい報告(おめでとう!)もあっての「みんなしあわせ」なんて、全く歌の通り。正に4年間の集大成、日本のレゲエと共にMoominも次の段階へとスケール・アップしているのを実感した夜でした。
      Leyona            Love Milk        Yoyo-C

      Rude Boy Face Corn Head                   山嵐