The Miceteeth
The Rude Pressures

 スカが生まれて40余年、今や世界中に存在するスカ・バンド。スカ・フレイムスが種を蒔いたここ日本でもアンダーグラウンドながら良質なバンドが数多く存在する。今回は最近作品を出した名古屋のザ・ルード・プレッシャーズと大阪のザ・マイスティースの2バンドを紹介。

 Determinationsの好評ぶりを例にあげなくとも、ここ1、2年で、オリジナル・スカがもっていた心意気みたいなものを、今の時代の、この日本の地ならではのアプローチで体現するバンドの活躍が目覚ましい。ともに数枚のアルバムを発表しているBlue Beat Playersや熊谷のSilver Sonicsをはじめ、増井朗人をプロデューサーに迎えた最新作が素晴らしい仕上がりだった静岡のSideburns、Cool Wise Menは待望の新作シングルの発表を控え……そんな中、新たなCD作品をリリースする2組をここで紹介したい。

 まずは、関西を拠点に活動するThe Miceteeth。99年に大阪で結成された11年編成の彼らは、平均年齢が23歳という若さ。初のCD作品となる『Constant Music』は、2枚の既発7インチに新曲を1曲加えた、全5曲で構成されている。年齢以上に落ち着き払った感じの高い演奏力は、ライヴでも実証済み。

演ってるジャンルは違うけれど、Double FamousやNoahlewis' Mahlon Taitsあたりと近いニオイを感じる、そんなサウンドだ。また、彼らの音楽に特徴的なのは、日本語詞による歌モノ。オリジナル・スカで歌われているようなルードボーイのライフスタイルを描いた歌詞を日本語で直訳……というようなものではまったくなく、温厚なキャラクターがにじみ出た、飾り気のないドクトクな詞世界を展開している。きっとこれからメンバーそれぞれが、人間的にも音楽的にもキャパシティとボキャブラリーを拡げていけばいくほど、バンドの表現そのものが充実していくのだろう……と、大きな期待を抱かずにはいられないバンドだ。

 続いて紹介したいのが、セカンド・アルバム『Always』を9月末にドロップしたばかりの、Rude Pressures。10年以上のキャリアを誇る彼らは、同じく長い活動歴をもつMighty Clippersとともに、名古屋のオーセンティック・スカ・シーンを支えてきたバンド。約2年ぶりとなる本作は、1曲めから音質、演奏、空気感……と、オリジナル・スカのラフでタフなカッコよさを凝縮したような、力の入った演奏が展開されている。

前作と比べても明らかにバンド・サウンドのクオリティは高くなっているようで、ルーツへの愛情の深さ/その魅力を徹底的に分析する根気強さ/さらにそれをバンド・サウンドに反映させる実演力……を、総勢11人のメンバーそれぞれが一音ごとに込めた努力の跡をしっかりと受け取れる(考え過ぎ?)。しかし、そこで頭でっかちなものに陥らないのが、Rude Pressuresならではな魅力と言おうか。ヴォーカル山口の無頼派歌唱も、バンド名が物語るヤバさをグッと引き立てている。

 The MiceteethにRude Pressuresはもちろん冒頭で挙げた面々も含めて、同じスカ・バンドとはいえ、もちろん出てくるサウンドはまったく違う。けれど、いずれのバンドも、さまざまなスタイルの音楽が氾濫する日本で、オリジナル・スカがどんな風に響いているのか?ということを、いちリスナーとしての客観性を保ちながら、実にクールなスタンスで捉えているのが興味深い。そこがきっと、彼らの音楽に新鮮な輝きを与えている最大の要因なのだろう。