Album

1. Eve / Eve-olution (Universal)

多方面で活躍中のイヴ嬢の3rd。最もパーソナルな作品であると共に、バラエティを抑えた作りも逆に“意欲的”に写る本作をもって彼女も完全にV.I.Pに。アーヴ・ゴッティ&7制作の「Gangsta Lovin feat. アリシア・キーズ」の大ヒットに続き、師匠=ドレー作の「What feat. トゥルース・ハーツ」も話題を呼んでいるが、スウィズを始めマイク・エリゾンド制作曲等、ムラのないトラックが並び、イヴの多様化した語り口をガッチリとサポート。ド真ん中の傑作!

2. Doggy Style AllStars / Snoop Dogg Presents...Welcome To Tha House, Vol.1 (Universal)

スヌープが指揮を執り、スーパフライ、ラトイヤ・ウィリアムス、Mr.ケイン(旧名コケイン)、E・ホワイトといった“ドギー・スタイル”レコードのアーティスト達を中心に紹介したショウケース・アルバム。予想通り、ゲストも盛沢山でかなりレイドバック・ムードの強いファンク・アルバムなのだが、EZエルピーやハイテック、DJプレミア、DJスクラッチ、ノッツといった意外なトラックメイカー達が関わっていたりもする。ウェッサイ・マニアには多少食い足りない部分もあるのかも知れないが、どうしてどうして、やっぱりスヌープはやってくれますよ!という見本市。
Now Printing 3. KRS One / The Mix Tape (Victor)

例のネリーとのビーフに終止符を打つべく放った久々のデス・ブロー「Ova Here」を中心に組まれたシャウトアウト込みの13曲入りミニ・アルバム。と言ってもその内容度の濃さは推して知るべし。ビート・マイナーズが手掛けた先の曲の他、何枚か別レーベルからシングルが切られた「The Message 2002」、そして久々にマッド・ライオン節が聴ける。「Stop It」等、決して古びる事のないKRSの体現するリアル・ヒップホップがここにある。来年頭にも予定されている最新作「Kristyle」にも期待は募る…。
4. Clipse / Lord Willin' (BMG)

正に八面六臂の活躍を見せるプロデュース・チーム=ネプチューンズ(ビーニ & ジャネットもありました…)のレーベル“スタートラック”より、ヴァージニア出身在住の2MC=クリスプのアルバムようやく到着。殆ど打楽器だけで構成されたスカスカなのにヘヴィなビートが衝撃的だった「Grindin」は、N.O.R.E. 、ベイビー & リル・ウェインが乗っかったリミックス及び、ショーン・ポール、ブレス、カーディナル・オフィシャルが参入したセレクター・リミックスの3種あり、どれもこれも楽しめる。当然ながら全曲ネプチューンズのフル・サポートで最新のビーツで“ワルなキャラクター”を全開に。フェイス・エヴァンス、ファボラス、JD、ジェイダ & スタイルズらも客演の話題作。
5.Large Professor / 1st Class
(P-Vine)

元メインソースのラージ教授、ソロとしては初のアルバム。プロデューサーとしてNas、クールGラップ他数々の有名アーティストに手を貸してきただけにそのフィードバックも感じられる本作は彼の集大成的な趣きさえある。Nas、Qティップ、バスタ・ライムス、アキネリ、といったグッとくるキャスティングにもそれは顕著だが、ここ数年のソロ名義又はコラボE.Pでも味わえた“MC=エクストラ・P”としてのアジもより深まっている。わざと時代を10年前に引き戻したビートもあり、懐の深さは相変わらず。聴くべき。
6. Dabo / Hitman (Def Jam)

クラシック化した前作ともまたタイプの異なるニュー・クラシックが登場! “安打(=ヒット)製造機”であり、“殺し屋(=キラー・エムシー)”の意味も併せ持つタイトル通り、マイクでガツンとカマしてくれるダボ。先行曲で“初のLove物”だった「恋はオートマ」以外にも、泣ける曲があったり…そのベクトルは確実にあらゆる方面に向いており、しかもダボという中心からは決して外してはいけない、という外れ業の数々。これだけカッコ良く“余裕”を見せられるアーティストも稀。DJワタライ、ジ・オロジーらビート提供者もニンマリしたに違いないマチガイナイ内容!
7. Twigy / 余韻〜断編集〜(Virgin)

常にオリジナルなヒップホップ・アーティスト=ツイギーの4作目。傑作だった前作『The Legendary Mr. Clifton』の余韻をも漂わせ、しかしまたフレッシュなアプローチを無意識的に披露している点でも彼は突き抜けている。展開にも驚かされる「適温」(ライムセンス!)、くるりの岸田繁を迎えた「夜」、詩的ななグルーヴすら感じる“カタリヤ”、キーコとの相性の良さを再確認出来る「Twigy Twigy」、そして小林克也のスキット(!)から雪崩れ込むパーティー・チューン「Party」(feat. ハイ-D、Prod、DJアメケン)そしてバンド・ヴァージョンの「ケムニマケ」と、実に濃い全7トラック。
刃頭 / The Newborn(P-Vine)

「最狂音術」シリーズに続く刃頭のソロ・プロジェクトは、その前作とは打って変わって数々のキャスト(ケムリの盟友=DJヤス、ガイディングスターのG・カンカラー、デリ、ブー、ジュルー・ザ・ダマジャー、ニップス、ハンガー、マダラ、ボス・ザ・MC、ワードスワィンガーズ、オリト、モモ、ゼブラマンと、多方面から終結)を絶妙に配したアアルバムとなった。そして、“豪快”な男(DJ/プロデューサー)として成る彼は、一曲だけでは語らせないとばかりにマルチ・エスニックな音像と確かな鼓動をそこに封じ込めている。インストの“暴れっぷり”も大充実。そう、まるで“構想○年”の大作映画を観ているような…。
9. DJ Tonk / Aquarian Soul
(Groove Guru)

トラックで自分を表現するプロデューサー=DJトンクの約3年ぶりの2ndアルバム。ワード・スウィンガーズ&ミリをfeat. した先行曲「Elevation」の他、キイコ、IQ、ロケット・サイエンス、エイジア、L & P.B、マミーDからココ・ブラヴァス、アフーラ、ピズモ、ザイオン・アイ & チョップスといった国内外の多彩なゲストを迎え、自らの血となった音楽、そしてそのフィルターを通して進化したトラック群と、彼を信頼するアーティストたちのパフォーマンスは、前作を越えたレベルに達している。洗練一途ではなく“人間臭さ”がそこはかとなく感じられる点もトンクらしい。光盤。
10.High De Crew / Sun Shine
(Styledrive)

新潟シーンの風雲児集団としてその名を各地に知らしめつつある2MC+2DJのハイ・デ・クルーのデビュー・マキシ(5曲入り)。レゲエのでディージェイ・スタイルを極めて自然に取り込みつつ、面白味のあるライミングとフロウで魅せるタイプの異なる2MC、Usu、EQのぶつかり合い、そしてパーティー・ロッカー=ヨシとターンテーブリスト=ヒロミツという2DJの役割分担もよく見える、遊びゴコロ満点のグループ。ひたすらアゲまくる「バウンシングSunshine」から彼らは既に“掴ん”でる。


Singles

11. UZI / Knock Out(Future Shock)

UBGの豪腕ラッパー=ウヂの待望の1stアルバムに先駆けてのシングルは、UBG最強トリオ(ウヂ、ジブラ、イノヴェイダー)によるタイトル曲(“ワールドプロレスリング”のファイティング・ミュージックに決定)と、隠れた名曲「Izumi」の強力2本立! ジブラがセコンドから激をトバし、イノヴェイダーの用意した頑強な四角いジャングルの上で思う存分その鍛え抜かれたマイクロフォン・テクニックを披露するウヂ…。やっぱりこの男は唯一無二。P.Vも相当凄いことになっているらしいゾ!? 正にアルバムまで待てない!E.P。

12. キングギドラ / ジャネレーション・
ネクスト(Def Star)


またしてもシングル同時リリース、というヒップホップ界では考えられない離れ技。といっても現在の彼らにはそれだけの期待と注目が集まっているのだから、ある意味“当然”!? しかしながら、窪塚洋介主演作『凶気の桜』のテーマ曲(音楽はKダブが、監督はジブラ、Kダブ、オアシス、ウヂの新曲等のP.Vも撮っている薗田賢次)となる「ジェネレーション・ネクスト」(制作はオアシス)にしても、米同時多発テロ事件をうたったもう一枚のE.P「911(Remix)」にしても、“言葉の突き刺さり方”が並じゃない。キングギドラとして彼らが今やるべきこと、モチベーションはこの2曲からも十分に伝わってくる。