この1年間で参加した大小様々なライヴを通じて益々存在感が出てきたロッキング・タイムがレコード会社を移籍し、サード・アルバム『Rocking Time』を完成。バンド名を冠にした入魂の本作、更にメロディー・メイカーとして磨きがかかったロッキング・タイムのフロントマン、今野英明に早速インタビュー。


 ●前作もそうだったけど、今回もずばりロック・ステディってアプローチではないですね。強いて言えば、ロック・ステディのスウィートな部分やロマンティックな部分をうまく抜き出して、それに日本の70年代のシティ・ポップや歌謡曲のテイストをミックスさせたんだけど、やっぱりロッキング・タイム色になってしまった…僕はそんな風に感じたけど。
今野(以下K):やっぱりロック・ステディもレゲエも好きなんですけど、そっから出発したものであって、尚且つポップなもの。そうしなきゃいけないって言うよりも、それも新たな挑戦でやるのが楽しいかなって。ま、そうなってればいいなって。

●それが今回うまく行ったのは、歌を聴かせる曲や、それを引き立てる演奏やアレンジがうまく絡み合ったからだと思うけど。
K:うーん、どうなんですかね。同じ人やバンドであっても、その時々に変化してるし、好奇心も変わると思うし…ただ、自分の曲作りのスキルがちょびっとだけ、ちょびっとだけですけど上がったとは思うんですけど(笑)。

●確かに。前作の時のインタビューで「情けない純情な三十路男の心を表現した歌が多い」と言ってしまったけど、今回も今野さんの歌世界は相変わらずなのに、臭く聞こえない。逆にスルリと言葉が沁みてきたんだけど。それは実際、言葉がうまく良いメロディーに乗っているだからだと思うんですけど。
K:単純に今まで使えなかったコードが使えるようになったとか、転調ってこうなってるんだとか。僕は最近、古めのジャズ、特にニューオリンズのが好きでよく聴いてるんですけど、その中でも好きな曲のコードとか拾ったりしてるうちにちょっと絵の具が増えたというかね。

●サウンド面は誰が引っ張ったの?
K:突出して誰ってのはないけど、森(俊也)さんがメンバーにいるってのは大きいですね。弦とホーンのアンサンブルも譜面で作れちゃうし。尚且つ機材も熟知してるし。困った時の森さん頼みってのはありますね(笑)。

●今回も一発録りに近いやり方だったの?
K:ほんとに「せいの!」でやってその要素しか入ってないのは、「君を待つよ」「Pretend」「Sha-la-la」くらいで。逆にレコーディングで初めて完成した曲は「リズム」とか最後の「季節の変わる頃」ですね。はっきり線引きは出来ないですけどね。でも練ったと言っても、アルバム作るのが決まったのが3月で、4月にはだいたい録り終えてたんで(笑)。

●ライヴでよくやってたのってスカ・チューンの「Sha-la-la」ですね。他はあまり聞き覚えがないけど。
K:あと「今日の気分は」とか。逆に「ありふれた言葉」とか「季節の変わる頃」はアルバムの為の書き下ろしに近い感じですね。ま、全体的に今まで以上に音の幅が出たとは思います。

●トマトスが昔日本語でカヴァーしてた「Rock Your Baby」(原曲はジョージ・マックレー)をやってますね。アレンジは変えてるけど、雰囲気は近いかな?
K:今までカヴァーしてないのが不思議なくらい自分に馴染んでる曲なんですよ。トマトスのこの7インチは今でも僕の宝物なんですけど、ほんと詞がちょびっとしかないのとか(笑)、もう影響受けまくりで(笑)。僕は俳句くらいしか歌詞がないってのがムチャクチャかっこいいなって。そういう影響の方が強いかもしれないですね。少ない言葉数で奥行きがあるって歌として優れていると思うし。それがメロディーといっしょになった時にマジックが生まれるっていうかね。あと、これカヴァーなんですけど、オリジナルよりもカッコいいじゃんって。それって結構レゲエの本質だったりもするじゃないですか。知らないうちにそういうのも教わったんでしょうね。

●確かに全体的にトマトス的なニオイが散りばめられてる気もしますね。
K:「燃え上がる熱い心」でカリプソやったりね(笑)。確かに今回のはトマトスにあった自由奔放さってのが出てるかもしれないですね。今回のと前の『Song Book』を比べると、確かに前のは並べて聴いた時にストイックな感じがするかもしれませんね。ミックスの内田(直之)君の色も強かったし。今回、エンジニアは内田君以外に初期のミュート・ビートとかやってた土井章嗣さんも参加してます。

●もう次なる作品を用意してるとか。
K:いま冬のシングル曲を作ってるんですよ。生ドラムのサンプリングとか使ったりして。他にも今まで日の目を見なかった曲とか、相変わらず一発録りの曲もやってるんですけどね。