誰よりもレゲエに魅了されてやまないキーボーディスト、ハカセ・サンがセカンド・アルバム『Do Re Me ROCKERS♪』を完成させた。鉄の意志を懐に隠しながらもやっぱり、ひたすら穏やか。夢見るロッカーズ・ワールドをご堪能あれ。


 ●前作『Plays Boyz-Toyz REGGAY!』から丁度1年でアルバムを完成させましたね。
ハカセ(以下H):必ず夏には出したいなと思ってて、自分的な目標として。

●この一年はリトル・テンポもそんなに活動してなかったし、サポート活動も少なかったんで、作り込めた作品と言えるのかな?
H:うん。時間はあったけど、実質的な制作期間は2ヶ月ちょっとですね。半年も独りでやってたら、頭フィードバックして爆発しちゃうしね(笑)。で、今回は割と曲順の並び通りに作ってったんですよ。後半に行くにつれてディープになっていく感じはありますね。

●サウンド的に何か目標を持って臨んだの?
H:絶対にレゲエの“骨っぽさ”を出したいというのがあって。最近のデジタル・シンセなんかはほとんど使ってないですね。ヴィンテージのアナログ物の鍵盤って、音は粗いんだけど、逆に輪郭だとか粒立ちがはっきりしてるから飾り立てなくてもいけるんですよ。そういう意味で今回はトラック作りと録音の事を並行して…例えばどのケーブルを使って録ると音がいい感じになるか?とか、オタク的な部分をかなり追求して(笑)。

●去年作品を出した時は「今度は75年くらいのイメージに絞って」と宣言してたけど、実際は?
H:75年よりもうちょい後の感じになったかな。1978年くらいの、埃っぽいムード。力が抜けまくっててね。タイトルに“ロッカーズ”って名づけたのは結構思い切ったんですけど。ロッカーズを標榜すること自体、それ相応の勇気がいる事ですよね。パブロのロッカーズ・レーベルのイメージもあるし。ただ、ルーツ・レゲエをプレイする、という事自体が“ロッカーズ”という言葉の意味合いとして単純に含まれてると思ったんですよね。

●“ロッカーズ”の前に更に“ドレミ”が付いてますね、これは?
H:鍵盤音楽ってやっぱり、ドレミファソラシドって音階があって、基本的にその枠から抜けきらないんですよ。ま、その中でどれだけ自由に遊べるか、みたいな…。あと今回はオルガンってよりもキーボード全般のインスト物って感じが強いかな。で、ひとり宅録的な、自分のプレイのオーバーダビングだけなのに、不思議と絡み合いがあったりするんですね、ジャズのインタープレイの様な。自分の人格の中のいろんな部分が絡み合ってる感じ。

●前作のレゲエ本来の楽しさが溢れてる感じは今回も健在ですよね?
H:HAKASE-Sun の“Sun”って太陽の意味だから、コンセプト的には全部“陽”の方向に繋げたいと思ってて。ジャー・シャカとかは全曲マイナー・チューンだったりするけど、僕の場合は逆に全曲メジャー感をアピールしようかな、と。温度感は「ホット!」って言うよりも、関西弁で言うところの「ぬくい」ていう感じで。

●全体を流れる空気感としてはジャッキー・ミットゥーの『Keyboard King』に近いかなって思ったんだけど。
H:うんうん、サウンドはそれに近い。でもジャッキー・ミットゥーの音楽はもっと大人ですね。哀しみってのが見え隠れするし、非常に“泣ける”音楽だなと思うし、もちろん大好きです。ただ、ジャッキーっぽく作ろうというんだったら、ジャッキーの元のレコードを聴いてた方がいいに決まってるしね。ハカセというプレイヤーの人格とか、その時の心象風景を盛り込んだ作品にしたいし、そのように出来たな、というのはありますね。あと、ルーツ・レゲエの持つカントリー感、いなたさという部分を大事にしたいと思っていますね。アーバンさとはまた別の、田舎の田んぼのあぜ道っぽい感じとかさ。人気のない海辺で、AIWAの小っちゃいラジカセで聴くようなイメージ、かな。

●確かに素朴な気持ち良さって点では群を抜いてますよね。
H:うん。それだけは最低限クリアしたいなって思ったし。レコーディング作業もほとんど宅録で、腹が減ったら自分でメシ作って、夜中になったら音量を小っちゃくしてっていう家庭的なノリで(笑)。スケールとしては自分の生活そのものですからね。そういう箱庭的な感じが逆に、一番の魅力かなって。あとね、リズムがいいトラック、これは絶対マスト。今回もドラムをMPC2000XLで打ちこんだ以外は全部手弾きかな。こういうフィーリングのレゲエやってる人もいないと思うし、これからもやっていく値打ちがあると思うんだよね。

●最後を飾る「Xanana Musik」だけ時代が違う気がするんですけど、これだけ80年代前半?
H:そうかも。これだけちょっとヤバ系のやつね、サイエンティストのダブ・シリーズ的な。ほんと何も考えないで作っちゃったやっつけ的なトラックなんだけど(笑)。この流れで、最後になんでこの曲が入ってるんだ?っていうのも面白いしね。ま、次のアルバムの伏線って意味もあるかも。

●という事は、次の作品も見えてるって事?
H:レゲエのパンチ感って言うか、よりハードコアな部分も出したいなと思ってますね。ドライ&ヘビーの後に聴いても全く遜色ない様な(笑)。もう頭はそれでいっぱい(笑)。もちろんHAKASE-Sun名義としてね。

●それじゃ、今度もマイナー・コード禁止ですか?
H:いやあ…それは微妙(笑)。とりあえずドラヘビに負けないパンチ感をね(笑)。