1999年12月号

DJ SPINNA / Joints By... (Beyond Real)

先月DJプレイの為に来日したスピナの置き土産。彼自身久々となるテープ作品だが、その理由は「作ってるうちに色んなアイデアを試したくなて一本に収まりきれなくなる」というもので、ナルホドこのテープは明確なコンセプトの下にまとめられている、という印象。中心はダ・マトリックスやカジモト、コンボ等の良質なアングラ・シットで、D.I.T.C.のリミックスやエル・ダ・センセイのエクスクルーシヴもしっかり入ってたりする。彼のプレイにシビれた人は是非。

DJ SOUL / Dangerous (Staple)

次代のミックス・テープ・キングの呼び声高い、ロングアイランド出身のテープ・マエストロ=DJソウル(23才)の最新作。タイトル通り“ヤバめのリリック”のブランニュー(「Watch Me」から「Leatherface」まで)を並べ、コモン、マッド・スキルズ、イグジビットらのシャウト・アウトが入る構成はシンプルそのものだが、各曲の濃い部分がしっかり活かされ、アングラ物しか聴かないヘッズも楽しめるハズ。尚、彼の最新インタビューは『Stress』23号でも見れる。

BEANIE SIGEL / The Truth (マーキュリー)

やや紹介遅れだが、国内盤が出た“ロッカフェラ”の最終兵器ことビーニー・マックのデビュー作を取り上げない訳にはいくまい。フィリー出身、同郷ルーツの他、ジェイZ、アイス・キューブと故ビギー等の大物とも絡んでいるだけに、その堂々としたフロウ(これには逆にジェイZも影響された位)は例のパックマンねたの「Mac Man」やスケール感の大きな「Whatcha Life Like」等に封じ込められている。新人プロデューサーの起用も功を奏した、骨太なストリート・アルバム。まずは上々のデビュー作、だ。

DEF SQUAD / Def Squad Presents... (ユニバーサル)

一時程の勢いはない、といってもそれは“量”の話で相変わらず“質”の高い仕事振りをキープしているV.I.P.=エリック・サーモン率いるデフ・スクワッドのレーベル・コンピ。その御大(今回はエリック・オナシスと名乗っている)とレッドマン、キース・マリィの最強トリオの他、ジャ・ルール、イグジビット、そして何と故イージーEまでも! 東西南とあらゆる地球に向けられた、世のバウンス熱を無視したファンク路線はもう痛快の一言に尽きる。

DILATED PEOPLES / The Platform(東芝EMI)

3年越しのクラシック「Work The Angles」からの奇跡が練り込まれた西の注目株の初アルバムは、大手“キャピタル”から。アルカホリックスやBリアル等のゲストに押さえ込まれることなくラッカとエヴィデンスは大活躍。先行カット曲「The Platform」や「Ear Drums Pop」での立ち回りは言うことナシ。ビーツの堅さに加えそれをよりリズミックに響かせるフロウ、慈愛も感じられるリリック、そして効果的に場を盛り上げるバブーのカット…。ナカナカの佳作。

THE CREATORS / The Weight (東芝EMI)

NAS「It Ain't...」のリミックスで有名になった、UKきってのネタ師=プロデューサー・ユニットの初のフル作。“待たせた”という自戒も込めてつけられた題目には、風化しないマスターピースの様な作品という自信が見て取れる。実際、1年半前には完成していたアルバムからの流用トラックではない新曲の充実度が凄い。ネタのループとドラムのタイトさはUS以上にドープだし、モス・デフ、クウェリ他参加MC(US勢ばかり!)との交わりの自然さには国境を忘れる瞬間も。

D.I.T.C. / All Love (ファイル)

"トミーボーイ" からアルバムが出たばかりのブロンクス最高機密ことD.I.T.C.の“それ以前の録音集”。「Day One」「All Love」「Inter-nationally Known」「Put It In Your System」といった12吋盤でお馴染みの代表曲の他、それらのリミックス(手掛けるはショウ)やA.G.のソロ曲、ゲットー・ドゥエラスら二軍のトラックまでまとめて聴いても違和感がないのが、D.I.T.C.たる由縁。特に "トミーボーイ" 盤未収曲の存在がデカい。持ってなかった人には朗報。

ビートマスター/ ナイト・カーリマン(Pヴァイン)

浜松代表ビートマスターの2nd・アルバム。夜の世界をドクトクの文学観で描くKO-1、ケンゴのリリカル・ワールドは更に高い次元へと歩を進め、人生の痛みが伝わる「人生ゲーム〜花びらPt.2〜」や「モノクロームの英雄」、サッカーMC物の様なイキオイで自分自身を挑発(自己啓発)する「最強の強敵」でのオリジナリティは素晴らしい。かつてKO-1のソロ名義で出ていた「哲学と文学の音楽」の続編(「花びら」も)を含め、ドープかつ情感豊かな音にも酔える。KO-1のミックス・テープ・シリーズも好評発売中。

ワード・スウィンガーズ / Unda II Ova(P-ヴァイン)

大阪裏庭で牙磨く事数年。極東きってのフロウアー、RYWとO.K.Iが遂に初のミニ・アルバムをドロップ。この春フロアを席巻する3連発EP「選言導士」「一本のマイク」「Go For Get It」を含め全てがDJセロリ制作曲で、あのスピナに「ドラムの鳴り・パターンやネタとの整合感の素晴らしさは、USのプロデューサーと比較してもなんら遜色ない」と言わしめた才能は大爆発。しかしここではプロデューサーとして2人の際立ったフロウを立てる事に最大限の注意を払っている様。まったくもって鉄壁のコンビネーション。この黒さは本当に尋常じゃない!

V.A. / Synchronicity 2nd Session(フューチャーショック)

"フューチャー・ショック" の専売特許? 国境銘柄越境合作コンピの第二集。今回もファン十全の好カードばかり。マーリィ・マールのイントロに始まり、ダボ+バックワイルド、クレイグG+DJヤス、オースミ+ショーンJ、エイソップ+DJトモ、スキャラマンガ+DJジン、ワード・スウィンガーズ+イーライ等々、アク/我の強い連中が見事に融合する様は圧巻。ヒップホップとい世界共通言語が存在する事と、それが共時性のあるものなのだ、という“主張”も通っている。音の凄さ(特に低音!)も特筆モノ。

ダボ / Supadondada(リアリティ)

ニトロとしての活動の他、先の『シンクロ2』や、DJハセベ「Taboo(Remix)」へのフィーチュア等、爆走ぶりが目立つ“Mr.フダツキー”の2nd。DJヤス制作の表題曲はレゲエっぽいアレンジでダンダダぶりをアピール。ストレートなフロウを期待する向きはこの新境地をどう受け止めるのだろうか? 裏曲は前作のデヴ・ラージによるリミックスで、録り直しの部分がどうこうでなく新しい試み! 彼のポテンシャルは最大限に引き出されている。ジャケ絵は言うまでもなく本人の筆(麻波25のも書いている)。

GKマーヤン / 土地土Forever(エルドラド)

先月の「続・大災害」に続き、今度はエルドラドからのNew。A面曲「土地土Forever」は、DJデンカのミックステープ『Stinky Japanese Cuts』でもエクスクルーシヴで聴けたニュー・クラシック(「Free Green」をその前に聴いて頂きたい)で、ドス黒いビートでパシパシ韻を踏みパンチ・ラインを連発する、GKの男気炸裂の一曲。対するB面の「かけめぐる新宿ブルース」も正にトップロープからのミサイル・キックの如き破壊力満点の一撃。共にトラック担当はデヴ・ラージ。間違いない“特濃12”。