DJ DREZ / EZ Street

ウェストアンダーの重要グループ＝アノニマウスのDJとして知られるDr.イージーことDJドレッズの最新テープ。相変わらずドープなセレクションで、ブランニュー・ビーツとオールド・スクール、レゲエ（マッド・ライオン等もシャウトアウト）が混然一体となっている。自ら "Vibe Creator" と名乗るだけあってそのヤバーい空間／音響設計は超オリジナル。同発の "ネタものミックス集" 『The Best Of Rare Soul』でもそのブッとんだセンスは堪能出来る。

DMX / And Then There Was X（マーキュリー）

各方面で大爆走中のラフ・ライダーズ。1000年最後のシメはやはりこの男＝DMXだった。超売れっ子となってしまったスウィズを中心にPK、DJショックら、ラフ・ライダーズのサウンド班に、グリース、アーヴ・ゴッティとX作品お馴染の面子だけで制作されているにも関らず、今回もまた新しいスタイル、フロウが散見出来る。血管がブチ切れそうなハイパー・チューンから、深く影を落すレクイエムやノン・ビートのポエット等Xの二面性はより明らかに。

LOX / We Are The Streets （ユニバーサル)

パフ・ダディの懐刀としてデビューし、「If You Think I'm Jiggy」等を当ててきた3人組が地元ヨンカースの仲間達＝ラフ・ライダーズと行動を共にする為に "バッドボーイ" を脱けた話はもうご存知だろう（相当モメた様だが）。この2ndは彼等のメデタイ移籍第１弾。で、予想通りスウィズ、PKらがクリエイトするフューチャー・ファンクでヨンカーズ・テールをブチまけている。ティンバランド、プレミアのトラックもポイントになってるし状況の良さがストレートに出た感じ。イヴら仲間のサポートも◎。

ファンクマスター・フレックス＆ビック・キャップ /
The Tunnel（マーキュリー）

"ラウド" から過去3枚のミックス作品も出していたヒップホップ界随一のVIP DJ＝フレックスが "デフジャム" へ移籍。現在もビッグドッグ・ピットブルズで活動を共にするビッグ・キャップと共にNYの大バコ＝トンネルのパーティのノリをそのまま盤に。ビギーと2パックの伝説のフリースタイルからラフ・ライダーズ、ドレー＋エミネム、ジェイZ他の新録エクスクルーシヴがギッシリ。ロックワイルダー、EZ―LPらと共にフレックスのプロデューサーとしての力量も伝わってくる好盤。

スクリューボール / Y2K（トイズ・ファクトリー）

本頁でも何度か紹介したクイーンズブリッジのヴェテランMCズ、ようやく初アルバム（PHDと、カマカジーは覚えてる？）。それだけに本作はこれまでに鬱積したものを全て吐き出したかのような濃い内容（今月のベスト1かも）。既に耳慣れた「F.A.Y.B.A.N.」他、4人のスピットが詰まった全21曲はヒップホップの根源的な魅力で一杯。これぞゲットー・ミュージック。プレミア、ピート・ロック、ゴッドファーザー・ドン、モブ・ディープ。いつもイイ仕事してる！橋の話は聞きたい？

ディヴァイン・スタイラー / Word Power 2 （トイズ・ファクトリー）

ライム・シンジケートやハウス・オブ・ペインとの関りでも知られるウェストアンダーの大物が昨年自主銘柄から出した3作目の再パッケージ版。リリース先は "Mo'Wax"（サスガ!!）で新曲を含め構成を練り直し、よりディープな作品に仕上がった。あのDJシャドウが尊敬してやまない位のプログレッシヴなトラック・センス、そしてイスラムの影響力が強いスピリチュアルなリリック・ワールド、卓越したデリヴァリー。全て独特でハイ・レヴェル。Indopepsychicsによるリミックスがまた素晴らしいのだ !!

V.A. / Tektonics （ミュージック・マイン)

『Deep Concentration』シリーズでヒップホップ・ヘッズからも注目された桑港のノンジャンル銘柄 "オム" から何とも画期的なコンピが登場。エレクトロ／ブレイクビーツ系アーティストとターンテーブリスト達の美の競演？参加したのはワゴン・クライスト、ハウィー・B、プロペラヘッズらとDJ Jロック、ロブ・スウィフト、ディスクら各々13組。ここには間違いなくエクスペリメンタル・ミュージックの未来とターンテーブリズムの深淵が見える。コスリが生むグルーヴに悶絶。

V.A. / Break Audio Dynamite（アジャスト・オーディオ)

キュー「In Fighter」、リトル「Child Play」と順調なリリースが続いている "アジャスト・オーディオ" のショウケース盤。ロック―T制作のラッパガリヤ「刺激的」に始まり、ドージーTとKダブの初顔合わせ、キュー、イノセンス、キック・ザ・カン・クルーらのブランニューは全てハイ・グレードだし、かなりイッちゃってるケド超自然体のリリックが面白い、新世代ライム集団＝アルファや注目のMC＝グレースのジャスティス・エースといった新顔の存在も面白い。このレーベル・カラー／スタンスは今のシーンに絶対必要、と再認識。

OBSCURE DISORDER / 2004（Audio Reserch)

「Lyrically Disorder」「Maintain The Focus」と質の高いシングルをリリースしているカナダのグループ＝オブスキュア・ディスオーダー久々となるNew。今回もディヴ・ワン作のタイトなネタものでグイグイ聴かせる仕上がり。またフィーチュアリング・ゲストとして "マタドール" からアルバムも控えてるノンフィクション代表＝イル・ビルとゴアテックスも参上しマイク陣の士気を高めている。カット担当で今回から正式メンバーとなったバトルDJ＝Aトラック（デイヴの弟）作のボーナス・ビーツも有。

TOMMY TEE / World Renown（Guess'Whyld）

毎度毎度、人海戦術の賜物のようなブツ（でも内容がすこぶるイイので文句もなかろう）地下物好きを喜ばせてくれる "ゲスワイルド" が又やってくれた。トラック野郎＝トミー・ティーのオケ物で、表題曲はピート・ロック、ラージ・プロフェッサー、マイク・ズートとA.G.をフィーチュア。裏にはFTにロイヤル・フラッシュ、MOPにマット・フィンガーズ（同銘柄のオーナー）が。コーディネートはロイヤル・フラッシュだが、この顔合わせは2度となさそう。A面のリレーが強力。ワールド・ディスオーダーのスカムによるアメコミ風ジャケもナイス。

TWIGY / 夜行列車 (EMI)

マイクロフォン・ペイジャー時代にツイギーが "VIP" の下で録った名曲のセルフ・リメイク（93年の『VIP HITS 2』にも収録）。元盤の "Flex" 風のスロウ・トラックからチキチキの入った未来派トラック（キックのアクセントはダンスホール！）へと変化を遂げただけでなく、リリックも新調され、前回はイントロ・マンとして登場したボーイ・ケンもフィーチュア。併録の「七日間」のリミックスも同じくV.I.P.の堀口＋Kang Dongが大活躍。長年のツイギー及びVIPファンにとってはまたとないプレゼント。

SAL / 思考遊戯（オーサッカー / KSR)

大阪発の新銘柄、その名も "オー・サッカー" からの記念すべき第１弾は「Keep On Steppin'」やM.I.C.コミッティーの一員で、2000年の昇り龍From浪速、SALのソロ。これが初録音作とは思えない位、堂々としたデリヴァリーを聴かす彼のリリックは正にタイトル通りのもの。哲学的インビジブルな世界をわかり易い言葉としなやかなフロウで表現する "脳内宇宙の旅人"。官能美をコトバで追求した噂の裏面曲 "4つの扉" も真のSalatious Styleでイイ。新鋭21/7、DJ Maru、そしてリミックスで登場の＄HIM（SBS）のオケもイケてる。要注目!!