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Riddim Awards 2008 - Hip Hop -
 
 
■International Hip Hop Albums
 
■Domestic Hip Hop Albums
 
二木崇(以下二木):2008年を振り返って…って話だけど。
DJ GEORGE(以下GEORGE):じゃあ、自分が感じたことを話しますね。いわゆるクラブ・ヒットのBPMが上がってきた、というのは大きくて。120〜130台とか。
二木:ダンス系クロスオーヴァーとか言われてるラインの話やね? 歌ものも多いよね? でも、ビートがシンプルな分、メロディが凄く立ってる、というか。いわゆるソニックな、トランスっぽい効果を狙ったものがより一般的になったよね。
GEORGE:そうですね。今年のメイン・タイムはそんな感じが一般的でした。
C-ROD:トランス系R&Bやヒップホップがクる!って言い出す人も多くて。でも、個人的には、日本人の好みにはあんまり合わないんじゃないかな、と思ってました。
二木:いや、それも多分こだわりない人は好きだって! ただ、例えばソウル・ネタとか、そういう感じの“掘り下げ感”とは、なんとなく対極にある気がするから、なんじゃない?
C-ROD:そうかも知れないですね。あとは、みんなヤリ過ぎてるから飽きられるかなぁと。あと、ウィズ・カリファの「Say Yeah」を着うたで使うのやめてください(笑)。
二木:いつの話してんだよ!(苦笑)。でも、結構使ってたかな。
GEORGE:ある意味、危機感と言うか「ヒップホップDJも、普通にエレクトロ、4つ打ち系をかけなければならない」みたいな空気も蔓延してて。それは、それでいいとは思うんですけど……って受け取り方でしたね。まあ、そのうち引いていくのが見えてたし。
二木:なるほどね。いろんな葛藤があったと。で、1位の、ウィージー(Lil Wayne)はホント、聴けば聴くほど良く出来てるよね。このアルバム(『Tha Carter III』)は。主役の存在感があって。
C-ROD:ストリート・アルバム乱発してたのに、200万枚軽く突破したし。今年の象徴ですね。
GEORGE:カットされてる曲以外、例えば「Comfortable」とかも現場で重宝したし、リスニング・アルバムとしても最高でした。シリーズ全部好きだけど、今回が1番ですよね。
二木:C君は1位にNas(『Untitled』)? 凄くいいアルバムだったけど、その思い入れは?
C-ROD:いや、来日公演の余韻覚めやらぬ中、というのもあって(笑)。何せ、初だったので。
GEORGE:俺も、Nasは1位でもいいかなくらいですよ! それこそ、下手したら王道のヒップホップがかけ辛くなってる中、今の時代の王道を示してくれたし。何か、自分への応援歌みたいな感じで、ああヒップホップ好きでよかった!って思えたし。
C-ROD:まったく、同感です。あとは、今回T.I.(『Paper Trail』)よりは、ヤング・ジージー(『The Recession』)の方が好感持てましたね。
二木:確かにジージーはここにきて一皮ムケたよね。よりMCっぽくなった。Nasの絡みも自然に思えたし。
GEORGE:ハッスル・ハードなイメージだけじゃなくなった。T.I.も個人的には安心して聴けたというか。現場でも女子ウケが凄いし。カドが少し取れて、兄貴肌になったような。
二木:前半がウィージーだとすると、後半はT.I.が売れまくったよね。彼の代表作かも。
GEORGE:リック・ロスのアルバム(『Trilla』)も車でヘビロでした。今までで1番通して聴けたかも。メロディラインが良くできてる曲も多くて、女の子のファンも増えたんじゃないですか。それと「Greenlight Remix」とかフリースタイル・ワークスも現場的には盛り上がりました。
二木:あと、盛り上がったと言えば、フロー・ライダーじゃない? プライズもか。
C-ROD:「Low」は確かに日本でも異例のヒットでしたよね。『Mステ』に出たくらい。
GEORGE:一連のフロリダ物でもダントツの受け入れられ方でしたよね。あと、二木さんに似てる説もあるDJキャレドのアルバム(『We Global』)も全曲現場ではボムでした。ただ、二日酔いの時にはキツイ感じのシンセ・イントロが殆どで(笑)。
二木:つーか、似てるかー(苦笑)。シングルの切り方も憎い感じだったよね?
C-ROD:示し合わせてますよ、絶対(笑)。あと、そのキャレドともクサレ縁(?)のT-ペインとかのオートチューン・ヴォイスも、今年はより目立ちましたよね。ウィージーもそうだし。
GEORGE:カニエの新作(『808's & Heartbreak』)とか、もうラップじゃないけど、今のヒップホップという。
C-ROD:コモンの新作『Universal Mind Control』も音的には賛否両論だけど、ラップしてますからねー。ネプチューンズとの相性も決して悪くないけど、過去に両者がもっとハマってた例があるだけに。
GEORGE:タイトル曲とかカッコいいんですけどね。ただ、N.E.R.D.はシングル以外、そんなに盛り上がらなかったかも知れないですね。
二木:シングルと言えば、アルバムは来年に延びたけど、ジェイ・Z & T.I.の「Swagga Like Us」は、カニエ、ウィージーの参加もあったし、色んなヴァージョンが話題に。
GEORGE:個人的にはネタになってるM.I.Aの魅力を再確認できた(笑)。あと、「Jockin'Jay-Z」も人気ありましたよね。あ、あとGユニットの「Rider Pt.2」も好き。
C-ROD: 確かに50セントのオートチューン声は、衝撃的だったかも。ウケは別にして。
二木:その点、スヌープ(『Ego Trippin'』)のやり口は、ファンクとしての解釈が目立ってたよね。
GEORGE:最高じゃないですか? ここ何年か仕事でLAに行くことも少なくなかったんですけど、しっかりLAの'80sっぽい雰囲気が出てたし。テディ・ライリーの曲がツボでしたね。「SD Is Out」とかかけまくったし。ギャングスタっぽくないけど、しっかりストリート感はあって、しかもお洒落で、ダンサブルで。G-Funkの進化型の一つのような。
C-ROD:ルーツを見直しつつも、攻めてる、というか。ここ数作では1番よかったですね。
二木:西、ということではゲームの3rd(『Lax』)は、どう? やっぱり彼のラップは光ってたよね。
C-ROD:そうですね。サウンド・プロダクションも粒ぞろいじゃないですか。
GEORGE:引退撤回して欲しいですよ。マジで。
二木: Qティップ(『The Renaissance』)は、比較的盛り上がったんじゃない? かつてのATCQファン含めて。
C-ROD:そうですねー。間違いなく、後半の話題作だったし。前作みたいに賛否両論的な評価をまったく聞かないですから。待たされた甲斐あるというか。
GEORGE:アルバム、めちゃよかった! 当たり前ですけど、ヒップホップですよね、この人は。「Gettin Up」とか、クラブでもかけまくってますし。変に、今の流行に合わせなかったところも、逆に流石だと思います。そもそも、みんな一緒である必要なんてないし。
C-ROD:その意味ではルーツの新作(『Rising Down』)も凄く良かった、というか、1番好きかも。
GEORGE:前に来日した時、ウチ(Forcus)のスタジオでブラックソートがDJ Tankoさんのダブ録りに来て、その時聴かされてぶっ飛びましたね。実際良かったし。
二木:シングル・カットで揉めたとか、もったいないよね…。あと、今年フレッシュだったのは、シカゴのクール・キッズ(『The Bake Sale』)! これは、良く聴いたなあ。この新しい懐かしさは特別。
GEORGE:心躍る感じの打ち込み&ラップ、ですよね。もっとクラブで広まるべきだと思うんですが、次の正式な1stの際には爆発しそうですね。
C-ROD:ヒップスター・ラップは、ハスラー・ラップはどうも…って人たちから大歓迎されてますし。あと、プロデューサー=ジェイク・ワンのアルバム(『White Van Music』)はヤバくないですか? 何でコレが騒がれないのか、不思議でしょうがないんですけど…。
二木:十分話題になってると思うよ。この人こそ、メインストリームとアングラの架け橋的な存在だね。「ああ、ライムセイヤーズの!」と反応する人もいれば、Gユニット周りでクレジットを見かけるって人もいて。ボーナスのトラック集がまた有難かった。

※     ※     ※      

GEORGE:“日本”で見ると、やっぱり今年はAnarchyの年でしたね。同じ関西人として、この受け入れられ方、盛り上がり方は誇らしいというか。
C-ROD:異論なし、ですね。自伝本『痛みの作文』もあったし。アルバム(『Dream And Drama』)は隙が無かった。
二木:ソロ・ツアーも最終日に観たけど、ソロ・ラッパーの理想的なステージで。ホント、凄いと思う。そういえば、大阪公演の時、GEORGEはオープニングDJやったよな?
GEORGE:はい。個人的にも楽しめたし。ライヴもヤバかった。また笑顔も良くて。アルバムもヘッズに夢与えたというか。今、1番、ヘッズを引っ張ってる存在じゃないですか。
C-ROD: わかります。あと、般若(『ドクタートーキョー』)も推したいんですよ。ライヴ含めて、エモーショナルで。
二木:うん。アルバムとしても1番充実してた。シンプルに、力強くて。変な力みがない。それからBESのソロ名義初のアルバム(『Rebuild』)もよく聴いたなあ。聴こえのカッコよさも抜群で。
GEORGE:ビート選びが、もうブーキャンとかプリモの時代みたいで、そういうとこ含めて好きですね。やっぱり、ネタ使いのものってトラックにもメッセージ感じたりするじゃないですか。Nasとかそうだし。Anarchyの2ndとか、去年暮れのRyuzo君のアルバム(『Document』)とか。あ、個人的には、茂千代君の初アルバム(『Niwaka』)も同じ理由でアガりましたねー。
C-ROD:その点で言うと、 DJ Celoryの2nd(『Beautiful Tomorrow』)もそうですよね。ビートメイカーとしての凄さを見せつつ、シンガー物含めて、もっとプロデューサー・アルバムになってたし。
二木:同感。 B.D.the Brobusのソロ(『The Genesis』)も良かった。彼は出たばかりのTetrad The Gang Of Fourのアルバム(『Nipps presents Tetrad The Gang Of Four』)もあるし、Microphone Pagerの新曲へのフィーチュアとか、注目度高い。
C-ROD:あと、DJ Tomoのアルバム(『045 Renaissance』)にも参加してましたよね。あのアルバムもウェッサイ色ゼロなのに、凄く横浜っぽくて、総じてクオリティ高かった。DJ PMXのリーダー作(『The Original』)は、その逆ベクトルで、しかもキャリアの重さが感じられたし、よく聴きましたね。
GEORGE:Anarchyの例にしてもそうですけど、いい加減、東京中心じゃなく、他の地方にもスポットが当たってるという状況は喜ぶべきだし、もっと盛り上げないと、と思います。
二木:そういや、GEORGEはSeedaの西日本サイドのライヴDJもやってるよね。そのSeedaの『Heaven』も忘れられない1枚。
GEORGE:ライヴ観てても変化していってますよね。前向きな方向に。スキル的にも最高峰だと思うし。Norikiyoのアルバム(『Outlet Blues』)もヤス君(Bach Logic)の全曲プロデュースで、Seedaの『花と雨』くらいパンチありましたよね。ライヴも熱くて良かった。
C-ROD:夏の話題盤は、般若とNorikiyoだったかも。あと、スキルといえば、その凄さを再確認したのがTwigy(『Baby's Choice』)。ここまで変化し続ける人も珍しい。これまでともタイプの違う暖かい作風だけど、どこまでもヒップホップで。Pagerのアルバムもかなり楽しみですね。
二木:あと、そのTwigyのソロにもフィーチュアされてた鎮座DopenessのいるKochitora Haguretic Emcee'sのアルバム(『Haglife』)もフレッシュだったなぁ。
C-ROD:そうですね。あとロマンクルーとか、Lion's Rock、B.I.G Joe(『Come Clean』)も評判良かった。
二木:B.I.G.Joeは、久々にヒップホップ聴いた!という人も惹きつけるものがあったよね。ラップの凄みもそうだけど、トラックメイカー陣もヤバ過ぎた!
GEORGE:身内になるけどWolfpack(『Gold Experience』)。あと、Hiddady(『火種』)! UMB(Ultimate MC Battle)でも決めて欲しい。
二木:あと、GEORGEのやってる「日本語ラップ・ダブ」ももっと普及すればいいのに、と思う。ハマリのいいダブはほんと上がるよな。オケ選びもセンス問われるけど。
GEORGE:レゲエみたいにサウンド・アンセム的なものはあまりないんですけど、現場での反応は上々やし、US物とのブリッジに凄く効果あるので、続けたいですね。日本語ラップがもっとクラブでかかるように、というのが個人的な来年の目標でもあって。
二木&C-ROD: おお〜、頼もしい!!
 
 
***SELECTORS***
●二木崇/音楽ライター、A&R。本誌レコテ担当レヴュワー。D-ST.ENT主宰。
●DJ GEORGE/週4本のレギュラーの他、各地を飛び回る関西を代表するパーティ・ロッカー。SeedaのライヴDJも務める。Zeebra武道館公演のアウトロ・ミックスも担当。日本語ラップ・ダブも数多く所有。Focus興行所属。
●C-ROD/某レコード・ショップ・バイヤー。自称音楽馬鹿。今年はD-RODに進化したらしいが、満場一致で却下される。


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