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308    ARTISTS    THE DROPS

THE DROPS
 
Text by Hiroshi Egaitsu / Photo by Azusa "2GO" Fujinaga
 

あのThe Dropsが!と書いて知っている人は偉い! 女性をメインにしたスカ・バンド、そのキャリアの長さと断続性は日本一。それがデビューから長い年月を経て遂にアルバムを! 黒一点のミヨリーノ氏の変わらなさぶりにびっくりの身内っぽい話ですみません!
 
今でも家の多くはないレコード・コレクションの中にThe Dropsがリリースしたシングルを見つけることが出来る。一つには、(それについての本も出版された)下北沢にあったクラブ、The Slitsの店長だった山下氏が設立したオビ・ワン・レコードというレーベルからそのシングルが当時リリースされた、ということもあるし、メンバーの何人かとは面識があった、ということもある。そして、いわゆる逆差別を承知で書くなら、僕は当時から意識/無意識的に女性たちの問題について関心があった、ということだろう、とも思う。短く言えば、女性がメインのバンドに興味を持っていた、と。なぜ? それは僕には答えられない。今でこそ女性DJについての本が出版され、そこにエリ・ローズからDJカオリ(この間はお久しぶりでした! 以上私信!)までが掲載されているが、他の日本社会の多数と同じく、クラブ・シーンもまた男性優位社会であった、のだろう。そして、新しく面白い音楽は常に少数派から生まれてきていた。
 
それから長い長い年月が流れ、The Dropsがアルバムをようやくリリースして、僕は無理矢理お願いしてドラムのミヨリーノ氏(彼は男性)と電話越しで話している。
 
「あの、昔ね、下北沢でね、荏開津君がね、クラブが終わった後に飲んでいる時にね、言ったことを2つ覚えている。1つはね、ジャマイカの音楽はドラムとベースが重要だってこと(※註:すみません、何か分からないけど、謝ります)、もう1つはね、スカは未完成の音楽だってこと」
 
特に後者については、ここで説明する必要があるだろう。未完成というのが、その野方図さと天真爛漫さに魅力が潜んでおり、特にアカデミアからの音楽に無縁だった僕は、スカが洗練されていけばいい、という種類の音楽ではない、という仮説を持っていた、ということ。自分が子供で酔っぱらっていた時の発言をインタヴューの時にいきなり話されるのも冷や汗だが、ミヨリーノ氏によると、そうした未完成の音楽、つまり一定の方向に収束されない性質を持っていない音楽だからこそ、彼の人生と、そして長く彼と一緒にプレイしてきたメンバーたちも、彼らの人生と音楽をある程度まで不可分に出来た、というである。
 
「ジャズとかだと、時折『演奏者が一番楽しそうで、聞き手はちっとも楽しくない』って言う人もいる。スカはそうじゃない。やってる人も、聞き手も楽しい。それに自分がドラマーだからスカタライツからスライ&ロビーまでドラムが主役の音楽は楽しいし、あとここまでやってくると、自分の好きな音楽のベスト300曲の290位台には入るような曲を死ぬまでには作れないかな?と。で、メンバーも人生経験のある人も僕の他にもいるんで、力強い。これからもやり続けるし、来年の春にはオリジナルもバンバン入れたアルバム出しますから」
 
こういう人たちとスカ、もしくはそのまた逆。ジャマイカの音楽の持つマジック。
 

"Soda Fountain"
The Drops
[Ska In The World / SIWI-100]

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