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t-ACE
My turn already
 
Interview by terapentotsu / Edited by Riddim / Photo by jimmy-bulk
 

ここ最近、日本のヒップホップも新時代に突入したということをリアルに感じさせてくれるラッパーが次々に出現しているが、ここで紹介するt-Aceもまさにその一人だ。彼を注目している人は現時点ではまだ少ないだろうが、本稿にあたってD.Lがこんな言葉を寄せてくれた。「水戸の次世代、t-Aceは間違いない価値観を持っている。時代が歩み寄って来るのも、時間の問題だ」
 
●今、いくつですか?
t-Ace:27歳です。1981年生まれですね。
 
●DJからキャリアをスタートしたそうだけど、それは何年くらい?
t-Ace:14歳の時です。1995年位ですね。
●やっぱり。その頃の匂いがこのアルバム(『孤高の華 01』『孤高の華 02』)からも凄く出てると思うし。最初からアルバムを2枚に分けてリリースしようって思ってたの?
t-Ace:そうですね。
 
●言いたいことが凄く明確に分るし、それでいて絵が浮かぶよね。この2枚を聴いたらバックグラウンド(家庭環境や周りの友達との関係)とか、フッドでの立ち位置までよく見える作品だなって思ったんだけど。
t-Ace:もうずっと前から楽曲は出来上がっていて。録り溜めていた曲もあったし。2枚でひとつのファースト・アルバムなので余り間隔を置かないでリリースしました。
 
●そういうコンセプトは、レーベル運営者の立場として考えるの? それともラッパーとして考えるの?
t-Ace:完全にラッパーとしてですね。自分ではレーベルをやっているとういう感覚なんて全然ないんです。むしろどこかのレーベルに入りたいくらいです。
 
●まず自分のラップがあって、その他の部分(プロデュース、トラック・メイク、エンジニア、レーベル運営等)は全部自分のラップのサブ的な存在ということ?
t-Ace:そうですね、自分のラップを聴かせるために細々したことも全て自分でやってきたということですね。ただ始めは周りに(音楽的な)環境が無かったから、ひとつずつ自分で作っていく事しか考えてなくて。まずどうやったらCDを出せるかすら分らなかったんです。その前に録る場所さえもなかった。暫くしてPro-Toolsがある簡単なスタジオを持っている人を見つけて、そこに通うようになった。その人にPro-Toolsの使い方やその他の機材の使い方を何年かかけて教えてもらって…。その内、徐々に自分でも機材を揃えていって自然とスタジオになって。
 
●自然な流れだとしても凄いね。
t-Ace:録り終えたら今度はCDをどうやって出すんだ?って。それも全然分らないから、適当にインディーズの会社に電話しまくって訊きまくって(笑)。その内にやり方を覚えて。
 
●生活の中で何をしている時が一番楽しいですか?
t-Ace:書く曲が見つかった時ですよね。テーマが見つかって、制作している時が何よりも楽しいです。
 
●最初からモチベーションがラップだからなんだろうね。生きていること自体を言葉にする正にリリシストなんだね。
t-Ace:哀愁の曲っていうか、悲しいメッセージっていうか、そういうのが好きなんですよね。自分で歌うのも聞くのも。それってやっぱり、生きてれば凹む時があって、その時にこの作品を聴いた誰かが感動してくれたりとか、教訓にしてくれたりとか…。俺だって凹んだ時に好きな曲を聴いて今まで助かってきたし、教えられたことも多いから。ただ遅いんですよね、ラップを始めたのは。21歳の時だから。
 
●今から10年前、17歳の時は何を聴いていたの?
t-Ace:17の時はDJをしていて、ニュー・スクールの辺りを掘りまくって、買いまくってて。RedmanとかMethod ManとかD.I.T.C.関連とか、A Tribe Called Questとか。80年代後半から92、3年位までのヒップホップですね。
 
●いわゆるサンプリングのヒップホップだね。このアルバムもサンプリングが多いけど、結構ソウルが好きみたいだね。
t-Ace:そうですね。70年代前期のソウルとかそこら辺の時代のものジャンル問わずにほぼ好きです。
 
●最近で一番好きなラッパーと言えば?
t-Ace:最近の人だとあまりいなくて、ずっとJay-Z、Nas、Biggieが好きですね。
 
●日本人のラッパーだと?
t-Ace:中学生の時はBuddha Brand、Microphone Pager。その後、この10年位で本当にちょっと日本語ラップが変わったなって言うか、ネクスト・スタイルに行ったなって思うんですよ。今だと般若とかOzrosaurusの作品なんかを聴くとそう思います。
 
●でもt-Aceのラップ・スタイルはD.LとかMuroの方の匂いを感じるんだけどね。
t-Ace:やっぱり通ってきた道というか。その2人はアイドルみたいな存在ですよ。あと、ラッパーではないけど、長渕剛さんとか河島英五さんとか歌に意味がある人達にはかなり影響を受けています。
 
●では、地元の話を聞かせて下さい。生まれも育ちも水戸?
t-Ace:生まれは沖縄だけど、歌の中にある通り、親戚中を廻されていた時期があって、それで色々と…。東京にもいましたけど、小学校の高学年からずっと水戸ですね。
 
●水戸と言えば90年代半ば前からLunch Time Speaxが頑張ってたってのもあると思うけども、何かがある場所だよね。水戸の人間性って言うと?
t-Ace:芯のある人が多いのか、良くも悪くも流行とかに余りなびかなくてブレない。逆に言えば、見てるところが狭過ぎるとは思います。ヒップホップに関してだけ言えば、仲良しクラブみたいな奴らが多い。どこもそうなのかな? それじゃとてもラッパーとは言えないんじゃないかな。
 
●そういう地域性が良い意味でリリックにも反映されるだろうし、ラップにも出ると思うんだよね。Lunch Time Speaxとはどういう付合い?
t-Ace:俺は全然違う所でやっていたんだけど、その頃はDJをやってたからミックス・テープを作ってはDJ Denkaの所に持ってって。それをずっと繰り返してたんです。
 
●そこからSlash Spit Squadronに繋がっていくんだね。ところでインディーに拘っているけど、メジャー志向はあるの?
t-Ace:ありますね。今は全て一人でやってて、それはそれでいいんだけど、流通される枚数や1人で出来る事に限界を感じてて。今以上に作品を流通させるって言ったら、もっと大きい会社にやってもらうしか手段は無いだろうから。それは金って意味ではなくてもっと俺のラップを聴いてもらいたいから。どの曲もテーマやリリックが重いからこそ、なるべく多くの人に聴かせたいんですよ。
 
●今、考えているプランは?
t-Ace:11月から1年間、1ヶ月に1曲作って配信で流していこうと考えてます。その季節のこととか、その月に実際にあったことを作品として残せるから。
 
●来年早々に決まってるライヴってソロ・ライヴなんだよね?
t-Ace:はい。1月10日(土)にクラブではなくて茨城県民文化センターというホールでやります。DJをバックにして演るのと、バンドで演るのとの2部構成で。クラブでやるのとは全然違う見せ方もできるしまた違ったお客さんも来てくれますし。
 
●10年後はどうなってると思いますか?
t-Ace:やっぱり変わらずラップをやってると思いますね。その頃には自分もシーンも何周りも大きいものになっててほしい。希望ですけどね。


"孤高の華 01"
t-Ace
[Office Zero / DDCZ-1537]
 

"孤高の華 02"
t-Ace
[Office Zero / DDCZ-1540]

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