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Review by TAKASHI FUTATSUGI
 
 
ALBUM
 
1. Mr.Itagaki a.k.a. Ita-cho / Sound Of New York -The Return Of Old School Hiphop (P&P / Victor)
これは凄いブツの登場だ! 近年ではケニー・ドープのセレクト盤もあった宝の山“P&Pレコーズ”と、その兄弟銘柄“ショウステッパーズ”“サウンド・オブ・ニューヨーク”に残されたオールド・スクール期のラップ・チューンを、“真の掘り師”であり、Nitro関係の諸作でも知られる“真のヒップホップ・プロデューサー”Mr.Itagaki a.k.a. Ita-cho(リーダー作『It's My Thing』も名作!)がミックスした仰天クラスのオフィシャル企画。その含蓄あるセレクションといい、無駄のないミックスといい、「光を当てるべき所に当てる」“Ita-cho仕事”らしいものだ。即買い、でしょう!
 
MIX CD 
 
2. LL Cool J / Exit 13 (Def Jam)

“Mr.デフ・ジャム”ことLLの13枚目。既報通り、これが同レーベルからの最後作となる模様。それだけに、なんとも華やかな内容となっている。当初“エグゼクティヴ・プロデューサー”を務めることになっていた50セントは1曲のみの参加となったが、他にもザ・デイのエランから、ドリーム、ワイクリフ、ファット・ジョー、シーク、ライアン・レズリー、グランド・マスター・キャズに、リッチー・サンボラ(?)といった幅広い面子が駆けつけ、いわゆるLL節から新し目のフロウのものまで、オケ的にも挑戦したものが目立つ。スーパースターながらもヒップホップの現状を嘆いた曲も。
 
3. The Game / Lax (Geffen)
“引退宣言”で話題を呼んだばかりの西海岸シーンきっての実力派の3rd。50セントと完全に縁切りした前作から約1年半で発表される本作には、心の師=Nas、リル・ウェインにコモン、レイクォン、アイス・キューブ、Ne-Yoらも参加。ウータンのライムの引用もあるシングル曲や、オールドスクール・リメイク(?)まで、ウェッサイ云々よりもかなりヒップホップ〜ラップ・マニア度の高い充実した作り、となっている。クール&ドレー、スコット・ストーチ、カニエ、ハイテック、JRロテム、DJトゥーンプらプロデューサー陣も磐石。空港のコードネームをあしらった題目も伊達じゃない感じだ。
 
4. Nelly / Brass Knuckles (Universal)
うたラップの王者、4年ぶりの通算5作目。先行カットのファーギーとの「Party People」に代表されるように、“今度のネリーはハイ・エナジー!”なのだが、その一方“恋人”アシャンティ、エイコンとの「Body On Me」のような、メロウな路線もしっかり用意されていて、ほぼ全編がクロスフェードされているからか、まるでラジオを聴いているような…バランスの取れた内容となっている。ゲスト参加曲が多いのも今作の特徴で、チャック・Dとの驚きのセッションでのポジティヴ・チューンや、相性のいいスヌープとネイト・ドッグ(体、大丈夫?)とのLA賛歌、アッシャーとのデュオも。
 
5. DJ Khaled / We Global〜鉄板伝説 (Victor)
どこからどう繋がっているのか、とにかく無尽蔵のコネクションを誇り、シャウト一発で稼ぎまくる“テラー・スクワッドのDJ”の彼が勝負を賭けた「俺ら最高」プロジェクトの第3弾。いつの間にか最大級のヒップホップ振興地となったフロリダ州マイアミをシキる彼らしく、ゲストもありえないくらいゴージャスだ(本人曰く、We The Best!! We Global!!)。自身の他、ランナーズや、クール&ドレー、デンジャらが手掛けたトラックも、派手なタイプが多く、そこにあのカン高い声の雄叫びや、マイクリレーが乗る、という基本的な構成は不変だが、今作はフックをシンガーが担当する曲が増え、本気ぶりが窺える。
 
6. The Cool Kids / The Bake Sale (XL / Beggars Japan)
シカゴからお洒落で楽しい“ヒップスター・ラップ”をデリヴァリーする彼らの1st。ヴィンテージ臭くないエレクトリックでヴィヴィッドな原色サウンド、そしてデュオ・スタイルで聴かせるユルいのにソリッドなレイドバック・フロウ…その言い知れないクールさに、M.I.A.やディジー・ラスカルでも知られるUKの“XL”が飛びついたというのも面白い話。“フレーズで踊る”習慣が身についてるダンサー達の間では既にマスト・アイテム化している1枚だけに、このボートラ2曲付の日本盤は嬉しい限り。ネプチューンズ、カニエ、ルーペ・ファンには
 
7. Ugly Duckling / Audacity (Handcuts)
メンバーのアンディ曰く「今作は新しいスタイルと古いスタイルがミックスされた内容。例えば“Falling Again”なんかは新しいスタイルで、歌やメロディをより重視してるんだ。自分の歌を加える事で、アグリー・ダックリング・フレイヴァーを残しつつも、全体的には今迄の作品よりもメロディックに。また、今迄は無かった様な個人的なテーマも」。突出力のあるホーンねたで構成されたファンキーなチューンが「らしい」西の異端児たちの5作目。ニュースクールっぽい軽やかさも健在!Halfbyのリミックスも。
 
8. L-Vokal / Free (Universal)
言いたい事をサクっと捻って言う“ラッパーらしいラッパー”のメジャー初アルバム。そのスタイルは音楽性とテーマ設定を拡げた分、自由度を増した。シングルで実現していたMicro、Kreva、そしてレジェンド=Nipps、注目のDag Forceらとの絡みも面白く、トラックもL作品に欠かせないDoc DeeやBach Logic、更にはDJ DeckstreamやSonpubも参加。臨機応変でありながら自分の色を持つフロウ、そしてリリックの切れ味もディス曲が少なくなった今の方がより鋭角的に。実に面白い男である。
 
9. Bes from Swanky Swipe / リビルド (P-Vine)
そのドクトクとしか言いようがない“つんのめりフロウ”に、抜群のリズム感、ストリート・ライフをジャーゴン混じりで描いた生々しくもユニークなリリックス、逆に韻を意識させないくらい自然に“踏んでいる”高度なライミング・スキル、ライヴ・ステージでの緊張感が走るほどの発声にあの動き。Scarsの1st、Swanky Swipeの1stに続く、このソロ名義での初アルバムは自身のキャリアの『再構築』作。Malik、Bach Logic、I-DeAらの“黒い”ビートに耳にこびり付き、心に引っかかってくる、主役のラップが強力な中毒性高い1枚。
 
10. タイプライター / O ゼロ (Speedex)
現在はプロデューサーとして売れっ子の、“音の向こう側”を見ている男ことタイプライター初のソロ・アルバム。過去に単独でも「大地に根ざせ」、「走ける男」等の作品を放っている彼は、そのバイタリティを絵に描いた様な本作で前向きなメッセージを展開しつつ、きっちりとフロアで冴える様なモノを完成させた。ゲストのキャスティング(Zeebra、Rino、DaboのコンビからHab I Scream、Simon、Bach Logic、Sticky & Jashwon等)も、フィジカルかつエモーショナルなビーツに上手くはまった会心作!
 
11. DJ Tomo / 045 Renaissance (Next)
港横浜の持つ様々な顔を照射した世界基準のハイクオリティ・サウンドと、ありそうでなかったラインナップ、それをこの初のリーダー作で実現させた主は、元OzrosaurusのDJ Tomo。XBSにBig-Z、B.D.、Bazoo、F.U.T.O.、Vlidge、Junear、宏実、Yoyo-C、Masta Simon、サックス奏者=伴田裕がそれぞれの楽曲に参加し、彼らしい“多彩でいて筋の通ったビーツ”に見事に応えている。045=全てがウェッサイではない、とばかりに、また別角度の“劇空間”を演出する彼の手腕にもっと光を!
   
12. B.I.G Joe / Come Clean (Ill Dance)
“ストリートからの視点”を崩さず、ガナることなくリリカルに本気の言葉を吐き出す男、マイク・ジャック・プロダクションの仕掛人の、豪州刑務所からの3枚目の便り(2枚目はエル・サディークとのコンビ作)。それは“行き場のない苛立ちと無数の孤独”を綴った「Come Clean」を始め、圧倒的なまでのラップで綴られた全16曲の大作に。DJぺロ、DJオリーヴ・オイル、DJミチタ、ダディ・ヴェダ、DJクワイエットストーム、イリシット・ツボイ、ブン、クライマーが用意したビートもイマジネイティヴなハードリスニング・アルバム。

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