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307    ARTISTS    BES    BIG BEAR    ICE-KOH   

MIC BLAST from WEST
 
Text by Hajime Oishi
 
西から聴こえてくる音はいつだってフレッシュ。日々現場で叩きのめされ、そして這い上がる…を繰り返しスキル・アップしてきたとびきりフレッシュな4人=Ice-Koh、Bes、強、Big Bearが作品をリリースしたので各作品にじっくりと耳を傾けてみよう。
 
10年前と比べると、今ではアーティストにとっても作品リリースのチャンスは格段に増えてきた。それは決して悪い事ではなく、才能あるアーティストにきっちり日の目があたる面もあるだろうし、プロデューサーやトラックメイカー、プレイヤーにその腕を奮う場が与えられる事は大きな意味・意義があると思う。ただし、当然の事ながら、最終的にはその盤の出来が勝負の分かれ目。ここ最近でも多くの若手アーティストがまとまった音源集を発表したが、その中から大阪を拠点にする4組の作品をチェックしていこう。
 


「和柄」
Ice Koh
[楽座Tune / RZ-001]


まず、このページで紹介するアーティストの中でも、一番長いキャリアを誇るのが彼では? Ice-Kohのニュー・ミニ・アルバム『和柄』だ。Sizzla「Thank You Mama」と同オケの「Respect Parents」を代表曲とする彼だが、今作を聴いているとハードコアなジョグリンが彼の本流である事がよく分かる。“無頼派”な雰囲気も匂わせるジャパニーズ・バッドマンぶりは、リリックに確かなオリジナリティを加味。日本人としてのプライドを歌った「日本党」にしても、これだけ言葉運びに遊びがあると面白く聴く事ができる。「Respect Parents」の別ヴァージョンである「Mama」もあるが、ハードコアなこれらの楽曲にこそ、このオリジナルDeeJayのポテンシャルは発揮されているように思う。今後も更にドギツいチューンも出してくれそうだし、引き続き注目していきたい。
 


「Come Inna De Dancehall」
BES
[Far Eastern Tribe / UMCF-1012]


既に確かな人気を誇るBesは、所属するカエル・スタジオのバックアップの下メジャー・デビュー・ミニ・アルバム『Come Inna De Dancehall』をリリース。ダンスホール賛歌のタイトル曲、The Boomの直球カヴァー「星のラブレター」と楽曲のセレクトは、全5曲とはいえ、かなり幅広い。そのポップセンスが光る楽曲もあれば(BAGDAD CAFE THE trench townを迎えた「Story」、Mison-Bとの同世代競演「Destiny」など)、一部の楽曲はメジャーフィールドを意識し過ぎた感もあるが……カエル・スタジオが陣頭指揮を取っただけに、最後にはダンスホールの匂いをきっちりと残している。現場叩き上げの部分をもっと聴きたい気もするが、メジャー第一弾という事で、名刺代わりの一発といったところだろうか。
 


「全ては唄の中で…」

[Positive Production / HMS-0064]


TV番組『流派-R』の「R-Battle」で優勝の座を笑連隊らと争った強も、初のミニ・アルバム『全ては唄の中で』をリリース。去年、今年と「Road To 横浜レゲエ祭」に出場し、地元大阪以外でもその名を知られるようになってきた若手DeeJayだ。スティーヴン・マクレガーやJuniorら制作のトラックはアクの強いものだが、それを力でねじ伏せる強の歌い口はかなりタフ。「Unstoppable」では、遠慮一切なしのVaderと互角に渡り合う。威勢のいいジョグリン、丁寧なミディアム、どちらも結構丁寧にリリックが作られている印象だ(但し、ポップな「五月山」は、ちょっと浮いている気もするのだが)。ダブ映えしそうな声質もいいし、リリックのテーマがより広がっていけばフル・アルバムも全然アリなんじゃないだろうか。
 


「Big Bear」
Big Bear
[Scorpion International / SIR-001]


2006年に大阪で立ち上げられ、既にかなりの注目を集めているScopion The Silent Killerのレーベル設立第一弾となるのが、同サウンドに所属するBig Bearの『Big Bear』。まず、現行ジャマイカ・シーンを横目で見ながら、オリジナリティとインパクトを兼ね合わせたトラックが素晴らしい。それもそのはずで、自身もScopionのメンバーであるDaddy Dragonが大方のトラックを制作。その好調ぶりを再確認させてくれる仕事ぶりだ。主役のBig Bearは、なかなかフロウが面白い。ただ、ちょっと言葉選びがイージー。「男だろ!!」ではBoxer Kidをフィーチャーしているが、ここではリリックの深みにはっきりと差が出ている。声質・フロウともに面白いだけに、ちょっと惜しい。なお、イントロではNG-Headが好演。こちらも流石のパフォーマンスを聴かせる。
 少し辛口の事も書いてしまったが、ここで紹介した4枚すべてに聴くべき“何か”が備わっている事、現場でのパフォーマンスでこそ彼らの本領が発揮されている事は、最後に強調しておきたい。

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