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JOHNNY MOORE
R.I.P.
 
Text by Noboru Yamana / Photo by Shizuo "EC" Ishii
 

映画『Ruffn' Tuff』でも貴重な話を聞かせてくれたThe Skatalitesのオリジナル・メンバーであり、名トランぺッター、Johnny "Dizzy" Mooreが8月16日、大腸癌のため亡くなった。享年70歳。彼が関わった音楽を浴びるほど聴いてきたであろう山名昇が特別寄稿。
 
 先月号の本誌、スカタライツの紹介記事でも触れられていたが、同グループのオリジナル・メンバーの一人、ジョニー・ディジー・ムーアが亡くなったそうだ。だが、それがどうしたんだ!
 いわゆる「洋楽」の世界、ジャズやブルースの雑誌は昔から訃報〜追悼特集だらけだったし、今やロックもソウルもジャマイカ音楽も全く同様。死者のバイオ、ディスコグラフィに、テキトーなおくやみの言葉を原稿用紙に埋めていけば、それだけで十分仕事量もあれば、立派に飯が食える。現行の「シーン」に力もないから、もとい、ポップ音楽の使命は20世紀で終わったから、過去を振り返るしか術がない。おまけに、俺たち、ローランド・アルフォンソやトミー・マクックに、既にさんざん哀悼の言葉を書いてきたじゃんか。「そうは言っても、あの曲のトランペットのソロ、いいじゃないっスカ?」「馬鹿言え、あれはババ・ブルックスだろ!」。
 
 リコ・ロドリゲスがジャマイカに帰り、カウント・オジーの後継者たち、つまりまだミスティック・リベレーション・オブ・ラスタファーライの残党と一緒だった頃、80年代の8年間、ジョニー・ムーアも同じ所にいた、とリコから聞いたことがある。それは91年に行なったインタビューだが(『BLUE BEAT BOP! 』)、2006年に『Ruffn' Tuff』を見た時には驚いたね! ええ〜っ、ジョニー・ムーアさん、そのまんまずーっと「山」での暮らしを続けてたんだ。何年間よ? スカタライツ在籍期間の何十倍よ?
 
 そういうことも関係したのかどうか、ムーアは83年のスカタライツ衝撃の再結成〜本国ジャマイカのサンスプラッシュ出演には加わったけれど、翌年のアイランド盤LPのレコーディングには現れなかったし、89年の初来日時のトランベッターはデビッド・マッデンだった。一度も日本に来てないの? いやいや、そんなことはないっす、僕は見てないが、Fuji Rockにはやって来ている。もし少しでもプレイに接することが出来ていれば、詳細の記憶がボケてきても、「あぁ、あの時のレスター・スターリン、可愛い伯父さんだったよ」みたいに思い出せるのにね。
 
 成田に戻る前に、バンコクで深夜トランジットしてた時のこと。ロビーの大きなTVが、何故かローリング・ストーンズではなくキースの特集番組をずっと放送している。グッと胸に込み上げるものがありましたね、ついにその日が来たか! しかし、日本着〜速攻東スポを買ったけど、リチャーズ氏は死んでなかった! おどかすなバンコクTV局。確か海岸で椰子の木から落ちて重体、なんて話よりずっと前のことだけど、その日は遠くない将来、確実にやってくる。ファンであればあるほど覚悟せよ。
 
 「9*11」の後、死生観が変わったのか、ほとんど何も知らない人なのに、ジョニー・ムーアの死に際して、きっと幸せだったんじゃないかな、と思ったりする。上手く言えてないが。

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