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THE MAZE

ZION TRAIN
LIFE THAT I CHOOSE
　
Interview by Ras Seki Eastern Judah & Ras Ume Liberation Ashar
Photo by Zettai-mu/Zetc
　

ジャマイカで生まれたレゲエが移民と共にUKに渡り様々なジャンルに枝分かれしてきた中で、UK Dubという新たなジャンルを先導してきたZion Train。今回22ヶ所を回るワールド・ツアー最後の場所となるここ日本で中心人物のNeil Perchに話を聞いた。
　
●連日の公演で疲れていない？
Neil Perch（以下N）：明日は少し時間があるから日本食を食べてゆっくり休みたいね。
　
●日本食は好きなの？
N：ああ。ベジタリアンだから丁度いいよ。
　
●ラスタを信仰しているから？
N：俺はラスタファリアンじゃないよ。
　
●少しパーソナルな事を聞いてもいいかな？　ジャマイカ移民の家系なの？
N：いや、カリブのバルバドスという所さ。俺自身はオックスフォードで生まれリバプールで育った。完全なブリティッシュ・コミュニティの中さ。でも俺はネイティヴな白人じゃないから、ポリスから必要以上に難癖をつけられたりして人種差別を受けたりしたよ。若い頃、サウス・ロンドンに出て来てJah ShakaやAswadに強く影響を受けたんだ。黒人達のコミュニティは自衛の手段を持っていてポジティヴなヴァイブに満ちていたからね。
　
●そこであなたの音楽性が育まれたの？
N：初めは色々なジャンルの音をミックスして作っていた。レゲエにとらわれず色々な要素や美しいメロディを中心としてね。それこそパンク・ロック、テクノ、アジアの音楽や様々な楽器を取り入れたりしてさ。
　
●なるほど。それで少しレゲエとは違うニュアンスも含まれているんだね。
N：そう。俺はラスタじゃないし、Jahも信仰してないから……もっとユニヴァーサルでありたいんだ。Abassi Hi Powerというサウンド・システムもやってるんだけど、そこでプレイする為にユニヴァーサル・エッグとは別にディープ・ルートというレーベルを運営して、レゲエ寄りでメッセージ性の強いヴォーカル物を多くリリースしている。社会的なメッセージも重要だと考えてるんだ。
　
●95年頃、ロンドンでは既にあなたのライヴは毎回盛況だったけど、その頃からワールド・ツアーに出る事を目指していたのかな？
N：いや、全くそうではないんだよ。当時はShakaが俺たちのレコードを掛けてくれる事を願っていた。そしたらある土曜日、Shakaがダンスで掛けてくれたんだ。更に驚いた事に翌日Joey-Jayのラジオ番組でも掛かった。その時、当初の夢を叶える事が出来たんだ。今でも夢を持ち続ける事に意味があると思い音楽を続けている。各地を回って闇に明かりを照らすような感じで、ね。
　
●ジャマイカのレゲエ・アカデミー・アワードでベスト・ダブ・アルバム賞（『Live As One』）を受賞した事についてはどう感じている？
N：あれは確かイタリアで聞いたんだ。アルバムがエントリーしていた事も知らなかったから驚いたよ。70年代にKing TubbyやLee Perryが始めたDubがUKに渡り、育ったものがジャマイカに帰り認められた事はとても嬉しいね。
　
●最近の活動について聞かせてよ。
N：今はドイツに住んでいるんだ。ドイツも過去には色々な問題があったけど、第３世代になり平等や正義を学んだんだ。だってイギリスのように税金を戦争に使ったりはしないからね。それにドイツの方がヨーロッパでの活動に便利なんだ。沢山のビッグ・フェスに参加できるからね。最近ニュー・アルバム『Lead With The Bass III』をユニヴァーサル・エッグからリリースした。コンピレーション物でUKスタイルのサウンド・システムというのがコンセプトさ。日本やイタリアのアーティストも参加しているよ。
　
ユニヴァーサル・エッグとディープ・ルートという二つのレーベル、そしてZion TrainというユニットとAbassi Hi Powerというサウンド・システム、と多彩な才能を持つNeil Perchだが、自分のオリジナリティな音楽と社会に対するメッセージ性の強い音楽をレーベルで分けるなど自分の可能性を冷静にかつ多角に表現出来るところが彼の魅力だろう。特にZion Trainのライヴではジャンルの垣根を越え人々が一体となる事が彼らしいユニヴァーサルな表現なのだと思う。
　

"Live As One"
Zion Train
[Zettai-Mu / Universal Egg / ZTM-4]



"Lead With Bass III"
V.A.
[Universal Egg / WWCD 046]