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Review by TAKASHI FUTATSUGI
 
 
ALBUM
 
1. Trina / Still Da Baddes (Slip N Slide)
マイアミを代表するレーベル“スリップンスライド”のドル箱“ビヤッチ・スター”トリーナ嬢の通算4作目のアルバム。リル・ウェインの元カノでもある彼女は、ヴァーサタイルなスタイルで売る「魅せ方が分かってる」アーティストだけに、今回も直球マイアミのブーティ・トラックから、流行のトランス系や、歌モノまで、J・ロック、ジム・ジョンシン、ゴリラ・テックらの用意したあらゆるタイプのビートに機敏に対応。ピットブル、ミッシー、キーシャ・コール、リック・ロスらとのコンビネーションも言うまでもなくバッチリだ。
 

2. Kidz In The Hall / In The Crowd (Duck Down)
ジェイ・Zのアルバムでも尽力したプロデューサー=ロブ・Oのユニットのセカンド・アルバム。師匠のジャスト・ブレイズのセットアップでリリースした前作は新生“ロウカス”からのリリースだったが、今回は“ダック・ダウン”より。サンプリングを基調とするソウルフルなサウンド・プロダクションにはさらに磨きがかかり、バックショット、タリブ・クウェリ、マスター・エース、リトル・ブラザー、キャンプ・ロー、エステルら豪華ゲスト陣の存在も耳を引く、仕掛けの多い“アルバムらしいアルバム”に仕上がった。
 
3. Subtle / Exiting Arm (Hostess)
ゼムセルヴス、プレサージ、13&ゴッドでもタッグを組んでいたアンチコンのジェル&ドーズ・ワンが中心となる異能ヒップホップ・バンド=サトルの3作目。さらに混迷を深める特殊レーベル“レックス”の重要グループとして、独自の展開を続けている彼等はビートやライムに凝る、というよりもフリー・ジャズ的な感覚でセッションする“決まったフォーマットを持たないバンド”であり、その小難しくない感覚はまさしくファンキー!だったりするのだが、今作は中でも出色のデキなのではないだろうか?
 
4. Presto / State Of The Art (Miclife)
サダト・X、O.C.、ラージ・プロフェッサー、C.L.スムース、ファットリップ、といった“まさにゴールデン・エラ”のレジェンドたちの顔ぶれにビビッてしまうヒトもさぞ多いのでは?しかしながら、コレは『Inflight Instrumentals』などで知られるプロデューサーで、“コンクリート・グルーヴス”の主宰者=プレストの新作、なのである。ラップや歌を立てるために組まれた珠玉のループの効力は、それらのパフォーマーのイキイキした姿からも伝わってくる通り。ファットかつメロウ。そんな、今“得がたいタイプ”の音で一杯。
 
5. Killer Bong / Togashi Dub - Murder Scene (Black Smoker / Alpha Enterprise)
事故により下半身の自由を奪われ、腕だけで演奏可能なドラム・セットを考案したというフリー・ジャズ・ドラマー=故・富樫雅彦に捧げられたKiller Bongの最新作。富樫の遺したパーカッション・ソロ・オンリーの作品『SCENE』をサンプラーに取り込み、“現代的なセッション”を施したK・Bの奇才・鬼才ぶりは、これまでのインスト作品集とはまた一味違うモノだ。手元にある資料には「皮肉にも、フリー・スタイルに生きる彼の精神の中にこそ、ジャズが息づき、ヒップホップが脈動している」とあるが、まさにそんな作品。
 
6. Mr.OZ / The Wizard Of... (Bigg Mac Pictures)
ラッパー、デザイナー、PV監督など様々な顔を持つ“BIGG MAC”代表Mr.OZの3rdソロ・アルバム。おなじみの『オズの魔法使い』のストーリーにヒントを得て、その「原作を通して今の時代も風刺する」という、彼のヒップホップ観がまたこれまでの諸作とは違った角度から追求された、ヒップホップ・オペラ的なコンセプトの面白さ。それは、ゆかりのゲストを要所要所でキャスティングし、全体像を構築するプロデューサーとしての力量と、ストーリーテラーとしての力量が拮抗しているからこそ生まれるものだ。傑作デス。
 
7. DJ PMX / The Original (Victor)
誰が呼んだか「日本のドクター・ドレー」ことPMX。自身のグループ=DS455以外でも、様々なプロジェクトに関わり、その魔法の指とアイデアおよび経験値で“成功”に導いてきた、このドメスティック・ウェッサイのキングが、その全国規模に成長した右肩上がりのシーンを自らの手腕で纏め上げた、というのがこのキャリア初のリーダー作の意義である。その、時にゲトーで、時にラグジュアリーなサウンドもアップデートされ「思わずヴォリュームを上げたくなる」気持ちいい曲もギッチリ。この立ち位置はまさにドレー=神様級。 
 
8. B.D. the Brobus / The Genesis (Black Talon)
東京シーンの王道を継承する男たち=The Brobusの筆頭MCであるB.D.のファースト・ソロが完成! 現在は、並行する形でNippsらとの新ユニットTetradでも活動するアクティヴなことこの上ない彼は、Brobusサウンドの要=Hassy The Wanted、そして同じく尊敬してやまない先輩のMuro、といったB.D.のラップの“旨み”を熟知したプロデューサーとともにRECを敢行。“100%B.D.節”となるリリカルでサブリミナルな(直球も少なくないが)、ラップらしいラップをひたすら追求した。アツいラップに飢えてる人は必聴。
 
9. Buzzer Beats / Just The Beginning (Peninsula)
Dabo、Zeebra、Ryuzo、Seeda、Jamosaほか、数々のラッパー、シンガーにハイ・クオリティなトラックを提供している3人組トラックマスターズのリーダー・アルバムが遂に登場。今回は例のミックス企画とは一線を画し、録り下ろし主体の、しかも1対1(1対3?)のレコーディング集で、“彼等ならでは”の鳴りのいいビーツが目一杯味わえるだけでなく、プロデューサーとして“そのアーティストといかにして対峙したか”という記録をしっかり追いかけられるモノとなっている印象。そのゲストについては、店頭で。
 
10. Doberman Inc / Zero (KSR)
関西を拠点にオーバーグラウンドな活躍を見せてきた彼等が、4MC体制となってからは“初”となるオリジナル・アルバム(5th)。FocusのNao the Laiza、Nite-MenのRyu-Ja以外は、プロデューサー陣を一新(Jam Kane、Goodfella、Jigg他)して挑んだ“ニュー・ワールド”は、彼等の武器であるストーリーテリングと音としても機能するフロウが交錯する、意欲的なアプローチが光るもの、だ。Jazzy Blaze、Simon、Dailといった同世代のMCとの絡み曲も絶妙な会心作。「武器なら揃った。打ち抜く数字のゼロみたいにな!」

SINGLE
 
11. Nora / Nora☆Night (KSR)
川崎のキングス・オブ・ベイファンク、ことNoraの最新作。4th(Force)『Doggy's Time』から約8ヶ月という短いインターバルで発表される今作は、“サマー・タイム”を意識した、5人のメンバーが思い思いに“パーティーサウンド”に特化したテーマ&サウンドを打ち出したコンセプチュアルなもの。王道ウェッサイから、サウス、セルメンまで、魔法のNoraスパイスは全てにいきわたっており、彼等が提唱するベイ・ファンクの根源的な“FUN”な部分が全開に。 女性シンガー=Maruの絡みなど、新しい要素も満載。
   
12. Taro Soul / Big Soul (Ki/oon)
かねてからそのヒップホップIQの高いスキルフルなラップと、ファンキーなテイストの歌の二刀流で、引く手数多だった唯一無二の表現者Taro Soulが満を辞してメジャー・デビュー。Ali-Kick、Buzzer Beats、DJ Hazime、DJ Watarai、D.O.I.という磐石の布陣で、今まで以上にソウルフルに歌ったり、ノーティー・バイ・ネイチャー「Hip Hop Hooray」の日本語詞カヴァーに挑んだり、ライム巧者集団=韻踏合組合とやりあったり、と「知らないヒトも楽しめる」娯楽的要素もたっぷり。 でっかくなって欲しい逸材だ。

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