HOME > 303 > LEE PERRY meets ADRIAN SHERWOOD

topics

LEE PERRY meets ADRIAN SHERWOOD AGAIN
 
Text by Takanori Ishikawa / Photo by Brendon Harding
 

リー・ペリーとエイドリアン・シャーウッド……ライヴでは何度も共演し、信頼関係を築いて来た奇才たちが、アルバムとしては1990年にリリースされた『From The Secret Laboratory』以来の共演盤をリリース。しかもそのタイトルが『The Mighty Upsetter』と言うのだから期待せざるをえない。二人の話を交え解説しよう。
 
「リー・ペリーの新作がリリースされる」と聞いて心をときめかせる人達は今、一体どれくらいいるのだろうか?(熱心なペリー・マニアは除いて) 正直、80年代以降の彼の作品に積極的な興味を持てない人々の方が多いのではないだろうか?
 
しかし、この新作『Mighty Upsetter』は良いよ。エイドリアン・シャーウッドと実質共同プロデュースした感が強い聞き応え充分の内容。個人的には彼らが過去にタッグを組んだ『Time Boom』、『From The Secret Laboratory』の100倍は良い。シャーウッドがコンテンポラリーなジャマイカン・ダンスホールの魅力に改めて気付いてから、彼の仕事は一皮も二皮もむけたんじゃないかな。彼の良い部分だけが音に表れてくる様になったね、以前に比べると。と言うことで、従来のシャーウッド・ファンには少し物足りない要素があるかも。でも、ペリー・ファンにとっては、逆にそれは大歓迎。当たり前だけど、これはペリーのアルバムなのだから。
 
さて、本作の最大の特徴は、70年代のペリーの素晴らしい音楽を現代版に蘇らせていること。以下はシャーウッドへのインタヴューからの抜粋。

Q:今作では「Black Board Jungle Dub」やSilvertonesの「Rejoice Jah Jah Children」、Junior Bylesの 「Fever」、Leroy Sibblesの「Garden Of Life」など70年代にリー・ペリーが作った曲のリディムが使われています。これはどちらのアイディアですか?
Adrian Sherwood:私が素晴らしいと思うもの、好きなものを使ったんだ。どれも今の時代に合う、2008年の音になっているよ。素晴らしいホーンのアレンジも加えて、歌詞もよく練って、もっと分かり易くしている。
 
Q:「Rockhead」にはDevon Ironsの「When Jah Come」のリディムの上にUpsettersの「Bird In Hand」がコラージュされています。これは正に『Super Ape』の手法を想起させますが、これは誰のアイディアなのでしょう? ミックスにペリーも口を出している(あるいは自分でやっている)のでしょうか?
Adrian Sherwood:私のアイディアだけど、そんなのは関係ないよ。「Rockhead」はスイスにあるリーのスタジオで、リーと一緒に作ったんだ。ミックスをしたのはエンジニアのブランドン・ハーディング。それを最終的に私がまとめたのさ。トラックもリーと一緒に作って、2つのリディムをぶつけてコラージュしたんだ。出来にはスゴく満足しているよ。
 
確かに「Rockhead」はペリーにしか作れない最高のチューン。「待ってました!」の声が上がるだろう千両役者ぶり。オリジネーターは強いね。同じ素材を使ったとしても誰もこんなクリエーションを真似出来ない。更には、ペリーのオリジナルでない70年代のサウンドも再生していて、これがまたヘヴィ級のルーツ・チューンに仕上がっている。「Political Confusion」がそれだ。
 
Adrian Sherwood:あぁ、この曲は2つの曲を元にしているんだ。一つはビッグ・ユースの「Political Confusion」。もう一つはジュエルズの曲、「Love And Livity」。「Love And Livity」はこのアルバムを作る前にレコードにしようと思ってカットしてあったんだ。元の曲はものスゴくヘヴィでシリアス、そして政治的だった。リーがこの曲をスゴく気に入ってたから、「Political Confusion」に使ったんだ。
 
で、肝心のペリー本人がお薦めなのも70年代の楽曲を今日的にアップデートした曲。ここからはリー・ペリーの発言を引用しよう。
 
Lee Perry:(このアルバムで)一番大事だと思っている曲は「One Life, One Dead」(その後「Lees Garden」に改題)。輪廻転生を信じているからな。人は生き、死に、また生まれる。
 
この「Lees Garden」で使用された曲は、あのブラック・アークから(事実上)最後に発表された名曲リロイ・シブルズ「Garden Of Life」…鳥肌が立ちますね。勿論、過去のマテリアルをアップデートすることに終止した訳ではなく、その他にもペリーらしいアプローチの魅力的な楽曲が収録されている。例えばオープニングを飾るジルヴァーザーフの「OM Shanti」のカヴァー・ヴァージョン。
 
Lee Perry:エクササイズは生きる上でとても大事なことだから、それを歌にした。「OM Shanti」は「Bobo Shanti」のBをとったんだ。元々、エイドリアンがプロデュースしたアルバムに入ってる曲だから使った。
 
この曲はクロスロードを前にして佇むペリーの姿が見える様な異色のチューン。どうですか? 聞きたくなりましたか? あとは実際に自分の耳で聞くだけです。そう、「オープン・ヤード・ポリシー」。何時でもペリーの門は誰に対しても開かれているのだから。  [協力/鈴木孝弥、森本幸代]
 

"The Mighty Upsetter"
Lee "Scratch" Perry
[Beat / BRC-200]



"From My Secret Laboratory"
Lee "Scratch" Perry & Dub Syndicate
[Island Jamaica / RRCD55]



"Time Boom X De Devil Dead"
Lee "Scratch" Perry & Dub Syndicate
[On-U Sound / ON-U LP 43]

top
top
magazine

magazine

magazine

magazine

magazine

magazine

columns

GO BACK

ISLAND EXPRESS
UK REPORT
WHAT THE DEAL IS
PLAY IT LOUD
RECORDS & TAPES
RAW SINGLES
CHART
RING RINg RING
BOOM BAP
Day In Da West

columns
columns

columns
columns
columns
columns
page up!
Riddim Nation

"Riddim"がディレクションする
レゲエ番組「Riddim Nation
第19配信中!

Go RiddimNation!

nation