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H-MAN
ナカナカナイ
 
Interview by Koji Yawata / Photo by Masataka Ishida
 

 通算6枚目となる新作『ナカナカナイ』をリリースしたH-Man。前号で詳しく紹介されている通り、本作は全てのリディムをスティーリー&クリーヴィ(3曲)、スライ&ロビー(10曲)が担当、ミックスも彼らによって施された一枚となっている。リリースを直前に控えたタイミングでH-Manと話す機会が取れた。上記はH-Manとのトーク。
 
 なんかフテくされていた時もあったんだよね。フェスとかに出ても、わざと自分だけゆっくりめの曲しか演らなかったりとか……、うん、そうだね、お客さんが居ない時からマイクを握ってきてるから、フェスとか出来るようになって、お客さんがたくさんいる現在の状況は嬉しいし、それで飯が喰えるようになっていることも有り難いよ、ホント。お客さんが居ない中で演るのはツライからねぇ。でも、自分と同世代は居なくなって、世代が一回りして、周りの変化とか、誰が何をやっても同じようにウケちゃうことに対して、なんか(違和感を感じて)フテくされちゃったんだよね。もう、「笑い」とか、“レゲエ馬鹿”なイメージで出来ないと言うかさ、それは「やりたくない」って意味も含めてなんだけど、そうなってたんだよね。「笑い」とかもさ、笑連隊とか、ケンティ・グロスとか面白いじゃん? だから、もうそれは彼らに「どーぞ、どーぞ」とかさ。それで、もうそういう曲とか、ちょっと演らなかったりしてたんだよね。でも最近になって、またちょっと変わってきてさ、とりあえず良い作品を作るコトと、良いライヴを演るってコトが大切でさ、フェスは結局十人(組)の内の一人なんだけど、地方のダンスとか盛り上がらなかったら、もう二度と呼んでもらえないしさ、必死にやらないとさ……、えっ、緊張? いや、そういうのは無いけどさ。

*     *     *

 今回の「ダンガントーク」とか、「東西南北」とかでは、またダンスのコトを歌ってる。うん、「ダンガントーク」は“Come Down”で、「東西南北」は“Stalag”、どちらもスティーリー&クリーヴィにリディムをリメイクしてもらってる。自然と出来た感じかな。いや、新作には何もコンセプトとか無いよ、ただ「ちょっと早めの夏前にアルバムを出しましょうか?」って感じで去年から作ることになって、「だったらリディムをくれ」って集めてもらって作った感じ。スティーリー&クリーヴィと、スライ&ロビーになったのは、(所属レーベル/オーバーヒートの)石井社長の彼らとのリンクから。いや、スラロビのリディムに対しても何のリクエストもしなかったよ。「良い作品を作る」って言った割には俺が受け身過ぎるって? 受け身ねぇ……、そう見られるのかな。
 
でもさ、レゲエDJってそんなもんで良いんだと思うよ。もともと人の曲に、勝手に(DJを)乗っけて始めたもんじゃん? そこにあるリディムに対して、どうDJするかが大切でさ、今回も届いたリディムを聴いて、それにインスピレーションを受けてリリックを作って、乗っけていった感じ。トラック・メーカーとやり取りして作るのもいいんだけど、そういうのは時間もかかるしさ、俺「早い」のが好きだから、それよりも、トラック・メーカーとかそれぞれの役割の人達が居て、それで「あとは俺だけ頑張れば良い」って状況でやる方が好きなんだよね。俺の作品だけど、俺はリディム・トラックも作れないしさ、レゲエだって、歌っている日本語だって、俺が作ったもんじゃないしさ、そういう意味で言うと、俺の作品じゃないんだよね……、そうそう、でも「俺が歌うから俺の作品になる」、そう言ってもらいたいんだけどさ(笑)。

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 届いたリディムを聴いた時はビビったよ(笑)。スティーリー&クリーヴィも、スライ&ロビーもさ、当たり前だけど良いに決まってるんじゃん? で、「本物じゃ〜ん」って。なんだろ? リメイクでもさ、日本人でその通りにリメイク出来るんだけどさ、やっぱ違うんだよ。その「リメイクのスゴさ」とか感じたな。それはどうしようもない筋肉とか血の違いみたいなんだけど、レゲエって彼らの音楽じゃん? それが本物だとしたら、俺ら日本人が演ってるのはニセモノじゃん? 浪曲とか演歌が日本語の言葉に合わせて作られた音楽のように、レゲエもパトワに合わせて作られてるものでさ、それを日本語で演ること自体がニセモノなんだ。だから、極論を言えばさ、日本にレゲエなんて必要無いんだと思うんだよ。でも、必要が無いとされるものを有るようにすることも大切でさ、それをどう作るかも大切なんだよ。だから、俺は日本語だけどそれを耳馴染みの良いパトワっぼい感じで乗せるのは、ただのパロディにしかならないと思ってて、日本語を出来るだけ日本語のままに乗せることにこだわりはあるね。
 
マイティ・クラウンのように、本場の土俵で勝負するやり方は憧れるけど、俺には無理でしょ。だったら自分は自分のやり方でしか勝負できないな、ってね。それじゃ「レゲエで演る意味なんて無い」って言われれば、すぐに辞めるよ。いつだって辞める覚悟は出来ているよ。でもさ、俺にはレゲエしか無くて、歌も歌えないし、顔もこんなだし、歌手とか他のジャンルとか出来ないんだよ。レゲエが在ったし、レゲエなら出来るし、レゲエでなら出来ると思うから演ってるんだよ……。自信? そうだね。あと、「ジャンルは関係無い」っていう人もいるけどさ、俺はそうは思わない。少なくともレゲエに関してはね。だから自分はレゲエっていうのはあるよ。でも「俺はレゲエだ」って言うのもなんかな?っても……、ねっ? だから「レゲエ馬鹿」ならどーですか?ってね。もともとは……。目指すコト? うーん、レゲエDJとしては、まっ、例えば15分とか20分のフェス(での持ち時間)だけではなくて、ちゃんと一人で一晩の呼ばれたダンスの時間をしっかりと盛り上げられないとね、そういう存在で居続けたいとは思うよね。まっ、あとはちゃんとした「真人間」になりたいってことかな。レゲエ聴いて増々ダメになる奴ってのもいるじゃん? そういうのはね……。

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 うん、ミックスもスティーリー&クリーヴィとスライ&ロビーのところ。いや、立ち合ってない。何もリクエストしてない。でも、リディムの時点ではヒップホップっぽかったり、ハウスっぽかったりしたのが、仕上がるとレゲエになっててさ、「あー、この人達がレゲエをつくって、何を演ってもレゲエになっちゃうんだな」って思って、さすがだな、良いに決まってるな、ってね。あと「八正道」とかは、届いたリディムの関係で、ホントは頭に入れたかったアカペラを曲の最後に入れて送ったんだけど、向こうで頭に入れ直してミックスしてきたんだよね。レゲエって頭30秒で決まるし、「アカペラは頭」って、レゲエじゃん? で、それを何も伝えないのに頭に入れてきたのには個人的にグッと来たね……。ムーミンとの「上を向いて歩こう」(坂本九のカヴァー)? ああ、あれもさ、もともと良い曲に決まってるじゃん? ムーミンの声も良いに決まってるじゃん? そんだけ。そうそう、だから、アルバムは良いに決まってるもんばっかりと演ってて、いや、ホントにスゴい贅沢なことをさせてもらったね。まっ、だから最終的には「それで、お前(俺)はどーなんだよ!?」ってところでしょ?
 

"ナカナカナイ"
H-Man
[Overheat / XQEY-1002]

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