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Review by TAKASHI FUTATSUGI
 
ALBUM 
 
1. Flo Rida / Mail On Sunday (Atlantic)
人気ダンス・ムービー『Step Up2』のサントラからシングル・カットされ、新人ながら見事“10週連続全米No.1”となった「Low」(feat.Tペイン)を含む“マイアミの新星”の初アルバム。アンクの「Walk It Out」他で知られるDJモンテイが制作した同曲を始め、トランス込みのダンサブルなトラックや、哀愁のサグ物等のドラマティックな路線、と何でも来い!の身体能力の高いラッパーだけに、アルバム単位でも十分楽しめる。流石に“旬”の存在だけに、ティンバランド他制作陣も豪華。大物ゲストに気後れしない堂々とした姿勢も行く末を決定付ける(?)まずは上々のデビュー作。
 
Rick Ross / Trilla (Def Jam)
マイアミ、とくればこの男。大物ドラッグ・ディーラーから勝手に名前を引き継ぎ、客演でもひっぱりダコの“ラップ・ハスラー”が延期に次ぐ延期を重ねていた“デフジャム”からの2作目を遂にドロップ。Tペイン、ジェイ・Z、マニー・フレッシュ、リル・ウェイン、ヤング・ジージー、トリック・ダディ、ネリー、R.ケリー、トレイ・ソングス…と予想通りオールスター・キャストで攻めてきた“ボス・キャラ”の彼の懐の深さが否応なく味わえる“ハリウッド映画”の様な抜け目ない大作。J.U.S.T.I.C.Eリーグ制作のマイバッハの歌に涙する者も? 全米チャート初登場1位にも納得。
 
3. Jim Jones / Harlem's American Gangster (Victor)
敵対するジェイ・Zの『アメリカン・ギャングスター』へのアテツケでリリースしたストリート・アルバム(しかもホストはデイモン・ダッシュ)にリミックス、リマスターを施した“完全版”。本国ではリリース初週にインディー・チャートを征し、相変わらずの人気ぶりを見せ付けたディップセットの首領だが、確かに例の「ボォォォリィィン!」という掛け声の威力云々だけで片付けけられない魅力がある訳で(第2弾アリ)。自他共に認める今の“ハーレム王”の生き様を映し出したリリックスと、サウス風味のギラっとしたビーツ満載なのは言わずもがな。日本盤はさらに4曲追加、とか!
 
4. Group Home / Where Back (Lastrum)
DJプレミア古典曲のひとつに誰もが挙げるデビュー曲「Supa Star」から早13年。ブルックリンの悪童コンビ=リル・ダップ&ナットクラッカーが約7年ぶりとなる3rdを完成させた。プロデューサー陣は、前作に続き“売れっ子”アルケミストや、現在はディップセット一味のアガラー(パープル・シティ)といった面々に、ビートも精製するリル・ダップ、とイマの彼等を照射したファットかつドープなプロダクションとなっている。制作期間に服役中だったナットの出番こそは少ないが、リーダー=ダップの頑張りでそれもカバー。DJ Deckstream作のトラック(RMX)もアリ!
 
5. Rakim / The Archive : Live, Lost & Found (Traffic)
神様ラキムの未発表新曲×4と、聖地NYでのライブ(バックDJはキッド・カプリ!! )を収めた変則的な新作。ドクター・ドレーの“アフターマス”離脱後は、昨年のカニエ、KRS、Nasとの「Classic」以外はコレといったリリースのなかった彼だけにファン垂涎のアイテムであることは間違いないだろう。“生”の方は「Microphone Fiend」、「I Ain't No Joke」、「I Know You Got A Soul」、「Follow The Leader」、「Move The Crowd」、「Juice」、「Don't Sweat The Technique」、「Guess Who's Back」とエリック・Bとのコンビ時代からソロ期までの必殺曲雨アラレの構成。DVD付がオススメ!
 
6. Common / This Is Me Then: The Best Of Common (Sony)
7作目となる最新作でまた新境地に達したシカゴが生んだ孤高のコンシャス・リリシスト=コモンの“リラティヴィティ”在籍時(コモンセンス期を含む)の3枚のアルバム収録曲を中心に編集された初期ベスト。デビュー曲「Take It Ez」から、孫引きされることも少なくなかった「Braker 1/9」、アイス・キューブとの確執を生んだ「I Used To Love H.E.R」、ローリン・ヒルを招いて中絶問題にメスを入れた「Reminding Me (Of Def)」等々、サントラ提供曲を含め全15曲で同曲名から取ったタイトルも冴えてる一枚。'92〜97の雰囲気が蘇るPV満載のDVDコンボが◎。
 
7. The Braille / The IV Edition (P-Vine)
日本にも熱狂的な支持者の多いライトへディットの頭脳ブレイルの最新作。当の本人も「今回は凄く特別なアルバム。タッグを組んだアーティストの出身地のファンに届けられると思うとワクワクする!!」と語るように、前3作と比較しても2ランクほど内容度が上がった印象。盟友オメガ・ワッツからDJスピナ、88キーズ、ストレンジ・フルーツ・プロジェクトのS1にマルコ・ポーロ、オー・ノーらのビート、プロカッションズのMr.J、LAシンフォニーのポエムズ、セオリー・ハジット、スピーチ、ロブ・スウィフトらとの絡みでも、その淀みない語り口は己を貫き通している。力作! 
 
8. ASM - A State of Mind / Cosmic Flavour (Miclife)
MidicronicaとImajinionのMC陣4人と渋谷Familyの看板イヴェント「神の足元」レジデンツDJ2人、そドイツの某国際学校で出会った、というフランス/カナダ、ドイツ、チリ/USとそれぞれにルーツの異なる4人組のデビュー作。信頼のレーベルが推すだけあって、そのそれぞれにファンキーで声質やスタイルの違う2MC(英詩)の掛け合いといい、ジャジーでツボを心得たサウンド・プロダクションといい、サブ・メンバー的なフルート奏者の存在といい、減点要素が全く見当たらないフレッシュなグループ、である。彼等がナニに魅了され、何処を目指しているのかは至って明白。それだけに気持ちよく接することが出来る。日本盤にはワックス・テイラー名義の例の曲が追加収録されてるYo!
 
9. Nate Krooks / Still True (CD Baby)
トゥルースクールの申し子はここにも! 米西海岸はベイエリアより現れたMCのカズウェルとトラックメイカー=ディードットからなる2人組のデビュー盤。大物アーティストやプロデューサーの後ろ盾こはないものの、MySpace、MP3.com等で話題を呼び、自力でアルバム発売にまで漕ぎ着けた。その“持ち味”は、センスとヒップホップIQが問われるサンプリング・ビートと、疾走感のあるライム・デリヴァリーというゴールデン・エラの黄金率を守り通している点。サブジェクトやトラックのムードもヴァラエティに富んでいる。今月のめっけもん。
 
10. ユナイトバス / Get On The Bus (Lastrum)
横浜は黄金町から大型バスに乗ってやってきた背高帽子の異能戦士たち=UBの結成6年目にして初のフル作。イントロにもあるように「従来型のラップ・グループとは少し様子が違う」のは、その特殊な編成(2MC+DJ+映像クリエイター)だけではない。“訴える名無しさん”や“クレイマー”など時事ネタに斬り込んだボキャブラリー豊富でヒネリの利いたライム・ワールドに(意味ナシ押韻系も楽しい!)、ポップでいて芯のあるトラックの合成は、最初から“画”が見えてるかのように鮮やか、だ。Gaku-MC、2Backaaらとの『濱MIC』オマージュ曲も“ならでは”の仕上がり。

11. UZI / Natural 9 (Kix)
UBGの門番=UZIの4作目。ギャンブラーなら即反応する(?)“最強の一手”をテーマに、より自然体でマックスのパワーを発揮した本作は、UZIという希代の語り部の人間性の魅力を凝縮したような1枚となっている。Zeebraを始めとするUBGの面々から、城南ウォーリアーズの相方=G.K.Maryan、48.9、秋田犬どぶ六、HI-D、Shiba-Yankee、現在のレーベルメイトとなる神ら気の合う仲間たちや肌の合うサウンド班を呼び寄せ、豪快にマイクをコントロールする(哀愁系もアリ)主役はさらに逞しくなった。かまやつひろし「我良友」のリメイクも沁みる…。
   
12. Bron-K / 奇妙頂来相模富士 (KSR)
神奈川は相模原を代表するSD JunkstaよりBron-Kが噂のソロ作を遂に公開。ハードボイルドな様でいて、どこかあったかいそのカスレ声と、当意即妙なフロウ(しかも歌える)を武器に、描写力の濃いリリカル・ワールドで極めて正攻法の魅せ方を披露する彼は、その“底力”をここに示した、という事だ。アートワーク(表1)にも名前のあるゲストたちから、I-DaA、Bach Logic、Zipsies、Jakk Pot、Yamino、Red Caponeらの情感豊かなトラック群も言う事ナシの充実ぶり。本誌読者には、盟友TKCを迎えた16Flip制作のルーツ・レゲエ曲をまずはオススメしたい。

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