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Rankin Taxi
Rankin's Last Will !?
 
Interview by Norie Okabe / Photo by Kobayashi Taxi
 

「人間の生きてる感じ、命そのものが音楽になってる——」。レゲエの素晴らしさについてそう語っていたRankin Taxi。初渡JAから四半世紀、レゲエ歴25周年に完成させた本アルバムは、正にその“命そのもの”を痛感させられる衝撃作だ。心が震えるというのは、こういう音楽のことだろう。
 
●まず「死ぬまで生きる」というタイトルが衝撃的でした。
Rankin Taxi(以下R):ここ数年、頭の中から死が離れないんですよ。6年前に事故で、去年は心臓の病気で死にかけてるわけだから。「死ぬまで生きてろ」っていうフレーズもあるけど、決意表明的にするには「死ぬまで生きる」だな、と思いまして。人の生き死にを考えるんじゃなく、自分の生き死にを考えるってことで、こうなりました、はい。
 
●サウンド面ではロックあり、ブルースありと変化球も多くて。またそれを見事にランキン節で持っていくところが心底スゴイな、と。
R:若い人たちがやり始める前に、いろいろやって全部潰しておこうと思って(笑)。ブルースで歌謡曲でロックステディな「悲しき工作員」なんて、新境地ですね。今までは、ほぼ来たトラックに対応するっていう形だったんだけど、今回は自分からこういうトラックを作ってほしいって注文を出したものがあるんですよ。Home Gと多麻連者に2曲ずつ。リー・ペリーのアップセッターズのリズムをやりたいだとか、“Mud Up”のリズムはラテンっぽいから、サルサでやりたいとか。あと、ジミヘンのウッドストックにおけるギターのフレーズは、なんとも哀愁の演歌な感じだったんで、それで演歌やりたいな、とか。「ギミサム・スレンテン」については、もともとカシオ・トーンにプリセットされた"Rock"(多分「Anarchy In The U.K」)から生まれたリズムってことで、それをまたロックに戻したい、とか。前からあったアイデアが実現したという感じかな。まあ、でも何をやってもランキン・タクシーですから。音楽全般が好きなわけだし、俺が今のダンスホールに固執する必要はないでしょ。“彼女は艶かしすぎる”とか歌うのは、若い人にお任せして。私は私なりの世界観なり、訴えなきゃいけないことを歌えばいいよな、と。だから、ダンスホール・ビートで歌うテーマが“人身事故”になっちゃってるんです。
 
●その「人身事故」もそうですけど、「職質246」とか、みんながおかしいって思ってることを突くのはランキンさんならでは、というか。
R:よくぞ言ってくれたっていう声が聞こえてくるような曲にしたかったんですね。共感、共感。偉そうにしないで、みんなの共感を得るためです。説教くさくなるのもどうしようもねえなって思うから。
 
●苦しみ、悲しみを感じさせる曲が多くて、いろいろ考えさせられました。
R:アニキ〜」と「One Love Punch」は明るい歌だけどね。苦労している人たちに自分を添い寝させて、こういう気持ちなんだろうなって想像力だけで作った感じですよね。自分勝手な妄想で書いてる。でも、人の苦しみをどういうふうに捉えるかっていうのは大事でしょ。それを表現のためにどういうふうに利用するのか、自分の中でのプロセスを考えながら作っていったら、こうなったという感じ。殺人を犯してしまった奴は一体どういう心持なんだろうかと考えつつ、犬や猫の命のことを思いやりつつ、命は皆等しく大切なものなんだよねって思いつつ、みんなで調和のとれた生き方ができないものかなと考えつつ、こういう曲ができてくるんだよ。最近、年寄りになったなと思うけどテレビ見てても、すぐ感情移入しちゃう。みんなそれぞれ大変だよねってことです。
 
●人の立場になって考える、という。
R:そう。「非暴力で行けるかい?」って歌ってるけど、非暴力でいくためには慈悲の心を持ち、相手を同胞であるという捉え方で、戦いがなくなるように持って行かなくちゃいけない。理想的な話だけど、どういうふうにみんなが意識改革をしていけば、そこに辿り着くのか、または辿り着けないのか。それを考えなくてはいけないよね。でも考える人が増えてくことでしか変えられないわけだから、そのためには、いい歌を残してくっていうのも大切なのかなと思う。日本ではあまり使い回されていないリアリティという隙間をもっと広げてもいいんじゃないかと思いますよ。
 
●リアリティを歌え、と。
R:レゲエのおかげでだんだん増えてると思うけど、まだまだ少ないでしょ。それにしても最近のチャラいレゲエは早く消えてほしいですねぇ。このアルバムは、その“チャラレゲ”をよりチャラく際立たせるために作ったんです。結果、暗いアルバムになってしまいましたけど(笑)。だからこそ、みんながどういうふうに感じてくれるのか、すごく楽しみなところではありますね。
 

"死ぬまで生きる"
Rankin Taxi
[Riddim Zone / Rhythm Of Life / RZCD-45811]

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