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Don Corleon
Dancehall
 
Interview by Rockers Island / Edited by Riddim
 

"Drop Leaf" に代表されるワン・ドロップ・リディムから "Jonkanoo" といったグルーヴィなダンスホール・リディムまで、レゲエのツボを知り尽くしている間違いなく現在のトップ・プロデューサーの一人、Don Corleon。彼が近年制作したヒット曲やヒット・リディムをまとめたベスト盤『Reggae Kingdom』と最新リディム・アルバム『Love Potion & Far Away』が同時リリース。キングストンのスタジオにいた彼を直撃。
 
●まず自己紹介からお願い致します。
Don Corleon(以下D):俺はDonovan Bennett(ドノヴァン・ベネット) a.k.a. Don Corleon(ダン・カーレオン)。出身はセント・エリザベスとウエスト・モアランドの間。1978年生まれの29歳。ジャマイカのトップ・プロデューサーの一人だ。
 
●トラック制作をスタートさせたのはいつ頃ですか?
D:2001〜02年頃だね。俺は当時Vendettaってサウンド・システムをやっていて、ミックス・テープを作ったり、Fully Loadedやアップ・タウンで回してたんだ。友達から「ダブ用にオリジナル・トラックを作ってレコーディングしろよ」って言われてたんだけど、俺はサウンド・マンだったから断り続けていたんだ。でもある時、作る事に決めたんだ。それからさ。
 
●レーベル設立の2002年からヒット曲を絶えず出し続けていますが、その秘訣と言うと?
D:秘訣なんて何もないよ。でも、腕の良いセレクターやサウンドって人を盛り上げる良い曲を知っているだろ? 俺は元々セレクターだったから、その知識を制作に注ぎ込んでいるんだ。だからヒット曲が生まれているのかもしれないね。
 
●Sean PaulやRihannaなど、ワールドワイドなアーティストからも引っ張りだこだけど、彼らとは元々どんな関係だったの?
D:Sean Paulは元々姉と従兄弟の友達で、一緒に学校へ行っていたんだ。俺がサウンドを組んだ時に「ダブを録らせてくれよ」って電話して、Arrowsで5曲録って。俺がプロデューサーになってからもずっとやり取りしているよ。彼のアルバムに参加するきっかけになったのは、ファースト・アルバムを聴いてセカンドの制作に携わりたくなったからなんだ。「レゲエ・ミュージックのためにもっとデカいことをやらかしたいんだ!」ってSeanに伝えてね。
 
Rihannaは、Sean Paulが家に連れて来たんだよ。そこで2人のコンビネーションの話が出たんで、その場で "High Altitude" リディム(※2006年リリース)を聴かせたら、気に入ってくれてって感じさ。
 
●あなたのスタジオにはどんなアーティストがよく出入りしていますか?
D:頻繁に来るのは、Vybz Kartel、Munga、Alaine、Pressure、Bling Dawg、T.O.K.、Morigan Heritage、Tarrus Riley、Sean Paul……。あとは大体……ま、ほとんどのアーティストが来るかな。
 
●今も名前が出たDon Corleon Recordsファミリーの3人、つまりMunga、Alaine、Pressureですが、それぞれの魅力と言えば。
D:3人とも類の無い才能を持っているよ。Pressureは純粋なワン・ドロップ系で、ハードコアかつ、ラヴァーズ・ロックなアーティストだ。俺のヴァイブスをかなり、あげてくれる(笑)。
 
Mungaはダンスホールだけど、ワン・ドロップの才能もあるバランスの取れた歌い手。今はダンスホールに集中しているんだけど、俺自身、彼にはその方向性を見出しているよ。
 
Alaineはセンセーションを起こしたフィメール・シンガーだ。ワン・ドロップ、R&B、ダンスホール、ハードコア……全てのテイストにマッチする。女性で、ルーツもいけて、ダンスホールもOK。これ以上な人材はいないだろ?
 
●他にマイ・アーティストと思える人はいますか?
D:もちろん、いるよ! 将来性があるのはWaspだね。
 
●リディムのアイデアはどこから得るのですか?
D:ヴァイブスからだね。上がったり下がったりに従って、その時々のヴァイブスに因るよ。何か法則に則ってというのではないよ。実際の制作時だって特に何かを意識しているわけじゃないんだ。ただビートを作っているだけ。それにベースライン、ドラムと色んな音を重ねていく。その時の流行を考えずに作り溜めて、ダンスホールに合うものはダンスホールに、インターナショナルに合うものはインターナショナルに、と出し分けるんだ。でも思いがけない結果もあるよ。例えば "High Altitude" リディムなんかは、ダンスホールをマッシュ・アップさせるだろうなって思って出したら、国際的にヒットしちゃったからね。
 
●でも、ずっとインディペンデントなスタイルにこだわってますよね?
D:そうだね。俺みたいな細かい人間は、仕事の初めから最後まで気になるんだ。見渡してみれば、自らの手元に権利が何も無いプロデューサーって沢山いるんだよ。だから慎重にインディペンデントで活動する事にしたんだ。最初は「そんなので稼げるのか?」って笑われたけど、自分の夢を大きくしていくためにはどこかでリスクを背負わなくてはならないだろ? だから俺はDon Corleonという権利を自ら持つ事にしたのさ。
 
●ジャマイカのダンスホール・ミュージックを更に世界に向けて発信していく事は、あなたの肩に掛かってると思うのですが、その気はありますか?
D:勿論だよ。俺はもっと活動範囲を広げたいんだ。情報を掴んでセレクトし、色んなマーケットで展開したいんだ。クリエイティヴな事は色々やっていきたいよ。そして、いつかは尊敬しているSly & RobbieやSteely & Clevieの様にレゲエをもっと広げ、歴史に足跡を刻みたい。
 
●今回日本で "Love Potion" と "Far Away" の2ウェイ・アルバム『Love Potion & Far Away』が発売されますが、まず、本国でのこの2つのリズムも反響はいかがですか?
D:ジャマイカでも良い具合にプレイされているね。フロリダのチャートではPressureの曲が入ってるし、Alaine「Sincerely」、Tarrus Riley「Back Biter」もチャート・インし続けているよ。俺の作品っていうのは突然出てきて、ハイプする物、いわゆる一発ものなんかじゃないんだ。聴いてくれる人々に染み渡った頃に「ヤバい!」って言ってもらえる事が多いんだ。結果、良い具合に現場でプレイしてもらえる。チャート・インするのは、本当、みんなの支持があってのものだよ。
 
●"Drop Leaf"、"Sasons"、"Heavenly" に続くミディアムのリディムですが、過去の自分の作品に勝てそう?
D:あはは、自分のリディムを比べたりしないよ(笑)。「このリディムはヤバい、これ以上のものは作れない」って思ったとしても、すぐに作れちゃうし。
 
●Beres HammondやTarrus Riley等、Done Corleonものとしては新しいメンツも参加しているけど、いきさつは?
D:Tarrus RileyはBling Dawgが「Donの所でレコーディングをした方がいい」と言ってくれて紹介してくれたよ。俺も是非録りたかった一人だ。それで、実際レコーディングしてみたら、思いがけない結果が生まれたんだ。非常に素晴らしい曲を2つも歌ってくれたんだよ。それが、"Love Potion"と "Far Away" リディムの2曲さ。
 
Beres Hammondはもう何年も……そう、4年ぐらい口説いてたんだ。彼のスタジオに顔を出したり、俺の曲を聴かせたり、なぜレコーディングさせてくれないかダメな理由を聞いたりね。そしたらある日「Don、レコーディングしよう。オケを持って来てくれ」って言われてさ! 喜んで持って行ったのさ。
 
●同時発売のベスト・ワーク集『Reggae Kingdom』では、"Good To Go" や "Trifecta"、"Jonkanoo"、"Seasons" 等、ヒット・リディムとヒット曲が沢山収録されていますが、あなた名義のベスト盤が日本で出る事をどう思う?
D:凄く嬉しい事だよ! 例えばハイプするためにデカい会社からリリースする事も出来たけどさ。でも、レゲエに対して理解があり、日本とジャマイカのレゲエに対して先を見るヴィジョンを持ち、尚且つ市場にアプローチする能力がある所を探してたんだ。この先もっともっとリリースされるよ、日本の皆には本当に楽しみにしていてほしいな!
 
●日本の印象はどうでした?
D:大阪では、道を歩いているとどこの店でもレゲエがかかっていて驚いたよ。日本の人達を本当にリスペクトした瞬間だったね。ジャマイカ人には、確かに日本人をリスペクトしていない奴もいるかもしれないけど、こんなにも俺らの音楽を愛し、喜んでくれている日本の人々に俺は感謝しているよ。
 
●日本のアーティストやレーベルからもオファーが来ると思いますが、今までは誰と仕事を?
D:Pushim、Fire Ball、Mighty Jam Rock、Ryo the Skywalker……全員の名前は思い出せないけど、たくさんだよ。
 
●日本のアーティストともガッチリ仕事をしてみたいと思いますか?
D:もちろん! Pushimとはぜひやってみたいんだ。
 
●今はどんなプロジェクトを進行中?
D:Alaineのセカンド・アルバムを手がけているよ。Mungaのアルバムも4月には出るかな。Sean Paulの新しいアルバムにも取り組み中。やるべき事を着実にやっているよ。
 

"Reggae Kingdom"
V.A.
[Koyashi / KHCD-005]



"Love Potion & Far Away"
V.A.
[Koyashi / KHCD-004]


 
 
Artist from Don Corleon Family
Pressure
 
Interview by Minako Ikeshiro
 

 ドン・コルレオーニ・チームのラスタ部隊、プレッシャーの最新作はチェック済みだろうか。世界的なヒットとなった「Love and Affection」と同タイトルのアルバムでシンガーとしての堂々たる力量を示した彼に、真冬のNYで話を聞いた。
 
 すっきりした顔立ちとおっとりとして物腰のプレッシャーは、USヴァージン諸島の出身で、アメリカでの生活経験もあると言う。「2000年前後にジョージア州に2年ほど住んでいた。99年にアポロ・シアターのアマチュア・ナイトに出たことがあるよ。半分バウンティ・キラーのマネで、半分オリジナルだった(笑)。まず、地元のタレント・ショウで優勝したから出場できたんだけど、ダンスホールだったのに観客の反応は凄かったよ」。現在、比較的新顔のラスタ系シンガーの中で頭一つ出ている彼だが、高校生までは、「プレッシャーではなくデラーノで、ラスタでもなかった」そう。「アメリカで叔父と住むようになって、それまで演奏していたドラムやトランペットができなくなって、独学で聖書やラスタファリズムを学ぶようになり、魚と野菜だけ食べるようになった。家の中でベジタリアンは俺だけだったから、食べられる物がない日もあったよ。同時に、ケイプルトンやシズラ、アンソニー・Bやジャー・キュアーといったアーティストを聴くようになった。自然にその手のレゲエを歌うようになって、島の友達に曲を送ったら、みんなに“サポートするから頑張って続けろ”って励まされた。それから、島に帰ったんだけど、両親が別れちゃってさ。母が住むところは与えてくれたけど、自分で稼がなくちゃいけなくて高校生でハスリングの生活をするようになった。それが今の強みになっているね。そのプレッシャーに負けなかったから、名前もプレッシャーにしたんだ」と、一気に「プレッシャーが出来るまで」を語った。
 
“Love and Affection”では曲の良さもさることながら、彼の歌唱力に驚いた人も多いはず。「小学校の時はクワイヤーで歌っていたけれど、ドラムとトランペットの方が熱心にやっていたね」とのこと。では、ドン・コルレオーニとの関係を確認しよう。「ダンは俺のマネージャーであり、メンターでもある。ヴァージン・アイランドでアルバムを作った時のプロデューサーが、マイアミの楽器店で働いていて、ダンがそこのお客さんだったんだ。彼がダンにCDを渡して、それを気に入ったダンが俺をジャマイカに呼んで最初にレコーディングしたのが“Love and Affection”だった」。そのあとの活躍はご存知の通り。カリブでは「レゲエと言えばジャマイカ」というイメージがあるが、「ヴァージン・アイランド出身でも問題ないよ」と言い切る。「大切なのは才能であって、出身地ではないから」。確かに。最近のラスタ・シンガー同様、彼のリリックもジャー讃歌で終始しない。「やっぱりリアリティを歌うのが大事だ。みんな、説教やファンタジーより、現実的な内容を聞きたがっているし、俺はスピリチュアリティとリアリティは共存すると思う。精神面を大事にしながら、現実を生きてかないといけないのだから」。最後に、アルバムのコンセプトを尋ねた。「愛、だね。平等、正義、エンプレス(女性)や親に対する敬意、そして神様に感謝を捧げることに大切さも歌っている。神に祈りを捧げれば、ジャーはきちんと観ていることや、アフリカ回帰などいろいろなテーマを扱っているから、誰でも楽しめると思うよ」
 

"Love And Affection"
Pressure
[Don Coleon]


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