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Riddim Awards 2007 - Hip Hop -
 
 

今年も去年以上に黒くて濃ゆい作品を多数リリースしてくれたアメリカ、そして日本のヒップホップ・シーン。さて2007年はいったいどんな年だったのか? 本誌でもお馴染みのライター、アーティスト等による数時間にも及ぶ濃密な対談によって、今年リリースされた作品の中から2007年を象徴する作品を日米それぞれ12枚ずつピックアップし、2007年を振り返る。
 
■International Hip Hop Albums
■Domestic Hip Hop Albums
 
二木崇(以下二木):まず、この1年で何が流行ったか、という話から。
DJ Benkay(以下Benkay):クラブ的にはやっぱりサウスじゃないですか?
C-Rod(以下C):新譜の12インチでも一番の売れ筋でしたね。
二木:去年にも増して、ヒットが多かったよね。BenkayがキャッシュマネーのミックスCDを出した00年くらいから見ると、年々日本でも定着してるよな。
Benkay:今や逆転してる感じですもんね。リリースも多いし。今年は2回アトランタに行ったんですけど、向こうでキテる曲が1〜2ヶ月後には日本でも流行りだす感じで。
C:YouTube効果もあって〈フリつけ〉で火がついたクラブ・ヒットも。ソウルジャ・ボーイ、アンク、ヒューイ…。
二木:ダンスホール・レゲエで言うニュー・ダンス。
Benkay:この夏はソウルジャ・ボーイ「Crank That」が広まる過程をアトランタ〜ロス〜大阪でダイレクトに感じましたよ。BETでPVが回り始めた時はもう大変なことになってました(笑)。スーパーマンだらけで。
二木:NY物で言えば、年頭くらいはジム・ジョーンズ、ファット・ジョーとか他にもあったけど、みんなサウスのノリを上手く取り入れてたよな。新人ではミムズもそう。
Benkay:ウチの番組(「Night Cruising」)でもトーク・ゲストで出て貰ったんですけど、至って「ホットないい奴」でしたね(笑)。
C:アルバムで、ってことになるとやっぱりUGKの復活作になるような。2枚組なのに聴いててダレなかったし。
二木:全米ナンバー1にもなって、結果も出したばっかりやのに、ピンプ・Cが急逝したのは残念無念…。
Benkay:「Int'l Players Anthem」のトラックとか、フリースタイルでもよく使われてたし。いわゆるサウスの「踊れる」「わかりやすい」ってポイントとは別の部分でも評価されましたよね。ジェイ・Zがリスペクトするのも分かる。
二木:ゲストにビッグ・ダディ・ケインとクール・G・ラップを招いていたのも凄い。ホント重厚なラップ作。
C:ラップ・アルバムというポイントではやはりコモンやタリブ・クウェリ、ファロア・モンチ、あとKRSワン&マーリー・マールとかになりますかね?
Benkay:ジェイ・Zを忘れたらいかんやろ(笑)。
二木:70年代のNYが舞台の映画にインスパイアされたコンセプト作なのに、逆に今っぽくて。狙ってたなー。
Benkay:ほんとクールですよね。ジェイ・Zはいつも。
C:クールと言えば、ルーペがヤバいですよね! ここ最近聞いた中では一番新しかったかも。ネクスト感が凄い。
二木:このタイミングでのベスト候補っていうのも珍しいけど、来日公演も良かったし、影響力も強いし、何より作品そのものが素晴らしいので、OKかなと。
Benkay:何年かに1度ある、ヒップホップもここまできたか!的な…。ステージでのアクションも柔らかくて。
二木:あのラキムも手放しで絶賛やもんね。次点だと…。
Benkay:やっぱりティンバランドとちゃいます?
二木:それか、カニエかウィル辺りも完璧だった。
C:プロデューサー・アーティストってところだと、先月の表紙のワイクリフの新作もボーダーレスな力作でしたね。
 
二木:カニエの新しい打ち出しも良かったし、プロデュースしたコモンの新作も充実してた。ティンバやウィルもどこか繋がってくる部分があって。ダンス・ミュージックとしてのアプローチの多彩さ、とか。質感とか。
Benkay:身も蓋もない言い方をすると「白人ウケ」がいい、と。でも、ロスやヴェガスのクラブで実際それを感じましたからね。本場のパーティ・ピープルの厳しさとやらを。
二木:なるほど。去年のディディもダンス・ミュージックの最新形見本市だったし。スヌープとかじゃないけど最近の曲でハウス、エレクトロやトランスっぽいのって何気に多くて面白い。ティンバや一緒にやってるデンジャも欧州まで視野に入れてるだろうし、あとトウィスタの曲でネプチューンズも導入したボルティモア・クラブとかは?
Benkay:通称B-More、でしょ? 向こうでも流行ってましたよ。パーティ・トラックスでも主流になってるし。
C:ヴォーカルもやたら細切れにするんですよね?
二木:昔で言うヒップハウスの進化系でもある? 成り立ち的にはマイアミ・ベースに似たところもあるよね。
Benkay:マイアミで思い出したんですけど、ピットブル、DJキャレドの新作も色んな環境で楽しめる会心作でした。
C:ピットブルとかそれこそレゲエ・ファンに響きそうな。
二木:確かに。ラテン・フレイヴァーも効いてるしね。
C:あとフィーチャリングのキーマン的存在と言えば?
二木:エイコン…よりも今やT-ペインの方かな?
Benkay:T-ペインは鉄板ですね。あとはリル・ウェイン。シングル仕事も多いし。明らかにやる気ないのもあるけど。
 
C:新作が延期に次ぐ延期で。ミックスCDの量も断トツ。
二木:新作に彼を呼んでたジェイ・Zも「俺の後継者はヤツだ」とコメントしてたよね。次作でまた引退する気?
C:(笑)…最初散々サウスの話題でしたけどアルバムは?
二木:T.I.も良かったし、カミリオネアも前作超えでしょ。
Benkay:アトランタではT.I.はまさにキング扱いでしたね。ゴリラ・ゾーの人気も凄かったですよ。あと、ヤング・ジージーのユニット=USDAのアルバムも好きですね。
C:他では……ハイフィー物のリリースも多かったですね。
二木:そこは今一等フレッシュなチーム=フェデレーションに代表して貰うとして…。あとは、ウータンのリユニオン作もあったし。スウィズ・ビーツ絡みで、ボーンサグスや、キャシディもそれぞれいいアルバム出したよね。
Benkay:スウィズにはハメられっぱなしの一年でした。でも改めてNYのMCに頑張って欲しいなと思いましたね。50セントらG-ユニットの巻き返しにも期待したいし。
二木:そうやね。パプースはジャイヴから切られたらしいし、サイゴンに至っては引退宣言したくらいやし。でもファボラスはデフジャムでいきいきしてるし、アルバムも勢いあった。レッドカフェもいい再スタートが出来そうで。
Benkay:DJエンヴィとのアルバムもいい感じでしたしね。
C:ってところで、日本編に移しましょうか。俺的には今年の顔は引き続きSeedaかな、と。Scarsの一員としての去年の活躍よりも、最近の客演とかホットな証明でしょ。
二木:『花と雨』は一応去年の暮れだからね。でも君の言う勢いは、コラボ曲中心の『街風』によく表れてるよね。
C:個人的にはあとScars周辺とか、SD Junksta 、Ice Dynastyとかにイマを感じましたね。店的に「売れた!」となるとTha Blue Herbは待望の一枚だっただけに…。
二木:実際内容もディープで、一人一人に語りかけてくるような作品やったよな。人間クサさではThe HelloWorksのアナログ=バンドによるアプローチやスピリットも感動モノだった。で、時の人とくれば、やっぱり「メ〜ン」を流行らせたD.Oやね。アルバムは去年のベストに入ってた。彼らのアンテナ・ショップ「Boot Street」のコンピも良かったな。
C:ムーヴメント感が強いですよね。イヴェント「A+」のコンピとかも。DaboやZeebraのアルバムで、例えばSimonとかフックアップされてる若手の面子がかぶってるのもその表れだと思っていて…。Krevaも目立ってた。
 
Benkay:あと、Zeebraさんの曲で言えばJesseとやってるロック・アプローチの曲が時代を先取りしてましたね。
二木:アルバムも天才的なバランス感覚が物を言った傑作だったと思う。あと、ラップそのものの光り具合でいくとPrimal、Kemui、Shingo☆、Ozro、サ上、Ken The 360、随喜と真田…あと、やっぱりRyuzoかな。
Benkay:Ryuzoが仕切るR-Ratedはターゲット明確だし、全国的に見ても今一番団結力があるんじゃないですか?
二木:地元関西だけじゃなく、東京や地方での人気も凄まじいし。
C:Anarchyのアルバムは去年でしたけど、新しいEP含めて引き続き売れてました。現場も固めてますよね。
二木:ラッパーがボスだと、ともすれば下が伸び悩んだりするけど、R-Ratedはそれがない。これは凄いこと。
Benkay:いいモデルになってますよね、彼らは。
C:『Document』はそんな部分も含め、関西シーンの歴史の深さを感じさせる、全国規模で通用する大作ですよね。
Benkay:DS455ら横浜やそれ以外のウエッサイ系や、名古屋のBallers…なども猛威を振るってたし、相変わらずリアルな連中がゲームを動かしてた1年だった、と。
二木:何とかまとまったな(苦笑)。
 
 
***SELECTORS***
二木崇/音楽ライター。本誌レコテ担当レヴュワー。D-ST.ENT, 主宰。
DJ Benkay/関西を拠点にアジア、USでもプレイするパーティロッカー。キャッシュマネー、トミーボーイのオフィシャル・ミックスCDも手掛ける。テレビ大阪『Night Cruising』メイン・パーソナリティとしても活躍中。
C-Rod/某レコード・ショップ・バイヤー。給料は全てレコードに消える、オールマイティな音楽馬鹿。


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